テクノロジー挑戦者2022

完全非接触で上質コーヒーを身近に=中尾渓人・ニューイノベーションズ代表

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

中尾渓人 ニューイノベーションズ代表 完全非接触で上質コーヒーを

 流通量の少ないスペシャルティーコーヒーが手軽に飲めるとして、駅中などに設置された無人カフェロボットが話題を呼んでいる。

(聞き手=斎藤信世・編集部)

 2021年4月から、首都圏の駅中などで無人カフェロボット「root C(ルートシー)」を展開しています。スマートフォンに専用アプリをダウンロードし、好みのコーヒーや受取場所・時間などを選択し、指定されたロッカーに取りに行く仕組みです。(挑戦者2022)

 ターゲット層は20代中盤から60代まで。混雑などを理由に大手コーヒーチェーンでの購入を諦めた人たちの取り込みを狙っています。若年層の他、サラリーマンや主婦層の利用も増えており、多い場所では、1日百数十杯売れています。

 コーヒーは1杯450円で、無制限に飲める7980円の月額プランなどもあります。ルートシーでは、生産した場所や人が明確でかつ高品質な「スペシャルティーコーヒー」のみを扱っているため、使用しているコーヒー豆の原価も大手チェーンより約4~6倍高いですが、僕らは人件費がかからない分、この価格での提供を可能にしました。

 ルートシーは現在までに、東京・新宿の商業施設「ニュウマン新宿」のほか、大阪市や埼玉県の商業施設内に計11台を設置しました。23年度には大都市圏などを中心に50台ぐらいに拡大したいです。

幼少期から工作熱中

 5歳ごろから電子工作が好きで、炊飯器や掃除機など、身の回りにある家電製品を分解したりしていました。小学4年生からロボット競技の祭典「ロボカップジュニア」に出場を始め、中学2年生の時には日本代表としてオランダに、中学3年生ではブラジルに行きました。

 大会に出るための資金が必要だったので、高校1年生からはフリーランスのエンジニアとして働き始めました。取引先の数は3年間で300に広がりましたが、想定よりも仕事量が増えたことで、本来やりたかったことに使う時間がなくなってしまい、また学業にも影響が出るようになりました。

 そこで、「自分がやりたいことを全うできる会社を作ろう」と思い、高校3年生だった18年1月に起業しました。その年の4月からは大阪大学工学部に通いながら、やりたいことを優先したいと、7月には東京に引っ越しました。今も学籍はあるのですが、卒業は難しいと思います。

 当社は、ルートシーだけでなくOMO(オンラインとオフラインの融合)を中心に法人向け事業も行っています。ありがたいことに、これまでに多くの投資家に会う機会をもらえ、20年にはソフトバンクグループのベンチャーキャピタル「ディープコア」(東京・文京)などから資金調達することができました。

 今は自分の興味を追求したいと思っていて、失敗しても成功しても、やりたいことをやれることに幸せを感じています。今後は、モノにソフトウエアを載せ、それがサービスを提供するというルートシーのようなサービスを、建設や医療、介護などの業界にも広げていきたいです。


企業概要

事業内容:無人カフェロボット「root C」事業やOMO(オンラインとオフラインの融合)事業の展開

本社所在地:東京都江東区

設立:2018年1月

資本金:28億400万円(資本準備金含む)

従業員数:30人


 ■人物略歴

なかお・けいと

 1999年和歌山県生まれ。智弁和歌山高校在学中の2018年1月に「ニューイノベーションズ」を起業。同年4月に大阪大学工学部に入学し、現在も在学している。22歳。

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