高齢化で個人年金本格化 長期的な資産運用を促進 神宮健
高齢化が急速に進む中国で、個人年金が本格化する。人力資源・社会保障省や国家税務総局などが11月上旬、「個人養老金(個人年金)実施弁法」(弁法)を、また金融当局が関連する規定などを発表した。弁法は一部の地域で1年間試行された後、全国的に導入される予定だ。
中国の年金制度は3本の柱からなる。第一の柱は、公的年金となる「基本養老保険」。都市部職員・労働者と都市農村住民の合計約10.3億人が加入し、同省によると2021年末時点で積立金の規模は6.4兆元(約127兆3000億円)に上る。第二の柱は任意加入の「企業年金・職業年金(公務員用)」で、その規模は4.4兆元だ。
公的年金は1990年代後半に現行制度を構築した際の設計に難があり、長期的には国有株の組み入れ強化など財政面でのテコ入れが必要な状況にある。また、00年代から本格化した企業年金の展開も十分とは言い難い。
こうした中、従来、第三の柱である個人年金による年金制度の補充が期待されていた。実際、数年前から一部地域で個人年金商品が試行的に販売されている。
弁法によると、個人年金は個人が任意に加入し、拠出金の全額を負担する。加入者は一つの商業銀行を選択、個人年金資金口座を開設する。この口座は資金の拠出、運用商品の購入、個人年金給付、納税などに使われる。
拠出した資金は、銀行の貯蓄預金や理財商品(資産運用商品)、保険会社や公募証券投資信託の個人年金商品で運用される。機関投資家は、安全で安定した長期的な運用が求められる。
機関投資家の拡充も
税制面では、納税繰り延べの優遇政策が実施される(22年1月までさかのぼって実施)。拠出額は所得から控除され、運用段階の投資収益は課税されず、年金受取時に3%の税率(所得税率表の最低税率)で個人所得税と…
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週刊エコノミスト
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