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2024年大学入試:学部や入試の改革で志願者増やす女子大も 大学合格者高校別ランキング 「女子大御三家」、法政、関西大…

「サンデー毎日3月10日号」表紙
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 大学入試速報第2弾

 学生募集における女子大の苦戦が続いている。だが、女子大の存在意義が失われたわけではなく、女子の学部志望状況の変化が大きい。この状況を変えるために女子大は改革を進め、結果を出している大学もある。

 2023年度(23年4月入学)の入試シーズンが終わりに近づいた昨年3月、相次いで二つの女子大が閉校の計画を打ち出したのは記憶に新しい。ここにきて女子大の学生募集状況が急に厳しさを増しているのだ。

 少子化により受験生が減少しているところに、女子のみの募集なので、単純計算で対象受験生が全体の半数となる女子大は元々不利な条件下にある。さらに、女子の学部志望動向の変化が学生募集の逆風になっている。駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一氏は言う。

「受験生の保護者世代の意識が変わり、娘に社会で自立して活躍できる力の獲得を望む家庭が多くなっている。そうした保護者の影響で、子どもの学部志望に対する意識が変わったのでしょう」

 社会で自立して生きていきたいという、女子の動きを示す統計資料がある。国立社会保障・人口問題研究所の「第16回出生動向基本調査(21年調査)」によると、受験生から大学生世代に該当する18歳から24歳の女性が「独身でいる理由」として回答した項目で最も多かったのは、「今は、仕事(または学業)に打ち込みたい」で42・1%だった。この数値は、前回調査(15年)の45・9%を下回っているものの、第10回調査(1992年)から上昇傾向にある。

 具体的な学部志望動向で分かりやすいのは、難関大法学部の入試状況。23年度の一般選抜の高校別合格者数ランキングの1位を見ると、早稲田大・法が桜蔭で、慶應義塾大・法が頌栄女子学院と、ともに東京の女子校だったのだ。同年の東大・文Ⅰは合格者の30・5%が女子だった。この流れは24年度入試も継続しており、東大の学校推薦型選抜において、法の総合格者13人中、女子は9人で男子の倍以上の人数となっている。女子の法学部志向が強まる背景には、公務員などの資格を取得して自立したいという思いがありそうだ。

 理系学部を目指す女子も増えている。24年度の東京工業大の総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた合格者数を見ると、最多は共学の大宮(埼玉)の5人だが、その次に多い4人が合格しているのは、吉祥女子と頌栄女子学院という東京の女子校だった。2人が合格している学校はお茶の水女子大付(東京)と横浜共立学園(神奈川)で、合格者1人の女子校には、前橋女子(群馬)、鷗友学園女子(東京)など8校がある。東工大の場合は、24年度入試から女子枠を設けている影響もあるが、理系学部を志望する女子は確実に増えているようだ。

 法を含む社会科学系や理系学部に女子がシフトする流れは、文・人文系や家政系が中心の女子大にとって厳しい環境であり、24年度入試でも女子大の苦戦が続いている。大学通信が志願者数の集計対象としている19大学のうち、2月21日時点の集計で15大学が前年を下回っているのだ。

 志願者数上位の出願状況を見ると、現時点で最も多いのは昭和女子大で7977人。以下、日本女子大7967人▽東京女子大6876人▽武庫川女子大6389人▽大妻女子大4512人―などが続く。

 集計対象の19大学中、志願者が前年を上回っているのは、志願者数が多い順に、大妻女子大、東京家政大、学習院女子大、神戸女学院大の4大学のみ。最も増えているのは、前年を1557人上回る2362人となった神戸女学院大。国際英語と心理の2学部を新設した影響が大きいようだ。

「女子受験生の関心が高い学部を持たない女子大は、学部の改組や新設により、心理や建築、国際系などの設置を進める傾向にあります。ただ、学部を新設しただけでは不十分で、共学大学の同カテゴリー学部との競争力を持ち、『選ばれるもの』でなければなりません」(駿台の石原氏)

 24年度は日本女子大が建築デザイン、京都女子大が心理共生を新設するなど、多くの女子大が学部・学科改組を進めており、その成果が待たれるところだ。

 入試改革により志願者が大幅増となったケースもある。東京家政大は、大学入学共通テストと大学独自の個別試験の併用方式を導入していた1期試験が、個別試験のみに変更され、科目負担減となったことから、前年の志願者を1329人上回る4375人となった。大妻女子大は一般方式の日程拡大の影響もあり、前年から131人増の4512人。前出の神戸女学院大は一般選抜の検定料減額制度も導入している。

 神戸女学院大や東京家政大と並んで志願者の増え幅が大きいのは、前年から1061人増の2486人が集まった学習院女子大。

「学習院女子大は、26年に学習院大との統合を予定しています。今春の入学者は、GMARCH(学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)に属する大学の卒業になるということが一因でしょう」(予備校関係者)

 このように志願者が増えている大学もあるが、大半の女子大は学生募集で苦戦している。ただ、女子の学部志望動向が変わったとはいえ、当事者同士でジェンダーの課題を議論し、学びを発展させることができる女子大特有の教育環境や、面倒見の良さに対するニーズは一定数あり、女子大の存在意義は変わらず大きい。学部や入試改革、地域連携など、改革を断行した先にある、女子大の志願者数の復活を期待したい。

 2月27日発売の「サンデー毎日3月10日号」には「大学合格者高校別ランキング 『女子大御三家』、法政、関西など62私大」を掲載しています。ほかにも「荻原博子が緊急指南 家計ビンボーで泣かない! すぐやる6つの防衛術」「多弱野党よ! 命がけで政権交代せよ! 自壊した自民に訣別を 古賀茂明が没落ニッポンに諫言」などの記事も掲載しています。

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