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2024年大学入試:難関大が牽引し「志願増」で進む受験の「二極化」 大学合格者高校別ランキング 東京理科、上智、GMARCH、関関同立…155大学 私立大総集編
大学入試速報第3弾
2024年度(24年4月入学)の私立大一般選抜の志願者数がほぼ確定した。特徴的なのは、難関大志願者が増加傾向にあり、私立大全体の志願者数を押し上げていること。24年度の私立大の出願状況について検証していこう。
大学通信が主要100私立大を対象に集計している一般選抜の志願者数ランキング(2月27日までの集計分)は、近畿大の11年連続の1位で確定しそうだ。続く大学も、2位千葉工業大▽3位明治大▽4位法政大▽6位立命館大▽7位早稲田大▽9位関西大▽10位中央大――の8大学が昨年の最終順位と同じとなっている。
安定した志願者数ランキングの中で、順位が大きく変動したのは東洋大と日本大だ。5位の東洋大は前年の志願者大幅減の反動で1万3117人増となり、8位からランクアップ。対照的に昨年の5位から8位に順位を下げたのは、志願者が2万3082人減少している日本大。志望者層が重なる両校の出願状況は、一方が増えると一方が減るという、表裏一体の関係にあるようだ。
さて、ランキングを離れて主要100私立大全体の志願状況を見ると、18歳人口が3・4万人の大幅減となっているにもかかわらず、前年の確定志願者数を1・4%上回っている。私立大の一般選抜の志願者は4年連続で減少してきたが、24年度は増加に転じる可能性がある。
志願者の増加を牽引(けんいん)しているのは難関大だ。大学グループごとの集計では、早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)が2866人、GMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)が4679人、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)が5443人と、いずれも前年の志願者数を上回っている。予備校関係者は言う。
「近年の受験生は、頑張って難関・準難関大を目指す層と、最小限の努力で一般的な大学を目指す層に二極化している。難関大を目指す層は、しっかりと一般選抜まで視野に入れて出願しているということでしょう」
志願者の増加数が大きいのは関西学院大(14位)で前年を7360人上回る5万1097人。21年に行われた、理工を理、工、建築、生命環境の4学部に改組するなどの神戸三田キャンパス(兵庫県三田市)のリニューアル。さらに、受験生目線の入試方式の変更など、一連の改革が奏功して4年連続で志願者が増えている。法政大、立命館大、青山学院大(17位、4万7109人)、上智大(26位、2万9569人)も3000人以上の志願者増となっている。
志願者が減少しているのは早稲田大、中央大、立教大(12位、5万6495人)、関西大と少ない。この中で注目されるのは早稲田大。21年度入試では、1972年以来の志願者数10万人割れという衝撃が走った。政治経済など3学部で、大学入学共通テストと大学独自の記述式問題を組み合わせた国公立大型の入試方式を導入したためだ。その後、同方式を他学部に拡大したこともあり、24年度は9万人を下回った。代々木ゼミナール教育総合研究所の主幹研究員、坂口幸世氏は言う。
「大学が求める学生を選抜するという理念に沿った入試に舵(かじ)を切った結果なので、早稲田大は志願者減を気にしていないでしょう。延べ志願者数を競うことから降りたとも言えそうです」
理念に沿った募集ということでは、上智大と青山学院大も早稲田大方式を導入。慶應義塾大は文系学部で国語の代わりに小論文などを課し、同大独自の入試を実施している。
早稲田大の志願者の減少が続く一方、増え続けているのは明治大で、3年連続の増加だ。
「早慶上智が各大学の理念に沿った特徴的な入試を展開する一方、明治大は、3科目の一般的な私立大型入試を実施する大学の中で最難関というポジションが、受験生が集まる要因でしょう」(代ゼミの坂口氏)
難関大の志願者が増加傾向にある一方、準難関より難易度が下がる一般的な大学は、年内入試で合格している受験生が多いこともあり、志願者が減少する大学が多い。主要100私立大以外では、志願者が減少する大学がさらに多そうだ。そうした状況の中で私立大は5年ぶりの志願者増となるのか、注目される。