法務・税務

《相続&登記》所有者不明土地で再エネ・災害設備も建設可能に=編集部

 所有者不明土地の利用を促す特別措置法の改正法が、4月に成立した。(相続&登記 特集はこちら)

 大きな改正ポイントは二つある。一つ目は、所有者不明土地の利用の選択肢を広げたことだ。

 同法は、東日本大震災で所有者不明土地が復興を妨げているという問題意識を機に2018年に制定された。同法の成果が「地域福利増進事業」の創設だった。所有者不明土地を、道路、学校、病院、広場や公民館などの公共性の高い設備のために最長で10年間利用できる制度だ。

 手続きは、(1)事業者や市町村が都道府県に土地を利用するための申請を出す、(2)都道府県が申請内容を確認の上、公告する、(3)都道府県が使用期間を決め、不明所有者が出てきた場合の賃料に相当する補償額を算定する、(4)事業者が補償額を供託し使用権を取得、というステップを踏む。

 改正法では、同事業の対象を、再生可能エネルギー発電設備や、災害備蓄倉庫、非常用電源などの災害関連施設にも広げた。土地利用期間の上限も、再エネ設備などを民間事業者が整備する場合、従来の10年ではなく20年にした。

 この事業を利用できる対象は、更地か、簡易な構造の建物が建つ所有者不明土地に限られていた。「簡易な構造の建物」とは、具体的には20平方メートル未満の平屋建物を指す。しかし、実際は20平方メートル以上、あるいは2階建ての荒廃した建物が建つ所有者不明土地は多い。このような土地は同事業には適用できず、現場から「実態に合わないのでは」との意見が寄せられていた。そこで、改正法では面積と構造の要件をなくし、荒廃して利用されないことが確実である建物が建つ所有者不明土地も制度の適用対象とした。

市町村の代執行も解禁

 もう一つの改正点は、市町村が管理が見込めない所有者不明土地について適切な措置を講じる「代執行制度」を創設したことだ。高台の所有者不明土地から柵や岩石が落下するのを防止するために、これらを除去することなどが想定される。

 代執行は、既に建物については可能だ。空き家対策の特措法があるからだ。所有者不明土地については従来、地方自治体の条例で代執行制度を設けていた。ただ、代執行の前には、所有者とみられる人物へ適切措置を講じるよう勧告・命令することが必須だ。勧告・命令の際には、固定資産税課税台帳など国レベルで整備している公的情報が必要だ。自治体から「国レベルで整備した公的情報の提供が可能となる根拠法令を」との要望があり、今回の改正で法令に新規定を盛り込んだ。

(編集部)

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