経済・企業挑戦者2022

家具のサブスクで業界を変える―ソーシャルインテリア・町野健さんインタビュー

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

町野健 ソーシャルインテリア代表取締役 家具の定額利用で業界を変革

 家具はいまや「買う」から「借りる」へ──。そうした時代の変化を先取りしたサービスに取り組んできたのがソーシャルインテリアだ。

(聞き手=和田肇・編集部)

 家具や家電が定額で利用可能なサブスクリプションサービス(サブスク)を提供しています。日本で初めて家具のサブスク事業を始めました。利用者はウェブサイトを通じて会員登録、クレジットカード登録をしてもらい、同じくウェブサイトで借りたい家具や家電と利用期間を選んで申し込みます。利用料金は月額払いで、申込金や回収費用はかかりません(初月は月額料金と送料のみ)。(挑戦者2022)

 毎月支払う月額料金はその家具の定価を上回らないように設定しており、災害時や不注意の商品破損の場合の補償も付いています。利用後は当社が回収しに行きますが、その家具を気に入れば購入することもできますし、利用期間を延長することもできます。取り扱う家具や家電は国内外の約600ブランド、12万種類あり、例えばハワイアン家具のレフアの椅子が月額1030円(利用期間24カ月)で利用できます。

サービスを提供するオフィス家具のレイアウト例 ソーシャルインテリア提供
サービスを提供するオフィス家具のレイアウト例 ソーシャルインテリア提供

 個人向けだけでなく、法人向けもにもサービスを提供しており、新型コロナウイルス感染症の影響もあってか、利用する企業が増えています。オフィス家具も個人机のような個人で使うものよりも、長テーブルなど社内のフリースペースに使うような家具の利用が増えていますね。また、在宅勤務が増えたので、在宅で仕事をするための家具も増加しています。

 利用期間が過ぎたオフィス家具は当社が回収するので、企業の廃棄物削減にも役立ちます。最近のSDGs(持続可能な開発目標)の機運拡大も、当社の追い風となっています。こうしたサブスク事業のほかに、返却された家具の再販や、家具メーカーの遊休在庫品を利用者に売却するサービスも展開しています。

自分の引っ越しが契機

 モノづくりが好きだったので大学は工学部に進み、モノづくりの会社に入りました。しかし、別の会社で働いているうちに会社を作ることに興味を持ちました。ソーシャルインテリアを設立したきっかけは、自分自身の引っ越しです。いい家具があると部屋の質が高まり、仕事などへのモチベーションも上がりますが、家具は価格が高くて簡単には購入できない。ならば、家具とサブスクを結び付けてみようと考えました。

 現在の会社を設立したのは2016年ですが、最初は別のビジネスを考えていて、実際に家具のサブスク事業を始めたのは17年末。サブスクのビジネスモデルは日本では音楽配信ぐらいしかないことに気づき、チャンスが大きいと同時に、変革を起こせる業界だと考えました。

 とはいえ、家具の購入が当たり前だった状況から、「借りる」という日本初の試み。最初は認知度も低く、資金繰りに苦労するなど大変な時期が続きました。その後、サブスクが日本でも広がるようになり、「借りる」ことへの抵抗感もなくなってきたことを感じます。競合他社も出てきていますが、今後もしっかりと着実に事業を拡大していきたいですね。


企業概要

事業内容:家具や家電のサブスクリプション事業、同中古販売事業

本社所在地:東京都渋谷区

設立:2016年11月

資本金:1億円

従業員数:50人


 ■人物略歴

まちの・けん

 1974年東京都生まれ。2000年に上智大学大学院修了後、日本ヒューレット・パッカード入社。マクロミルを経て12年にベンチャー企業を設立。16年にカマルクジャパン(後にsubsclifeに改称、現ソーシャルインテリア)を設立。47歳。

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

7月12日号

止まらないインフレ 資源ショック20 衝撃は石油危機に匹敵 「資源小国」日本の正念場 ■荒木 涼子/和田 肇24 原油の行方 2次制裁発動なら記録的高騰へ ■原田 大輔27 中国・インド “ロシアに冷淡”な資源輸入国 ■和田 肇29 戦略物資 EVや再エネの普及に必須の「銅」 ■片瀬 裕文30 天然 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事