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2023年大学入試:複数「合格」も「進学」は一つ 「真の実力」示した学校は? 全国著名610進学校 難関・有名大「現役」進学実績

「サンデー毎日7月2・9日合併号」表紙
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 進学校の実力を測るには、1人が複数大学に受かってカウントされる合格者数より、最終的に1大学に1人が入る進学者数が有効だ。現役志向が高まり続ける中、多くの生徒を現役で大学に送り出す学校はどこか。調査しまとめた。

 卒業生に占める現役進学者の割合は、進学校の実力を示す重要な指標となる。なぜなら、東大ですら合格者全員が入学しているわけではないからだ。2023年度入試(23年4月入学)の一般選抜の入学者数を見ると、文科類の合格者数と入学者数は一致するが、理科類は、理Ⅰが8人、理Ⅱは7人が入学を辞退しているのだ。予備校関係者は言う。

「医師志望の受験生が慶應義塾大など私立難関医学部と東大の理科類の両方に合格した場合、東大を辞退するケースがある。海外大学に進学する受験生もいます」

 東大を筆頭とした難関国立大でも入学辞退者がいる。ましてや、私立大は入試日程や方式が複数あり、学部・学科間の併願可能だ。1人で複数の大学にも合格できるため、合格者数と入学者数は一致せず、正確な進学実績を示さないケースが多い。

 例えば、23年度の早稲田大の一般選抜の合格者数ランキング1位の渋谷教育学園幕張の場合、現役合格者176人中、実際に進学したのは49人だった。同様に慶應義塾大で合格者数ランキングトップの開成の現役進学者数は、90人中23人にすぎない。

 そこで、進学校の真の実力を見るため、全国公立大と主要私立大の現役進学実績についてまとめたのが「難関・有名大『現役』進学者数」だ。ここで全体の状況を示すとともに、「難関10国立大『現役』進学率ランキング」と「全国 国公立大『現役』進学率ランキング」で、東日本と西日本の現役進学率が高い学校について見ていこう。

 まず、難関10国立大ランキングを見ていこう。23年度入試では、大学入学共通テストの平均点アップにもかかわらず、18歳人口の減少と連動し、全体の国公立大志願者は微減となった。それでも、難関10国立大に限ると前年並みの志願者数となり、難関大人気を裏付ける結果となった。

筑波大付駒場と灘は半数が難関国立大に

 東日本のランキングを見ると、1位は定位置といえる筑波大付駒場で、卒業生の半数以上が難関10国立大に進学した。進学者84人中73人は東大が占めており、東大志向が強い学校だ。難関私立大の進学者は少なく、早慶が15人で、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)への進学者はいなかった。

 ランキング中、進学率30%以上、つまり卒業生の3人に1人以上が難関10国立大に現役進学している学校は8校。そのうち筑波大付駒場、3位聖光学院、5位駒場東邦、6位開成、7位桜蔭といった6校が中高一貫の男子校もしくは女子校だ。安田教育研究所代表の安田理氏は言う。

「首都圏に共学の進学校は少なく、優秀な生徒は男子校もしくは女子校を選ぶ。その結果が進学率ランキングに表れているのです」

 男女別学校が優位な中、私立の共学校では、9位と10位に渋谷教育学園幕張と渋谷教育学園渋谷が並んでいる。安田氏が続ける。

「この2校は共学の進学校の草分け。先にできた渋谷教育学園幕張のほうが合格者が多く目を引きますが、進学率で比較すると両校は変わらず、渋谷教育学園渋谷の進学実績が追い付いていることが分かります」

 このように少人数の学校がクローズアップされることも、進学率ランキングの特徴。

 卒業生が少ないため合格者数では目立たないが、進学率ランキングにすると上位に入る学校には、11位小石川中教や17位武蔵・私立、20位北嶺、22位中央中教、29位並木中教、30位武蔵・都立がある。いずれも中等教育学校もしくは中高一貫校だ。

 3年制の公立校に注目すると、札幌北が43・9%と高い進学率で2位に入っている。全進学者136人中、北海道大が99人と地元の大学が進学率を押し上げるが、東北大と大阪大が各10人、東大と京大が各5人など、他地域の難関国立大進学者も一定数いる。

 公立校では、同じ北海道のトップ校の札幌南が38・5%で4位。北海道大は札幌北を下回る67人だが、東大と京大各13人など、全進学者121人の半数近くを他地域の難関大が占める。早慶13人など、私立大も含め日本全国に視野を広げて進学している。

 西日本の難関10国立大の進学率を見ると、30%を超える学校は東日本を上回る11校に上る。

「京大、大阪大、神戸大といった大規模な総合大学が3校あることから、東日本と比べて進学率が高い学校が多くあるのです」(予備校関係者)

