「コンサート」を通じて支援を 日本ウクライナ芸術協が配信〈サンデー毎日〉
音楽の交流からウクライナを支援しようと、日本ウクライナ芸術協会がオンラインコンサートの〝チケット〟を販売中だ。集まったお金は経費など取らず、そのまま国際NGO「アドラウクライナ」へ送られ、現地での医療品や必要物資に充てられる。
横浜市とウクライナの港湾都市オデッサは姉妹都市関係にある。今回は昨年12月に横浜市で開かれた同協会主催の「横浜オデッサ姉妹都市提携55周年記念ガラコンサート《オレグ・クリサ&フレンズ》」の動画をオンラインで有料配信し、収益をウクライナ支援に充てるという企画だ。
コンサートにはウクライナ出身の世界的なバイオリニスト、オレグ・クリサ氏がコロナ禍で来日できなかった。しかし、同国出身で日本在住のクラリネット奏者T・デムチシン氏や同協会代表でバイオリニストの澤田智恵さんらが出演。3月15日現在で約300件、290万円が寄せられ、うち約50万円は配信と関係なく寄付されたという。
横浜市在住の澤田さんは国立音楽大を卒業後、ロシア国立グネーシン音楽院に留学。帰国後の2015年にクリサ氏の通訳を務めたのをきっかけに、ウクライナの音楽家と国にひかれて交流を深め、18年には同協会を設立。今年6月にはウクライナでコンサートツアーを行う予定だった。
音楽家の友人をはじめウクライナの人々を気遣うとともに、コンサートホールなどの破壊にも胸を痛めている澤田さんは「ハリコフのオペラ劇場にはミサイルが当たったといった話も聞いています。ウクライナは多くの音楽家を輩出している芸術大国であり、また民謡の宝庫です。ウクライナの魅力についても知ってほしい」と訴える。
今後はウクライナを代表する音楽の動画を販売するなどして支援を続ける方針だ。オンラインコンサート申し込みなど詳しくは日本ウクライナ芸術協会(japan.ukraine.art@gmail.com)まで。
(川井龍介)