モノの貸し借りサイト「アリススタイル」を運営
2020年代は「21世紀型経済」に変わる時期とピーステックラボの村本理恵子社長は語る。
(聞き手=和田肇・編集部)
村本理恵子 ピーステックラボ代表取締役
21世紀は買わずにシェアする時代
モノの貸し借りの「シェアリングプラットフォーム」を運営しています。具体的には、「アリススタイル」というサイトを開設していて、利用者はそのサイトにアクセスして会員になっていただき、好みの家電製品などを借ります。
サイトに出品している商品のジャンルは、美容、フィットネス、キッチン、生活家電、オーディオビジュアル、IT関連、ベビー、ホビー、ホームセンターなど、約500種類を扱っています。サービスは定額制(月額2980円)の「アリスプライム」と期間設定の「アリスベーシック」の2種類あります。ベーシックだと延滞などを気にする必要がありますが、プライムの定額制ならば、好きな期間借りられます。サイトへの出品は個人でも企業でもできます。その貸し借りの手数料を私たちの収益としています。
当社のサイトには個人や企業が出品していますが、個人の場合は、自分の持つ遊休資産のような製品を出品する、人気の商品を自分で買って、出品するという2通りのケースがあるようです。企業も2通りあり、一つはマーケティングの目的から、新製品を出品するケース。もう一つは、在庫品を出品するケースです。在庫品を貸し出せば少しでも収益につなげられますし、倉庫も有効利用できる。最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、新商品を発売しても、なかなか消費者が手に取れない状況があります。企業にすれば、100個の商品を貸し出せば、500人、1000人が利用できるわけです。新製品のマーケティングや在庫遊休資産の有効利用ができます。
利用者層は、新しいサービスに敏感な20代の若い女性層や30代のワーキングマザーの方などが多いですね。最近では40代の女性層や男性層にも広がっています。
「豊かに生きる」とは何か
前職は動画の配信事業に携わっていましたが、その中でモノのオンデマンドサービスをやってみたいと思うようになりました。日本は昔は「1億総中流社会」などといわれていましたが、近年は実質賃金は下がり続け、経済格差が拡大しています。そうした状況の中で、「豊かに生きるとは」を考えた時、「モノを買う」ということをやっている限りは、限界があると考えていました。それがモノのオンデマンドをやってみたいという自分の思いと重なり、この会社を立ち上げる契機となりました。
会社立ち上げ当初はやはり苦労しました。最初はエンジェル投資家の方たちに協力していただきましたが、私たちのビジネスモデルを理解していただくのは大変でした。その後は興味を持ってくれた事業会社さんに出資してもらい、さらにベンチャーキャピタルからの投資も得ることができました。
今後は、シェアリングサービスのジャンルを広げていきたいですね。また、いろいろな企業と提携してサービスを展開していきたい。例えば、不動産会社と提携して、その会社の顧客が欲しいサービスを行うといったものです。今は「20世紀型経済」から「21世紀型経済」に変わる時期だと考えています。
企業概要
事業内容:家電、オーディオ機器、ホビー、旅行用品、美容機器などのレンタル事業
本社所在地:東京都渋谷区
設立:2016年6月
資本金:約4億8000万円
従業員数:40人
■人物略歴
むらもと・りえこ
1955年東京都生まれ。1979年に東京大学文学部社会学科卒業後、時事通信社で世論調査・市場調査分析に従事。専修大学や法政大学の教授、ガーラ会長、エイベックス・デジタル取締役などを務めた後、2016年にピーステックラボを設立。 67歳。