 ランキングの1位は進学率53・6%の灘。卒業生の半数以上が難関10国立大に進学しているのは、東日本の筑波大付駒場と灘の2校のみだ。進学者118人中、東大が66人で京大が32人。東大と京大進学者のうち4分の1を理Ⅲと医学部が占めている。2位は進学率40・6%の東大寺学園。進学者が多いのは京大51人、東大15人などで、京大進学者の35%が医学部だ。

自前で共通テスト対策 地元の国公立大に強く

 1位と2位はともに男子校だが、3位は共学の久留米大付設。進学者が多い大学は東大31人、九州大29人などで、福岡の学校ながら東大が九州大を上回り最多となっている。7位の西大和学園の進学者も地元の京大23人に対し東大が50人と2倍以上。私立大も近畿の関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)のうち関西学院大を除く3大学に19人で、東京の早慶が13人と拮抗(きっこう)しており、東京の難関大進学者が多いことが特徴だ。

 4位は公立校最上位の北野で38・2%。6年連続で京大合格者数ランキングのトップを続ける学校らしく62人が進学。ただ、大阪大36人、神戸大19人と他大学も多く、進学率を押し上げる要因となっている。38・2%で5位の甲陽学院を挟んで、6位も公立の茨木で35・7%。進学者は56人の大阪大が最多で、神戸大32人、京大11人。北野との進学率の差は僅かだが、進学大学の難易度は異なる。

 両校は大阪府が難関大進学実績アップを目指して指定したグローバルリーダーズハイスクール(GLHS)10校に入っている。その中でも、府立トップ校の北野の強さが際立つ。GLHS指定校では、北野と並ぶ府立伝統校の天王寺が14位に入っている。

 公立校では、地元の難関国立大に強い、8位岡崎、9位長田、10位堀川、13位修猷館などがランクイン。ランキング上位を私立校が占める東日本に対して、西日本では公立校が多く入っている要因について、安田氏に聞いた。

「難関大進学実績が高い中高一貫の女子校が少ない西日本では、共学のトップ公立校の受験まで優秀な女子が受験を待っている。そのため、公立校の現役進学率が高いのです。女子校が発達した東日本との大きな差と言えます」

 次に「全国 国公立大『現役』進学率ランキング」を見ると、名だたる進学校が並ぶ難関10国立大とは異なり、トップ校に次ぐ地方の学校が数多くランクインしている。安田氏は言う。

「比較的共通テストのウエートが高い、地元の一般的な国公立大を目指す生徒や保護者の希望に応えるため、予備校に頼らず自前で共通テスト対策をし、結果を出している学校が数多くランクインしています」

 ランキングのもう一つの特徴は、東北の学校が19校を占める東日本に対し、西日本は九州や中国、近畿、中部など学校の所在地域がばらけていること。東北6県(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)に国公立大が18大学と数多くあることが要因だ。

 東日本の1位は、卒業生の77・9%が国公立大に進学している盛岡第三。地元の岩手大の進学者59人は同大最多。北海道大2人、京大1人など、難関大の合格者は多くないが、堅実に地元の大学に多くの進学者を輩出している。

 2位は数少ない首都圏の学校の東京芸大付音楽。東京芸術大が大半で76・9%の生徒が進学。3位は69・6%の旭川北。北海道大13人をはじめ20人の難関10国立大以外の主な進学先は、北海道教育大29人、小樽商科大14人、旭川医科大10人などとなっている。

 ランキング全体として各道県のトップ校に次ぐ学校が多い中、4位八戸、5位札幌北、6位弘前と北海道と青森のトップ校もランクインしている。

 西日本のトップは甲南で73・7%。地元鹿児島大の進学者104人は同大最多だ。難関10国立大にも九州大12人など21人が進学している。2位の広島中教は、地元の広島大14人など、それぞれの大学の進学者は多くないが、進学率71・9%と国公立大に現役進学できる可能性は高い。70・6%で3位の延岡は、宮崎大22人、熊本大18人など幅広く九州の大学に進学。4位は70・1%の西宮・市立で、5位は69・9%の砺波と、上位5校すべて異なる県の学校だ。

 校風や教育環境とともに、現役進学率は学校選びの重要項目。目指す大学に現役で進学しやすいのはどの学校なのか。「難関・有名大『現役』進学者数」で、志望校の現役進学実績について確認してほしい。

 6月20日発売の「サンデー毎日7月2・9日合併号」には、「難関・有名大『現役』進学者数」「難関10国立大『現役』進学率ランキング」と「全国 国公立大『現役』進学率ランキング」の表を掲載しています。 ほかにも「これは終わりの始まりだ! 『6月解散』煽りに煽った岸田首相の末路シナリオ 狙いは長男の〝スキャンダル隠し〟」「〔和田秀樹『死の壁』 高齢者診療でたどり着いた結論 第一回 『苦しまない死に方』の分かれ道」などの記事も掲載しています。

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