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読めば意識ががらりと変わる しなくていい受験勉強 『ドラゴン桜2』編集担当・現役東大生 西岡壱誠

    ©三田紀房/コルク
    ©三田紀房/コルク

    ▽スケジュールを立てるなノルマを立てろ

    ▽時間をかけて頑張るは無駄!

    ▽単語帳、参考書…「見る」勉強に意味なし

     TBS系の連続ドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』が絶好調だ。偏差値の低い高校生たちが元暴走族の弁護士桜木建二の指導で東大合格を目指すストーリー。漫画『ドラゴン桜2』の編集を担当し、自身も偏差値35から東大に合格した〝リアルドラゴン桜〟の現役東大生に「しなくていい受験勉強」を伝授してもらった。

     こんにちは。漫画『ドラゴン桜2』編集担当兼日曜劇場『ドラゴン桜』東大監修、東大4年生の西岡壱誠です。みなさん、ドラゴン桜の方、ご覧いただいておりますでしょうか?

     ドラゴン桜は、偏差値の低いところから東大を目指すというサクセスストーリーなわけですが、あの漫画やドラマで登場する勉強法は、東大生が実際にやっていたものや、受験生が陥りがちな間違いを題材にして作っているものです。

     ここではそんなドラゴン桜から学べる「しなくていい受験勉強」「やってはいけない受験勉強」を語っていきたいと思います。

     みなさんが実際にやっている勉強法が、実際には間違いかもしれない!?ということをドラゴン桜の漫画を使いながら、ご紹介したいと思います!

     1 スケジュールを決めてはダメ!

     よく、勉強をスケジュールで考えている人というのは多いですよね。

    「10時から数学!」

    「13時から1時間で英語を終わらせる!」

     といった具合で考える人は多いと思います。

     しかしこれ、実は全然無駄なことです。スケジュールで考えておくと、そのスケジュールがうまくいかなかった時にやる気が一気になくなってしまいますよね。気分の問題だってありますよね。

    「今日は数学の気分!」って時にスケジュールが英語だったらやりたくないですし、「なんか気乗りしないな」ってこともあると思います。そこで、ドラゴン桜ではこんなふうに桜木先生は教えています。

    「スケジュールを立てるな!」

    「ノルマを立てろ!」

     つまり、ノルマだけを決めておいて、スケジュールでは考えないようにするのです。こうすることで、毎日の気分に応じて勉強できますし、ノルマが終わったら遊んでもいいと考えるとやる気も湧いてきます。

     ただ「今日は数学を3時間やる」とか、漠然としたノルマだと意味がありません。「国語の参考書を30ページ」とか「数学の103番~123番まで」のように、しっかり目標を数字で設定した「ToDo(やること)リスト」を作っておく必要があるのです。

     下の写真は、実際の東大生のToDoリストです。東大生は、1週間単位で今週のToDoリストを作り、それを「Doing(やっている最中)」「Done(やり終えた)」というふうに右にスライドしていくという勉強をやっている人が僕の取材では多かったです。

     ちなみに僕は東大入学後、100人以上の東大生を綿密に取材し、彼らへのアンケートなども重ねて、意識やライフスタイルを調べています。東大生は、やるべきことをしっかりと明確化しつつ、それを1週間という余裕を持ったスパンで実行していくという手法をとります。

     よくやってしまいがちな意味のない勉強として、「新しい参考書にどんどん手を出してしまう」ということがあります。東大生の中でもよくある話ですが、受験の時に勉強する内容・参考書をコロコロ変えてしまってなかなか成績が上がらないというものです。

     東大生が作っている「自分が受験までにやっておかなければならないToDoリスト」は、言い換えれば「これをやれば受かるリスト」だと言えます。

    ©三田紀房/コルク
    ©三田紀房/コルク

     2 頑張る勉強はダメ!

     さて、次にオススメなのは「頑張らない勉強」です。みなさん、勉強って頑張っちゃダメなのです。

     しっかりとズルをして、どんどん自分の勉強時間を短くできるようにしていかなければならないんです!

    「勉強は頑張らないと成績が上がらないに決まっているじゃん!」と思うかもしれません。

     が、実はこの「頑張ったら成績が上がる」という思考って、危険なんです。

     多くの人は「時間」をかけて勉強したことに満足してしまいます。

    「こんなにやっているんだから」

    「こんなに頑張っているんだから、成績が上がるはずだ」

     そんな、努力神話を僕たちは信じがちなのです。

     僕も偏差値35の時は一日14時間ぶっ続けの勉強をしようとして、失敗しました。短期的にはそれで成績が上がる瞬間もあったのですが、長くは続きませんでした。

     逆に東大生たちは、しっかりと時間を効率化して勉強に臨んでいます。例えば東大生たちの特徴として、「ゴールを先に見て逆算していく」というものがあります。

     試験で資格を取る場合や入試で合格したいと考えた時に、まずは過去問を見るのです。それで解けなかったりあまりよくわからないところが多かったりしてもいいんです。とにかく見るだけでいいんです。

     それで「ああ、これが解けるようにならなきゃならないんだな」と、勉強した先でどんな問題が解けるようになる必要があるのかを意識する勉強をしている場合が非常に多いです。

     この行為が、その後の勉強の質を大きく変える重大な行為なのです。

     逆に、普段勉強している中でも「これは自分には必要ないものだ」「ここは力を入れなくてもいい部分だ」と、ゴールから逆算した勉強を効率的に行うことができるようになります。これをやっているのとやっていないのとでは、勉強の効率に5倍以上の差が出ると言っても過言ではないでしょう。

     3 ゴールの見えない勉強はダメ!

