教養・歴史 書評 『北方領土交渉史』 鈴木美勝著 ちくま新書 1034円 2021年11月19日 『北方領土交渉史』 鈴木美勝著 ちくま新書 1034円 返還の兆しが見えない北方領土。歴代の首相や官僚らが難題に挑んだ過程をベテラン政治記者が追った。交渉は時に前進するものの、自民党内の権力闘争が対旧ソ連の主導権争いにつながるなど、日本側がその時々の内政に左右され一枚岩になれなかった実態が明かされる。安倍晋三政権時はロシアが力を持つエネルギー資源と絡める新たなアプローチで局面打開を図ったが、狡猾(こうかつ)なプーチン大統領らを突き崩せず挫折。外交の厳しさを痛感させられる。(W) 前の記事 中国史屈指の混沌時代 従来説覆し、活写=加藤徹 次の記事 大手出版社はいまやコミック、デジタルが収益の大黒柱=永江朗 文字サイズ 小中大 印刷