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法務・税務注目の特集

《相続&登記》予期せぬ税負担の危険も 大変革に備えよ=村田晋一郎

 相続や登記に関するルールが大きく変わる。2021年の民法改正によって、相続財産の保全や清算制度が使いやすくなる(施行は23年4月)。さらに24年4月からは、相続登記の申請が義務化される。増え続ける所有者不明土地や空き家問題の解消に向けての対策、法整備だが、それは同時に誰もが予期せぬ相続人にとなり、税負担を求められるリスクとなりかねない。対策が急務だ。個別の具体事例で解説する。(相続&登記 特集はこちら)

 財産・財務の整理や遺産分割、相続登記を放置していると、不動産を相続する際に身に覚えがない税負担を求められることがある。

 例えば、祖父母の代で相続登記をしていなかった土地をめぐって固定資産税の滞納問題が発生したケースでは、相続した認識がない孫に課税・徴収が及び、他の親族には納税が及ばないことになり、トラブルになった。

 土地や家屋の固定資産税は、所有者として登記されている人が納税義務者となる。そして所有者として登記されている人が亡くなった場合、その土地や家屋などを「現に所有する者」が納税義務を負うことになっている。

 相続により共有となった不動産の税金は本来、連帯して共有者となった相続人全員が負担すべきとされる。しかし、実務面では「現に所有する者」を誰か一人特定できれば、その人に納税通知書を送付できることになっている。この「現に所有する者」の特定は、市町村の裁量で行われ、必ずしも共有者全員に平等に行われるとは限らない。冒頭に挙げたケースでは、対象不動産のある自治体に居住しているというだけで、被相続人の孫が相続人の代表に認定された。このように相続した認識がない人が突然、納税の義務を負うこともありうる。

 相続人の間で誰が固定資産税を負担するかでもめている場合でも、行政サイドは、税金を徴収する対象が相続人の誰であるかは問わない。とにかく徴収できる人から徴収できればいい。そして、誰が負担するかの調整は、あくまで相続人同士で行うべきものと考えている。

「現に所有する者」に特定された納税義務者には督促状が送付され、10日以内に納付がなければ財産が差し押さえられる。差し押さえは固定資産税対象の不動産とは限らず、財産捜索が行われ、預貯金なども差し押さえられ、強制的に税金を徴収される。「現に所有する者」に特定された人にとって、突然巨額の負担を強いられる場合、親族間のトラブルの原因となりかねない。

 今回の法改正により、空き家や塩漬けの土地といった社会課題が解決に向かい、また税金の徴収が進むことが期待される。だが、その一方で、土地や家屋に対する税負担の対象者がより明確化されることになる。この際に、税負担に関するトラブルが多発する可能性がある。

 相続にあたって、親族間に禍根を残すことなく、また余計な資金の流失を防ぐためにも、早急に相続登記や財産の整理を進める必要があるだろう。

(村田晋一郎・編集部)

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