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2021年度入試:全国4300高校徹底調査 著名進学校 難関・有名大「現役」進学実績 西日本編 灘、甲陽学院、北野…

「サンデー毎日6月27日号」表紙
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国公立大実績も「西高東低」 浪人いとわぬ一貫校優位に

 東大や京大などの難関大に卒業生の半数が進学する学校や、全国公立大を対象に7割以上の生徒が進学する学校など、進学校のタイプはさまざま。各学校の現役進学状況について、前号の東日本編に続き、西日本編をお届けする。

 国公立大志向の強さは〝西高東低〟だったが、現役進学実績も西日本が東日本を上回った。「難関10国立大『現役』進学率ランキング」で進学率が30%以上の学校は、東日本の9校に対し、西日本は13校に上る。西日本の中でも京大、大阪大、神戸大の3大学が集中する近畿で進学率が高い傾向にあり、30%以上の13校中10校が近畿の学校だ。安田教育研究所の安田理代表は言う。

「近畿の学校の中でも、私立の中高一貫校が強い。一方、北野や茨木、天王寺など、進学に特化したグローバルリーダーズハイスクールに指定された大阪府立の伝統校も頑張っています。そうした中、岡山朝日や鶴丸(鹿児島)など、地方の伝統校が入っていないのが気になります」

 ランキングのトップは灘。進学率はほぼ前年並みだが、京大の進学者が31人から21人に減少する一方、東大は57人から75人に増え、両大学の合計進学者数は88人から96人に増加した。トップ10に入った近畿の学校で、灘以外に地元の京大の進学者を東大が上回ったのは、前年の9位から5位に上がった西大和学園。東大が38人から51人、京大が36人から42人と両大学ともに前年の進学者数を上回り、進学率は7・5ポイントアップした。

 2位の甲陽学院の東大と京大の合計進学者数は前年とほぼ変わらないが、東大が31人から17人になる一方、京大は22人から37人に増え、東大と京大の進学者数が逆転した。近畿のトップ校では、東大と京大の志望者数が学年により異なることが、進学先の内訳が変わる要因となっている。

 公立の最上位は3位の北野。京大の進学者が72人から59人に減少し進学率が下がったことから、前年の2位から順位を下げた。北野と並ぶ大阪のトップ校である天王寺も京大進学者が48人から37人に減少し、7位から9位に下がった。予備校関係者は言う。「コロナ禍で先が見えない不安感から、現役志向が強い女子の安全志向が強まり、公立トップ校で京大に出願しない女子生徒が増えたことが、京大合格者減の一因になったと考えられます。それに対して、一貫校の男子生徒は、浪人をいとわず難関大に臨む傾向が強いことから、21年度の京大入試は、一貫校優位になりました」

 大阪の府立校で進学率が伸びているのは8位の茨木で、京大と大阪大がともに11人増となり、前年の10位から順位を上げた。

 西日本の進学校は医学部志向が強いので、国公立大医学部を加えた進学率も見ておこう。難関10国立大以外の国公立大医学部の現役合格者が全員進学したと仮定して算出すると、灘(51・9%)と6位の久留米大付設(51・5%)の進学者が卒業生の半数を超える。進学率が30%を超える学校のうち、医学部を加えると5ポイント以上高くなる学校には、前出の久留米大付設(+14・2ポイント)に加え、4位の東大寺学園(+8・0ポイント)、西大和学園(+5・1ポイント)、7位の白陵(+9・5ポイント)、11位の大阪星光学院(+9・6ポイント)、13位の洛星(+7・2ポイント)がある。

 次に「全国国公立大『現役』進学率ランキング」を見ると、比較可能な23校中、前年の進学率を下回ったのは5校のみで、70%超の学校が3校ある。ランク外の学校も含めて33校が60%以上で、東日本の16校を大きく上回る。コロナ禍による地元志向の高まりを受け、国公立大志向が強まっているのは両地域共通だが、西日本でより顕著なことが分かる。ランキング中の学校の特徴について、安田氏は、こう話す。

「上位に九州の学校が多い。九州には比較的規模が大きな総合大学が多く、地元に残りたい受験生の大きな受け皿となっているからでしょう。対照的に、中規模な大学が多い四国の学校は、進学率が上がりにくい傾向が見られる」

 ランキング1位は、佐賀のトップ校の佐賀西。進学率が12・0ポイントアップし前年の16位から上がった。長崎東(3位)、諫早(6位)、大分豊府(7位)など、ベスト10のうち、6校が九州の学校だ。

 九州以外では、愛媛大の進学者数が最多の松山南が2位、岡山大の進学者数が最多の岡山芳泉が4位、福井のトップ校である藤島の5位など。近畿の学校は、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)など大規模私立大に、進学先が分散することもあり、ランキングに入っていない。

 校風や環境などとともに、現役進学率も学校選びの重要項目。「難関・有名大『現役』進学者数」で、希望の進路に合った高校を確認してほしい。

 6月15日発売の「サンデー毎日6月27日号」には、西日本の「難関10国立大『現役』進学率ランキング」「全国国公立大『現役』進学率ランキング」「難関・有名大『現役』進学者数」の各表が掲載されています。他にも「自分ファーストなのか?沈黙の女帝 小池百合子」「本誌独走!ワクチン接種の盲点」などの記事も掲載されています。

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