週刊エコノミスト Online サンデー毎日
2023年大学入試:西日本・主要118私立大 共通テスト利用入試情報 難関大で「利用方式」志望増
関西の「国公立志向」表れか
私立大の大学入学共通テスト利用方式の志望者が全体的に減少傾向だが、関西の難関・準難関大は、志望者が集まっている大学が多くある。どのような要因があるのか。関西の大学の共通テスト方式の傾向を検証した。
私立大の共通テスト方式は、大半が出願するだけで合否が決まる。検定料も一般方式の半額程度なので、コロナ禍で「移動を避けたい」「受験費用を抑えたい」と考える受験生が活用しやすい入試方式だ。ところが、2022年度入試(22年4月入学)では、共通テストの平均点が大幅に下がったことから出願を控える受験生が増えたこともあり、共通テスト方式の志願者は前年を下回った。
23年度の共通テスト方式も志願者減が見込まれる。大きな要因は総合型選抜や学校推薦型選抜へのシフトが進んだこと。さらに、高い思考力を問われる共通テストは、知識再生型の一般的な私立大の独自入試と同時対策が難しいこともある。駿台予備学校進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。
「これまでは1月後半からの私立大独自入試の腕試しとして、(前身の)大学入試センター試験を受ける受験生が多かった。共通テストは私立大と傾向が大きく異なるのでプレ入試の役割を果たさないことが、共通テスト方式の志望者が伸びない要因だと見ています」
私立大専願者が利用しにくい共通テスト方式だが、共通テストが必須の国公立大志望者はこの限りではない。特に23年度入試に臨む受験生は、22年度の国公立大志望者が共通テストの平均点大幅ダウンで苦労したことを知っているので、私立大の共通テスト方式で保険を掛けようと考える受験生が増えても不思議ではない。
この傾向は、国公立大志向が強い関西ではさらに強くなる。難関私立大の志望状況を東西で比較すると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の共通テスト方式は、青山学院大や中央大、立教大の志望者が減少するなど全体として前年並み。対して、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は、全ての大学で志望者が増えている。特に立命館大と関西学院大は志望者が大幅増となっている。
産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)も国公立大志望者の併願先となることから、全体として志望者は減っていない。京都産業大は前年の志願者減の反動もあり大幅増。近畿大も志望者が増えている。
産近甲龍に次ぐ難易レベルの大学群の摂神追桃(摂南大、神戸学院大、追手門学院大、桃山学院大)は共通テスト方式の志望者が大幅減。志望者増の追手門学院大以外は、狙い目になりそうだ。
「西日本主要118私立大 共通テスト利用入試情報」には、関西を含む西日本の大学の実施状況を掲載した。多くは出願するだけで合否が分かる共通テスト方式。前号に掲載した東日本編も併せて、広い範囲から出願の可能性を探ってほしい。