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2022年大学入試:入試速報第6弾 早稲田・慶應 合格者高校別ランキング 現役合格率は早稲田で高く〈サンデー毎日〉

「サンデー毎日4月3日増大号」表紙
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 ともに志願者は増加も倍率は低下

 国公立大前期の合格発表が終わり、2022年度入試(22年4月入学)も大詰めとなった。22年度の私立大一般選抜は、前年の大幅志願者減の反動で増加に転じる大学が増える中、最難関の早慶はどのような入試状況だったのか。検証する。

 21年度の難関私立大入試は新型コロナウイルスの感染拡大もあり、志願者が増えた大学を探すのが難しいほどで、倍率面は易化が進んだ。22年度は一転、大半の大学で志願者が増えている。早慶も例外ではなく、早稲田大は21年度を2184人上回る9万3843人。慶應義塾大は5年ぶりの志願者増となり、1213人増の3万7894人だった。

 志願者が増えたのは、前年に減少した反動に加え、大学入学共通テストが難化したことで、難関国立大志望者が併願を増やした影響もある。東大や京大、一橋大、東京工業大など、国公立大の最難関クラスの志望者が、早慶に〝保険〟をかけるケースが見られた。 ただ、志願者は増加しても、早慶ともに倍率が上がったわけではない。22年度の正規合格者数は、早稲田大が前年を1136人上回る1万4078人、慶應義塾大は前年を418人上回る8460人となったことから倍率(志願者数÷合格者数)は、早稲田大が7・1倍から6・7倍、慶應義塾大は4・6倍から4・5倍に下がっている。正規合格者が増えた理由について、代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世氏が解説する。

「定員管理の厳格化で入学者が定員の1・1倍を超えられなくなり、多くの大学が正規合格者を抑えめにし、補欠合格で調整してきました。しかし、後から合格を出しても、同じ志望度の大学なら、先に手続きした大学から変更するケースは少ない。そのため、合格者を確実に確保するために正規合格者を多くしたのでしょう」

 16年から続く入学定員の管理の厳格化から得られた経験値から、合格者の歩留まりが読めるようになったこと。そして何より、受験生や高校から、入学手続き後に合格通知が来ることに対する不満が大きかったことが、正規合格者数を増やす要因になったようだ。この傾向は、早慶に限らず、多くの大規模私立大で見られた。

 早慶の合格者数トップ10を見ていこう。早稲田大の1位は15年連続の開成で、前年を30人上回る255人。学部別では、基幹理工(45人)、先進理工(40人)、創造理工(19人)、政治経済(57人)、法(36人)でトップだ。2位は12人増で前年の3位から順位を上げた渋谷教育学園幕張で、学部別では商(17人)でトップ。17人増で前年の4位から3位になった湘南は教育(35人)でトップだ。4位は39人減で2位から下がった日比谷。5位は47人増で文(26人)と文化構想(28人)でトップになった女子学院と聖光学院となっている。

 他の学部では、栄東がスポーツ科(18人)と人間科(26人)でトップ。国際教養は頌栄女子学院(16人)▽社会科は青山、西、開成(各13人)――が最多だった。

 慶應義塾大の1位も開成で9年連続。合格者は34人増で200人になった。学部別では、医(14人)、経済(36人)、総合政策(10人)、理工(91人)でトップ。2位は5人減も3位から上がった日比谷。横浜翠嵐は7人増で6位から3位、4位は昨年と同じ渋谷教育学園幕張で、5位の海城は25人増で11位から順位を上げた。

 学部別の合格者数を見ると、環境情報は麻布(8人)▽看護医療は洗足学園(4人)▽商は芝と洗足学園(各31人)▽文は大宮開成(23人)▽法は頌栄女子学院(27人)▽薬は桜蔭(15人)――がそれぞれ1位になっている。

 次に、現役合格者数トップ10を見ていこう。ランキング中の現役合格率を比較すると、全体的に早稲田大の方が高い傾向にある。例えば、早稲田大でトップの女子学院は、早稲田大88・4%に対し、慶應義塾大は81・7%。同じく2位の日比谷は、82・7%に対して77・4%などとなっている。

「一昔前の早稲田大は難問が多く、現役合格は難しかった。今は標準的な問題になっているため、現役合格率が上がっているのでしょう」(代ゼミの坂口氏)

 早慶の現役合格率は女子校に高い学校が多く、前出の女子学院以外にも、早稲田大では、7位の豊島岡女子学園が92・7%。9位の桜蔭が91・8%、15位の洗足学園が98・1%(現役合格者104人)など。慶應義塾大は、5位の洗足学園が93・9%、8位の頌栄女子学院が93・3%、トップ10圏外では、11位の桜蔭が82・8%(同77人)、13位の女子学院が81・7%(同76人)、15位の豊島岡女子学園が89・9%(同71人)などとなっている。

「女子の安全志向は強く、東大など難関国立大に受かる力があっても、現役で早慶と考える傾向が強い」(予備校関係者)

 一方、早慶それぞれの合格者数ランキングで首位に立つ開成の現役合格率は、早稲田大が56・1%、慶應義塾大が56・0%と意外に低い。代ゼミの坂口氏は言う。「東大の合格者数ランキングトップの開成は、現役で早慶を視野に入れる生徒が少ないため、現役合格率が低いのでしょう」

 私立大で最難関の早慶の合格者数ランキングを読み解くには、多面的で複合的な視点が求められるということのようだ。

 3月22日発売の「サンデー毎日4月3日増大号」には、早稲田・慶應義塾の両大学の「合格者高校別ランキング」「合格者数高校別トップ10」「現役合格者数高校別トップ10」を掲載しています。

 ほかにも「第2弾 アイドルが語る『僕が学び続ける理由』 川島如恵留、那須雄登」「激闘120分インタビュー 橋下徹にすべて訊く」などの記事も掲載しています。

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