     英単語など暗記を頑張っている人は多いと思いますが、TOEICでもTOEFLでも、英検でも大学入試でも「この単語の意味を答えなさい」という問題は出題されません。

     でも、長文の中にある英単語を知らないと問題が解けないから、ちょっと捻(ひね)って単語の知識を問う問題が出題されるから、または英作文問題でその単語を書く必要があるかもしれないから、英単語を覚えるのです。

     しかし、そういうことをまったく考えず、ただただ丸暗記をしているだけでは、その知識をほかに生かせません。丸暗記することに必死で「ゴールを考えていない」「どういうふうにアウトプットすれば点が取れるのかを考えていない」のです。だから、必死になればなるほど、成績が上がらなくなるのです。

     これは英語だけでなく、どんな教科にもあてはまります。

     数学の問題で公式を覚えたとして、どうその公式を使えばいいかわからなければ意味がありません。

     ちなみに、東大や慶應大の世界史の問題は、答えとなる単語自体はとても初歩的なのに、問題文がとても難しいから非常に解き難い、という性質を持っています。

     これは、ただ暗記する勉強をしている学生をバッサリ切るために出題しているんじゃないかと僕は思います。

     この話でわかってもらいたいのは「試験問題でどう問われるか?」というゴールが見えていない勉強は意味がないということです。

     東大生は「目的」の作り方がしっかりしています。「何を努力しなければならないのか」が見えているので、努力が報われやすいのです。

     例えば、東大生は模擬試験でも本番でも関係なく、毎回、各科目・各大問の目標点数を1桁レベルで明確に設定しています。

    「英語のこの問題は自由英作文で12点の配点だから、7点獲得できればいいはずだ。これにかけられる時間は12分程度なので、12分で7点取れるようにこの範囲の訓練をしておかなければならない」

     というふうに、全ての大問・全ての問題で、このレベルの細かさで目的の明確化を実践しています。これをやったら、そりゃ成績が上がるんですよね。

    「サンデー毎日6月27日号」表紙
    「サンデー毎日6月27日号」表紙

     4 「見る」がメインの勉強に意味なし

     英単語帳を見て、それで成績が上がった気になっている、ということがあります。同じように、参考書を読むだけの勉強だったり、教科書を眺めるだけの勉強だったり、そういう勉強にはなんの意味もありません。

     見ているのではなく、しっかりテストをしたりその単語を使えるか試していかないと意味がないのです。

     これは、インプットとアウトプットの違いで説明できます。

     勉強というのは大きく分けて二つあります。

     新しい知識や解法を覚えるのがインプット、誰かにそれを説明したり、テストしたり活用するなどの行為がアウトプットだと切り分けられます。 そして勉強というと、多くの人がインプットがメインというイメージがあると思います。本を読んだり、先生の話を聞いたり。

     ですが、実はそれでは成績は上がりません。コロンビア大学で行われた実験の結果、人間がモノを覚える時には「インプット3割・アウトプット7割」が黄金比率だと判明しました。

     つまりは、本を読んだり紙を見たり人の話を聞いたりしているだけではなく、その2倍以上の時間をアウトプットに費やしている人の方が、多くの知識を得てその情報をずっと忘れないでいられたということです。

     アウトプットというのは、情報を「使う」ということにほかなりません。

     仕入れた情報を使って問題を「解決」したり、その情報を自分なりの言葉で人に「説明」したり、またはその情報を使って新しい「質問」を考えてみることを言います。

     教科書に青いマーカーで線を引いて、赤いシートを上に被(かぶ)せたら消える、という勉強法もおすすめです。これを行うと、ただ読むだけの勉強からアウトプットを意識した勉強へと早変わりさせることができるようになります。

     以上、お伝えしたような方法を身につければ、勉強だけでなく、仕事や家庭生活で「やりたくない」ことと向き合っている人にとっても得るものが多いはずです。

     にしおか・いっせい

     現役東大生、『ドラゴン桜2』編集担当。1996年生まれ。偏差値35から2浪して東大文科Ⅱ類に合格。そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。現在は経済学部4年で休学中。共著『東大メンタル「ドラゴン桜」に学ぶ やりたくないことでも結果を出す技術』(日経BP)など著書多数

     6月15日発売の「サンデー毎日6月27日号」には、他にも「自分ファーストなのか?沈黙の女帝 小池百合子」「本誌独走!ワクチン接種の盲点」などの記事も掲載されています。

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