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2022年大学入試:入試速報第5弾 東大・京大 国公立大前期合格者高校別ランキング 北大、東北大、名大、阪大、九大、東工大、一橋、神戸…〈サンデー毎日〉

「サンデー毎日3月27日増大号」表紙
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 東大は開成が41年連続首位 聖光学院、西大和学園、桜蔭…一貫校が復権

 2022年度(22年4月入学)の東大一般選抜の合格者が3月10日に発表された。合格者数は2996人。新型コロナウイルスの陽性や発熱による2次試験の欠席者13人と、大学入学共通テストを受験できなかった4人の計17人については26日に合格発表が行われる。

 女子学生の比率を3割にし、多様性のあるキャンパス環境を作ることは東大の悲願だ。しかし、22年度の一般選抜における女子の合格者は593人で全体の19・8%。合格者の女子比率が20%だった21年度を下回った。

 東大は、女子学生が増えないのは、女子の志願者が増えないことが理由だとしてきた。しかし、22年度の一般選抜で、第1段階選抜の合格者は1930人で、前年を172人上回った。それでも、2次試験をクリアできた女子の合格者は減少した。背景にあるのは2次試験における数学の難化、と話すのは、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏だ。

「一般的に男子に比べると、女子は数学が苦手な受験生が多いことから、数学が大幅に難化した2次試験で苦戦したのでしょう」

 21年度の東大入試では、数学が易化したことにより、女子の躍進につながった。22年度は逆の傾向が見られたということだ。

 共通テストの平均点ダウンに加え、2次試験が難化した22年度の東大入試は、科類別の合格者の平均点がこの10年で最低となった。そうした状況下で、合格者が最も多かったのは41年連続で開成だった。昨年まで2年続けて合格者が減少してきたが、45人の大幅増で191人となり、過去10年で最高だった12年の203人に次ぐ合格者数となった。

 合格者の首都圏に集中 地方公立校は苦戦か

 2位は灘で92人。3位の聖光学院は前年を12人上回り、19年度の93人に次ぐ合格者数だった。4位の西大和学園は、4年連続の合格者増で過去最高だった21年度を3人上回った。女子が苦戦する中、桜蔭が6人増の77人で5位。6位は渋谷教育学園幕張だった。

 東大の発表によると、全体の志願者に対する関東の学校の占有率は約6割で21年度とほぼ同じ。だが、合格者は21年度の1711人に対し、22年度は1807人に増えている。多様性の観点から関東の学校からの合格者を減らしたい東大の思惑とは裏腹の結果となり、その占有率は57・2%から60・3%に上がっている。要因としては首都圏の一貫校の躍進が挙げられ、前出の学校以外にも9位の駒場東邦、10位の栄光学園、11位の海城など、合格者が増える学校が多くなっている。

 駿台の石原氏は言う。

「数学が飛び抜けてできる生徒が多い中高一貫校が優位になり、共通テスト高得点の貯金で、一貫校の生徒との2次試験での学力差を埋めたいと考える公立校が苦戦したようです。昨年は多くの生徒が現役で合格したため、浪人が減っている影響もあるでしょう」

 一貫校の合格者が増える一方、前年は数学が易化したこともあり、公立校は合格者が増えた学校が多かった。今回は27位の岡崎、43位の土浦第一と水戸第一、宇都宮などで合格者が減っている。

 京大は北野が5年連続トップ 四日市、浜松北、県浦和…近畿外も躍進

 京大の合格者数ランキングを見ると、トップは5年連続の北野だが、合格者数は2年連続で減少。2位は東大寺学園、3位は洛南。4位は天王寺、5位は清風南海となった。2次試験が難化した東大に対し、京大は入試問題の難易度に大きな変化はなかった。そのため、昨年の傾向を引き継ぎ、一貫校優位の状況となっている。

 22年度の特徴としては、合格校の地域的な変化が見られる。東大とは対照的に、地元である近畿の学校が減少傾向にあり、それ以外の地区で増加が目立つのだ。

 近畿2府4県でも清風南海や灘のように合格者を大幅に増やしている学校がある。一方、8位の西大和学園や15位の西京と奈良など減少している学校も多い。

 2府4県以外では、15位の四日市、22位の浜松北、26位の浦和・県立などで合格者が増えている。現時点では全体の合格者に対する2府4県の学校の占有率は、前年を下回っている。

 22年度の東大と京大の入試では、合格者の関東への集中が進む東大と、全国区に広がる京大という図式が見えてきた。両大学の出身高校別ランキングの詳細について、次号でお伝えする。

 3月14日発売の「サンデー毎日3月27日増大号」には、ほかにも「ウクライナ危機!寺島実郎の全面分析 日本の民主主義よ 専制、ポピュリズムの罠に陥るな」などの記事を掲載しています。

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