直近のSNS情報から反社関連まで安価に提供
武田浩和 アラームボックス代表取締役CEO
取引企業の信用情報をAI(人工知能)で収集・解析する与信管理サービス「アラームボックス」。手軽な価格で導入できるとして、中小企業を中心にニーズが伸びている。
(聞き手=斎藤信世・編集部)>>>これまでの「挑戦者2022」はこちら
企業の与信管理をAIで簡単に
主な事業内容は、AI(人工知能)を使った与信管理のクラウドサービス「アラームボックス」の開発・提供です。SNS(交流サイト)や口コミサイトなどインターネット上にある情報をAIが収集・解析し、企業間取引において取引相手が信用できる相手かどうか、取引額の限度額はどの程度が妥当か、などを調べることができるサービスです。
料金体系は3種類あり、一番安いプランで月額2800円(税抜き)からあります。また、オプションサービスとして、500円で反社会的勢力に関する情報を取得できるサービスなども展開しています。
昨今のコロナ禍で、取引先の未払いや連鎖倒産の増加が懸念されています。過去の決算情報だけでなく、SNSに載っている情報などをリアルタイムで収集し、提供することで企業は迅速な判断が可能になります。現在までに5000社に導入しました(2022年5月末時点)。金融機関や製造業、卸売業、ITサービス業などが多く利用しています。今後5年以内には顧客を10万社まで拡大したいです。
中小企業こそ与信管理を
那須高原で生まれ育ったので、子どもの頃は外を走り回って遊んでいました。高校生の頃からはゲームばかりやっていて、大学時代はホームページを作ったりしていましたね。
大学卒業後は、中小企業向けの融資などを行う会社に入社しました。そこで、与信管理の課題を感じたことが起業のきっかけです。中小企業は費用面や専門人材の欠如などを要因に、(与信管理の)導入がなかなか進まないんです。一方、従来の信用調査会社のサービスですと、費用が高いわりに、情報の鮮度や精度の点で問題がある。そうした課題を解決できる、新たな与信管理サービスを作りたいと思い、当社を創業しました。
資金調達に関しては、シード期(創業期)は多少苦労しましたね。製品がないままに、資金調達をしようとすると、ベンチャーキャピタル(VC)は、すぐには資金を出してはくれません。原型(プロトタイプ)ができてからは、VCもお金を出してくれました。
今後の目標としては、企業情報を一層充実させて、アラームボックスに登録すれば、調べたい企業の情報が一瞬で分かったり、取引可否がすぐに判断できるような体制を構築することです。特に、中小企業にとって使いやすいサービスを作りたいと思っています。与信管理というと、どうしても大企業の方がしっかりやっている印象がありますが、本当は財務体質が脆弱(ぜいじゃく)な中小企業の方が必要なんです。でも、費用面の負担から、なかなか整備できなかったりするので、中小企業が始めやすいユーザーインターフェース(UI)のサービスを作っていきたいですね。
一方で、大企業や金融機関も与信管理には労力や人手をかけています。そういったものを自動化する、企業調査や与信管理のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を支援するサービスにも派生させていきたいと思っています。
企業概要
事業内容:ITによるリスク管理サービス、保証サービス事業
本社所在地:東京都新宿区
設立:2016年6月
資本金:3億3600万円
従業員数:45人
■人物略歴
たけだ・ひろかず
1977年栃木県生まれ。栃木県立大田原高校を経て、2000年に東京情報大学卒業。新卒でNISグループに入社後、16年6月にアラームボックスを設立。45歳。