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2024年大学入試:超速報!「東大・京大」国公立大前期 合格者高校別ランキング 東大は開成が43年連続の首位 京大は北野が7年連続トップ
大学入試速報第4弾
難関大人気が高まった2024年度入試(24年4月入学)。東大の志願者も前年を126人上回る9432人となった。科類別に見ると、文科類は全体で40人減。文Ⅲは前年を上回ったが、志願者が減少した文Ⅰと文Ⅱでは、予定倍率を超えた際に実施する、第1段階選抜が行われなかった。両科類そろって第1段階選抜がなかったのは16年度以来だ。理科類は、理Ⅱと理Ⅲの志願者が減少したが、理Ⅰが大きく増え、全体では166人増。文科類の減少の背景には、受験生の学部志望動向の変化がある。駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一氏は言う。
「官僚や法曹界の現状を見て、職業としての魅力を感じない受験生が増えている。東大文科類の優位性が感じられず、志願者が減少しているのでしょう。難関大を目指す受験生の中では理系志望の成績上位層が増える一方、文系は最上位層こそ減っていないが、全体としてレベルが下がっています」
地域別の合格者数を見ると、関東の割合が前年を1・5ポイント上回る59・0%となる一方、北陸、中国、北海道などで大きく減っている。東大は関東以外からの合格者が増えることにより学生の多様化を進めるとしているが、24年度入試ではやや後退。関東の学校の合格者が増えた背景について、駿台の石原氏が解説する。
「少子化で地方の家庭が子どもを首都圏に出さなくなっていること。さらに、3年制の公立校にとって、コロナ禍で2年間の学校生活を送った影響は大きい。6年間のアドバンテージが生かされる、中高一貫校が関東に多いことも増加の一因でしょう」
東大が多様化を目指すもう一つの側面は、学生に占める女子比率のアップ。この点でも、24年度はやや後退したようだ。24年度の女子合格者数は、前年を71人下回る582人。合格者に占める割合は、過去最高だった前年を2・4ポイント下回る19・4%だった。
志願者全体に占める女子の割合がほぼ同じだったにもかかわらず、合格者は減少した。前年とは対照的に、男子に女子が押し出された形だ。女子の減少について、藤垣裕子理事・副学長(入試担当)は、「結果は残念だが、過去の女子の推移を見ると減少傾向にあるとは言えない。地域性なども含め、今後も多様化の道を模索していく」と話している。
聖光学院は過去最多97人が東大合格
24年度の東大合格者数ランキングを見ていこう。
1位は43年連続の開成で合格者は149人。2位は前年より合格者が19人増え、同校として過去最多の97人が合格した聖光学院。00年以降、東大の合格者数ランキングでベスト3に入ったのは、開成、灘、筑波大付駒場、麻布、学芸大付、桜蔭の6校のみ。聖光学院はこれらの学校の仲間入りを果たすことになりそうだ。
以下のランキングは、3位灘▽4位西大和学園▽5位渋谷教育学園幕張――。上位20校のうち公立校は7位日比谷▽12位浦和・県立▽13位横浜翠嵐の3校のみで、私立と国立の中高一貫校が大半を占める例年の光景が広がっている。
京大はトップ20校のうち公立が9校
京大の一般選抜の志願者は、東大を上回る379人増で8206人。3年連続の志願者増は京大人気の高さを物語る。文、教育、経済、理、工、農、総合人間など大半の学部が前年の志願者数を上回っている。
合格者数ランキングの1位は7年連続の北野だった。前年を5人上回る86人が合格。東大合格者も9人増えて18人となった。2位の洛南と3位の東大寺学園は、ともに合格者が増えて前年と同じ順位をキープ。4位タイには天王寺と灘が並んでいる。
東大のベスト20に入った公立校が3校なのに対し、京大は、北野と天王寺以外にも、6位西京▽8位堀川▽10位膳所▽11位旭丘▽15位岡崎▽18位タイ長田と奈良――と半数近い9校がランクイン。近畿圏は、首都圏ほど中高一貫のトップ進学校が多くなく、公立校に優秀な生徒が集まっていることを示すランキングとなった。
個別の学校の東大と京大の合格者数の推移を見ると、大きく増えている学校が散見される。そうした学校はどのような特徴があるのか、次週の詳報号で見ていく。