米国から見た日本は同志?仲間?トモダチ? 多田博子
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日本の入国規制が緩和され、日米間の人的交流が活発化している。日本人旅行客にとって、長いフライトの後の米空港での入国審査は最後の大きな関門だ。旅行客の急増と空港職員の人手不足で、入国審査に2時間以上を要する場合もあり、出張者が到着日の大事なアポに遅れた例も聞く。
一方で、入国審査の行列を横目に、米CBP(税関・国境警備局)が設置する入国優遇制度「グローバルエントリー」の自動パスポート読み取り機に向かい、数秒で入国審査を終える人々もいる。現在の対象国はドイツ、カナダなど13カ国・地域。アジアではシンガポール、韓国、台湾が含まれる。日本人はグリーンカード(米国永住権)保有者を除き、対象ではない。
なぜ日本人は、こうした制度を利用して容易に入国できないのか。筆者の周囲でこの事実に気づき、疑問を抱く人は少ない。日本人は米入国の際には行列に並ぶ必要があり、かつ日本企業の対米投資の際、業種などによってはCFIUS(対米外国投資委員会)による厳格な審査を受ける義務がある。日本は3年連続対米投資ナンバーワンであるが、CFIUS申請件数でも上位国である。ファイブ・アイズ諸国(米国、英国、豪州、カナダ、ニュージーランドの5カ国による機密情報共有の枠組み)はCFIUS強制申請の義務免除のいわゆるホワイト国だが、日本はそうではない。
3層構造の関係国
ワシントンDCでは、「日米同盟は非常に大事だ」という話をよく耳にする。一方、なぜ日本は同盟国にふさわしいメリットを享受できていないのであろうか。
筆者の個人的見解であるが、米国から見た広い意味での「味方」の国々は「同志」「仲間」「トモダチ」の3種類に分けられるのではないか。同志は、英国を筆頭とするファイブ・アイズ諸国。米国務省のサイトには、「英国以上に近…
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週刊エコノミスト
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