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2021年大学入試:この10年で伸びた学校はどこか 東日本:東京都市大付、広尾学園、厚木… 西日本:西宮・市立、西宮東、守山……

    サンデー毎日4月11日号・表紙
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     国公立大の後期日程の合格発表を経て、2021年度入試(21年4月入学)が終わろうとしている。コロナ禍という異例の環境下での一般選抜で、10年前より難関大合格者を伸ばしている学校はどこなのか。

     21年度入試は、大半の難関私立大で志願者が減少した。その上、合格者が増えたため、多くの大学で倍率が下がった。それでも、国公立大を含めた難関大のハードルが高いことに変わりはない。その難関大の合格実績が伸びた学校の顔ぶれを、3月24日現在のデータで見てみよう。

    東日本の上位2校は昨年と同じ顔ぶれ

     東日本で最も増えたのは東京都市大付で11年度の177人から、582人増えて759人。次いで広尾学園が386人増の474人だった。この並びは20年度と同じだが、両校ともに前年の増加数を上回っている。安田教育研究所の安田理代表が、東京都市大付の合格者が増えた要因を解説する。

    「東京都市大付は、難関大進学を目指す『Ⅱ類』と『Ⅰ類』の2コースを設置して以降、3期目の卒業生の結果です。コロナ禍でも工夫を凝らして極力対面授業を行い、部活動や行事はほぼ全て行ったと聞きます。普段通りの学校生活を送れたことが、厳しい状況下でも合格者が増えた要因でしょう」

     広尾学園は、学校そのものを変えた。07年に順心女子を共学化し、11年には難関大や医学部入試に向けた「医進・サイエンスコース」などを設置。その結果、10年前はゼロだった旧帝大の合格者が21人。医学部(医学科)の合格者も増えている。

    「学校が作り変え」が実を結ぶ私立校

     学校を作り変えることで、難関大の合格者数が増えた私立校は他にもある。大宮開成(349人増)は05年に中学を開設し、東京都市大等々力(296人増)は10年に女子校の東横学園を共学化。両校ともに難関大合格を目標とするコースを設けている。

     学校の形はそのまま、生徒の成長を促す取り組みで難関大合格実績が伸びているのは、洗足学園(344人増)だ。安田氏は言う。

    「学外交流活動や研修プログラムなどに参加する『他流試合』をはじめ、教科学習以外のさまざまな知的好奇心を喚起するプログラムを通して育つアグレッシブな生徒は、難関大入試に強いのです」

    〈首都圏公立校は「自治体ぐるみ」で成果〉

     公立校で最も伸びているのは厚木(386人増)。神奈川は、将来の日本や国際社会でリーダーとして活躍できる高い資質と能力を持った人材を育成する学校として、学力向上進学重点校を5校指定している。厚木はその1校で、横浜翠嵐(352人増)、湘南(257人増)、川和(248人増)も難関大合格者数が大きく増えている。

     神奈川以外の公立校も、合格者が増えている背景には自治体の施策がある。青山(323人増)は東京が進学指導重点校に指定しており、小金井北(236人増)は同じく進学指導推進校に指定されている。船橋・県立(321人増)は千葉が進学指導重点校に指定、浦和・市立(318人増)は、中学を併設して中高一貫校になっている。

    西日本で伸長が著しい「兵庫・公立」

     西日本で難関大合格者数が伸びている学校は、公立校が多い。中でも、上位に西宮・市立(679人増)、西宮東(499人増)、宝塚北(205人増)の3校が入っており、兵庫の学校が伸びている。

    「兵庫県は、受験生の意向に関わらず、入試の成績で自動的に進学先を割り振る総合選抜が10年に廃止され、15年には、通学区が16から5学区に拡大されました。優秀な生徒が集中する仕組みができたことから、兵庫県の公立校が多いのです」(安田氏)

     集中した優秀な生徒が伸びる環境を自治体が整備しているのは、東日本の公立校と同じ。増加数が最も多い西宮・市立には、全県から募集可能な、理系教育に力を入れるグローバル・サイエンス科があり、西宮東は、数理・科学コースと人文・社会科学コースを設置。宝塚北にはグローバルサイエンス科がある。

     兵庫以外の公立校も状況は同じだ。守山(261人増)は中高一貫校であり、嵯峨野(206人増)には全府から募集可能な京都こすもす科がある。瑞陵(173人増)は、数学と理科教育に重点を置くコスモサイエンスコースを設置している。自治体が難関大合格の下地を整え、それらが機能しているのだ。

    大阪・公立はトップ15が「6→1」に

     大阪は難関大進学を目指す文理学科を設置する学校が10校あり、20年度の西日本のトップ15には、北野や天王寺、茨木など6校が入っていた。21年度は高津(181人増)のみだ。

     私立校で最も合格者数が増えているのは西大和学園(256人増)。京大、大阪大、神戸大など、合格者が減少した国公立大は多いが、東大の合格者が大幅増となり、旧七帝大の合格者数は38人増。常翔学園(172人増)は、11年に中学校を開設して中高一貫校になった効果もあり、難関大の合格者が増えている。

    大学通信・井沢秀

     ※「難関大合格者」としたのは、東日本は旧七帝大(東京、京都、北海道、東北、名古屋、大阪、九州)、早慶上理(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科)、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)の合格者の合計です。西日本は旧七帝大、大阪市立大、早稲田大、慶應義塾大、東京理科大、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)の合格者の合計です。           ◇         ◇ なお、3月30日発売の「サンデー毎日4月11日号」では、この10年で難関大合格者が伸びた東日本と西日本の上位15校を、合格した大学の内訳表も含めて掲載しています。また、同号では2021年度の大学入試に関連し、以下の記事も掲載しています。▽全国主要2409高校 有名108大学合格者数▽本誌恒例834人〝喜びの声〟東大合格者実名アンケート▽大学合格者高校別ランキング 国公立大総集編

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