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2024年大学入試:全国301私立大入試スケジュール 「新課程」控え二極化進展か

「サンデー毎日9月10日号」表紙
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 読みにくい志願者の減少幅

 減少が止まらない私立大一般選抜の志願者。新課程入試を翌年に控えた2024年度(24年4月入学)は、どのような状況が予想されるのか、検証してみよう。ともに、主要大学の入試日程も一挙にお届けする。

 私立大の一般選抜の志願者は、2020年度から23年度まで4年連続の減少が続いている。その間、21年度には、前年比14%減という史上最大の減少幅を記録した。大学入試センター試験から大学入学共通テストへの変更など、20年度の受験生が翌年の大学入試改革を避けるために多少無理をしてでも進学したことによる浪人生の大幅減が要因。そこからさらに減少が続いている私立大の志願者数は、なかなか底を打たない状況が続いている。

 加えて、24年度入試は18歳人口が前年より4万人と大きく減り、一般選抜の志願者が増える見込みはない。受験生にとっては望ましい状況ではあるが、25年度から新課程入試を控えている。そのため、どの程度の減少になるのか、読みにくい面がある。代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世氏は言う。

「教育課程が切り替わる前年の入試は、その年のうちに入学しようと考える受験生が多くなります。一般選抜の受験回数が制限されている国公立大志望者は、私立大の出願数を増やす傾向が見られます。近年は進学先確保のため総合型や学校推薦型といった年内入試の活用も増えると見られるので、一般選抜の出願状況は流動的です」

 大学入学共通テストの試作問題を見ると、25年度は地歴と国語などの出題範囲や設問のボリュームが増すので、浪人を避けたいと考える国公立大志望者が多くなりそうだという。国公立大の併願先として私立大の出願が増えると、上位大学から玉突き的に中・下位大学まで志願者が増え、難化する可能性がある。

 国公立大志望者の併願対象となる難関・準難関私立大について、24年度の一般選抜の動きを見ていこう。上智大は、TEAPスコア利用方式や学部学科試験・共通テスト併用方式の出願期間を4日間延長して1月22日までとすることで、1月13日と14日に行われる大学入学共通テストの受験後に、ゆとりを持った出願が可能になる。この措置に伴い、入試開始日も3日間後ろ倒しになる。

「共通テストと大学個別試験で合否が決まる共通テスト併用方式は、国公立大志望者が利用しやすい。共通テストの自己採点結果と合格可能性を擦り合わせる十分な時間があることに加え、入試日が後ろ倒しになり、個別試験の対策期間が延びるのは国公立大志望者に有利」(予備校関係者)

 共通テスト利用方式ということでは、関西学院大の文系学部が個別入試と共通テスト利用方式の併願で検定料を割り引く。近畿大は法、経済、建築、情報など多くの学部で5教科型の共通テスト方式を導入する。多くの科目を課す方式は一般的な私立大志望者が出願を控え、倍率が上がりにくい分、国公立大志望者は利用しやすい。

 共通テストと大学個別入試を併用していた方式から、共通テストを外すのは青山学院大だ。理工と社会情報の一部方式で、個別入試のみの選抜になる。

 倍率が上がりそうな難関私立大の動きを見ると、明治大は一般選抜の学部別入試の募集人員を減員し、法が375人→315人、情報コミュニケーションが372人→357人、総合数理学部のネットワークデザイン学科が28人→27人となる。定員が減るからといって大幅に志願者が減ることは考えにくいため、難化が見込まれている。ちなみに募集人員の減少分は、学校推薦型選抜などの増員に回っている。立教大の一般選抜では、コミュニティ福祉学部のコミュニティ政策学科で募集人員が減る一方、異文化コミュニケーションなどは増員する。

 トップ層は「強気」か 年内入試に「傾斜」も

 キャンパス移転で利便性が高まり難化しそうな大学もある。立命館大は、大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)の新棟に、びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)の情報理工と衣笠キャンパス(京都市)の映像の2学部が24年度に移転することで、注目度が高まっている。龍谷大の社会は25年度に瀬田キャンパス(大津市)から深草キャンパス(京都市)に完全移転予定で、24年度の入学者は1年次のみ瀬田キャンパスに通うことになる。

 同様に徳島文理大は、25年度に現在の香川キャンパス(香川県さぬき市)からJR高松駅横に建設中の高層の高松駅キャンパス(高松市)に移転予定で、24年度の入学者が旧キャンパスで学ぶのは1年次のみになる。

 首都圏では東京理科大・薬が25年度に野田キャンパス(千葉県野田市)から葛飾キャンパス(東京都葛飾区)に完全移転予定だ。24年度の入学者が野田キャンパスに通うのは1年間のみになる。東京理科大は国公立大の併願者が多いこともあり、志願者の増加が見込まれている。

 このように、国公立大志望者の併願や大学の改革により、志願者が増えそうな難関・準難関大が数多くあるが、「ベースにあるのは、受験生の難関大志向の強さ」と話すのは、駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一氏だ。

「難関大を目指すトップ層は、新課程で私立大の一般選抜が大きく変わらないことを理解しているので、弱気にならないと思います。影響があるのは、年内入試を視野に入れる受験生が多い中堅以下の大学。新課程を嫌がる受験生が年内入試に傾くと、一般選抜の志願者が減少する要因になるでしょう」

 新課程〝前夜〟の24年度入試で、一般選抜の志願者がどの程度減るのかは流動的だ。カギを握るのは、一般選抜で積極的に難関大にチャレンジする層と、年内入試で一般的な大学を目指す層という、現在も見られる受験生の二極化の進行具合のようだ。

 8月29日発売の「サンデー毎日9月10日号」には、「2024年度入試 全国主要301私立大 入試スケジュール」を表で掲載しています。

 ほかにも「スクープ激白! 自民党のプリンセス小渕優子 初めて明かした『首相の座』 田原総一朗がとことん聞いた!」「祝・夏の甲子園V 慶應義塾高校の〝完全研究〟 全国の三田会が感涙!! 107年ぶり全国制覇の〝底力〟」などの記事も掲載しています。

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