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小室さん母「不正」疑惑 立件の可能性はない 緊急連載・社会学的皇室ウォッチング!/9=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉

    記者会見を終え、新たに借りたマンションに戻る小室圭さん(右)と眞子さん=10月26日
    記者会見を終え、新たに借りたマンションに戻る小室圭さん(右)と眞子さん=10月26日

     小室圭さん(30)は、ニューヨーク州司法試験に不合格になった。次回試験は来年2月22、23日である。捲土(けんど)重来を期待するとともに、静かに見守ることが重要だと思う。

     さて、前回に次いでもう一度、10月26日の眞子さん(30)と小室さんの記者会見を振り返る。フォーダム大入学に際し、「皇室を利用」したとされる問題とともに、小室さんの母親の遺族年金に関する「疑惑」が質問された。この「疑惑」は一部週刊誌など限られたメディアしか報道していない。会見で、小室さんは明確に否認した。どういう問題なのか、整理してみたい。

     小室さんの母親は、その「疑惑」を追及する人物によって、今年10月6日、詐欺罪で東京地検に告発された。内容は、(1)遺族年金を不正に受給した疑い、(2)傷病手当金の不正受給の疑い――の2点であった。会見で、質問があったのは(1)である。

     母親と約400万円の金銭トラブルになっているのは元婚約者Aさんであった。告発(1)は、別のBさんに関する件である。

     母親が、Aさんと交際する以前、Bさんと交際していたことは『週刊女性』(2018年2月6日号)が最初に報じた。母親の夫(小室さんの父親)は02年3月に亡くなった。同誌は夫の死後、間もなく、母親はBさんと交際し始め、小室さん母子が住むマンションに「住みついて」いたと書いた。

     同誌(21年6月15日号)は、「同居」の間、本来は遺族年金を停止すべきだったのに、受給を続けたのは詐取の可能性があると報じた。

     また、告発状にはないが、Aさんとの婚約期間(10~12年)も、遺族年金を受給し続け、こちらも事実婚でありながら不正受給ではないかとの報道もある。

     小室さんが「不正受給」を否定したのは、BさんともAさんとも事実婚の関係にはなかったとの主張に基づく。事実婚とは、同居したり、生計を一にしている関係のことだ。質問はとくにBさんの件であり、小室さんは同居という報道を否定した形である。

     そもそも詐欺罪の時効は7年で、今から7年前(2014年)の段階で母親は誰とも交際していない。この件で、母親が立件されることはあり得ないだろう。

     事実上の門前払い

     もう1点、(2)の傷病手当金の問題だが、初報は、『週刊新潮』(21年9月9日号)だった。

     小室さんの母親は、度重なる批判にメンタルを病み、18年から翌年の1年半、勤務先を休職。その際、健康保険組合から傷病手当金の支給を受け、標準報酬月額の3分の2相当を受け取っていた。同誌は、18年と19年の夏期、知人女性が経営する長野県軽井沢のレストランで母親は働いており、手当金受給中に別の場所で雇用されるのは、不正とみなされる可能性があると指摘した。

     だが、レストラン・オーナーである知人女性は、母親には給与を支払っていないと話している。知人女性は、メディアに追われる母親に同情して、隠れ家を提供した。ときに店を手伝ってもらうこともあった。知人女性は、「警察だろうが検察だろうが、誰が来たって私は全然平気よ」と反論している(『女性セブン』21年11月11・18日号)。

     知人女性の証言の真偽という問題は残るものの、実際のところ、告発状は受理されず、返戻(へんれい)された。検察庁から告発者には以下のように通知されたという。

    「犯罪構成要件に該当する具体的事実を特定してもらう必要がある。犯罪構成要件に関する具体的事実が記載されておらず、具体的な証拠に基づいた記載もなく、告発事実が十分に特定されているとはいえません。犯罪地または犯人の所在地を管轄する警察署等に相談されることをご検討願います」(FRIDAYデジタル、21年10月14日)。

     現段階では、事実上の門前払いである。小室さん母子に厳しい『週刊文春』(21年10月21日号)でさえ「起訴されれば母親(本文では実名)は〝被疑者〟として東京地検の取り調べを受けることになるが、現時点ではその可能性は低そうだ」と書くほどだ。

     より丁寧な説明を

     問題は、あやふやな情報に基づいた告発、それも、返戻された告発を記者会見でぶつけたことだろう。ただ、記者会見を開くと決めたのだから、このような質問が出されるのはいたしかたない。

     二つの「疑惑」は一部雑誌が書くのみで、新聞・テレビは報じていなかった。ところが、会見で出されたゆえに、その質疑は新聞・テレビも触れざるを得なくなった。「疑惑」を報じた一部雑誌を読まない人にとっては、詳細が分からず、戸惑ったことだろう。その後も、新聞・テレビは細かい事情を伝えていない。

     疑惑に関する小室さんの否定は「そのような事実はありません」という一言だった。

     法律論で言えば、論点回避をし、詳細に踏み込まないのは正攻法である。一方で、もう少し説明したほうがよかったのではとも思う。

     たとえば、Aさんとの件では当初、家計を一緒にする計画があり、Aさんはエクセルで作成した家計予定表を一部メディアに提示している。母親はのちに贈与税を払うことで、金銭のやり取りは、事実婚の相手からの生活費の補てんでないことを明確にしようとした。この点をさらにクリアにしたほうがよかった。

     また、仮に違法でなくても、遺族年金をもらいながら、婚約者から大金のやり取りをするのは、モラルとしての問題が残る。この点はもう少し丁寧に説明した方がよかったのかもしれない。

     というのも、会見が終わった当日、告発者は、動画配信サイトで「疑惑」追及の熱弁をふるい、それを見る人も少なくなかったからである。

     しかし、どんな説明をしたところで、小室さん母子なら不正をやっているに違いないと信じ込む人には、説明の効果がないとの指摘もある。議論が交わせない社会は健全ではない。

     少なくとも言えることは、母親のこの件が捜査機関によって事件化される可能性は、現在の証拠のままでは、ゼロであるということだ。

    もり・ようへい

     成城大文芸学部教授。1964年生まれ。博士。毎日新聞で皇室などを担当。CNN日本語サイト編集長、琉球新報米国駐在を経て、2017年から現職。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史―側室・育児・恋愛』(吉川弘文館)など

    「サンデー毎日11月21日号」表紙
    「サンデー毎日11月21日号」表紙

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