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全国297私立大入試スケジュール 難関大で入試改革が相次ぐ 新課程入試のポイントは?

早稲田大
早稲田大

 新課程初年度となる2025年度入試(25年4月入学)を展望する。「大学全入」ともいわれる時代で、人気を集めそうな大学はどこだろうか。大学入学共通テスト改革や各大学の入試方式・日程変更から検証していこう。

 新課程初年度となる25年度入試が目前に迫ってきた。まずは、新課程についておさらいしておこう。学習指導要領は時代の変化を見据えて、おおむね10年ごとに改定される。高等学校においては、現在の高3生が高校に入学した22年より、新しい学習指導要領に沿った教育課程(新課程)がスタートした。新課程では、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性等」をバランスよく育成し、変化の激しい時代に「生きる力」を身に付けることを重視する教育が行われている。

 25年度の共通テストでは、地歴公民の再編、数学Cの追加といったさまざまな変更が行われる。これらの変更は、受験生の動向にどのような影響を与えるのだろうか。駿台予備学校入試情報室長の城田高士さんは言う。

「情報が教科として新設されますが、共通1次試験や大学入試センター試験の時代も含めて、完全に新規の教科が増えたことは一度もありませんでした。負担感から安全志向になり、国公立大志望者が私立大志望に変えたり、私立大の併願数を増やしたりするなどの可能性があります」

 確かに国立大は共通テストで情報Ⅰの受験を必須とする大学がほとんどではあるが、実はその配点は大学によって異なり、配点を低く設定している大学も多い。北海道大のように、必須とはするものの無配点とする大学もある。公立大では選択科目や、利用しないとしている大学も多い。国公立大志望者は必要以上に不安に思うことなく、落ち着いて対応したいところだ。

 25年度私立大入試の、個別大学の動きについてみていこう。慶應義塾大・医学部は、第1次試験を2月9日実施としており、前年から10日前倒しとなる。他の私立大医学部と日程が重なることが考えられるため、受験校や併願校の組み方を再考する必要が出てきた。また、同大の経済学部では学校推薦型選抜の導入に伴い、一般選抜の募集人員を30人減としている。

 早稲田大・社会科学部は、一般選抜を大きく変更。従来の3教科型の方式を廃止し、共通テストと独自問題による併用方式を導入する。前出の城田さんは言う。

「早稲田大は、21年度入試において、政治経済学部で共通テストの数学を必須にするなど、近年、積極的に入試改革を行っています。私立大専願の受験生に敬遠され倍率こそ下がったものの、結果的に優秀な学生を集めることができたということで、一定の評価がなされています」

 社会科学部の独自問題では外国語(英語)が必須の上、数学か総合問題のどちらかが選択となる。これには21年度の政治経済学部などと同様、難関国公立大と併願する受験生を確保したいという意図がありそうだ。同様の思惑がみえるのは青山学院大・国際政治経済学部で、数学を必須とする共通テスト5科目型が新設される。同学部では、この他にも複数の方式が用意されているため、早稲田大・社会科学部ほど受験のハードルが急に上がるわけではないが、今後も難関私立大を中心に多教科を課す方式が拡大していく可能性がありそうだ。

 キャンパス移転で人気が高まりそうな大学もある。24年度は、立命館大が情報理工学部と映像学部をそれぞれびわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)と衣笠キャンパス(京都市)から、大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)の新棟に移した。その結果、24年度入試では両学部共に一般選抜の志願者数が前年度より1割以上増えている。

慶應大
慶應大

◇変更多く負担増でも目標は最後まで貫く

 25年度は、東京理科大・薬学部が野田キャンパス(千葉県野田市)から葛飾キャンパス(東京都葛飾区)に完全移転する。通学の利便性の向上に加え、葛飾キャンパスで共に学ぶ先進工学部や工学部との連携による教育研究効果の向上なども期待されている。

 他には、龍谷大・社会学部が瀬田キャンパス(滋賀県大津市)から深草キャンパス(京都市)に移転。徳島文理大では、香川薬学部などの4学部9学科が、現在の香川キャンパス(香川県さぬき市)からJR高松駅横に建設中の高層の高松駅キャンパス(同高松市)に移転する。

 さらに、25年11月には、近畿大・医学部と近畿大学病院が大阪狭山キャンパス(大阪府大阪狭山市)から、大阪府堺市の新キャンパスに移転予定。26年4月には同キャンパスにて看護学部の新設も予定されており、地域医療の新しい拠点が誕生しそうだ。

 新課程入試での共通テストの負担増加や、各大学独自の改革を背景に、25年度入試で人気が出そうな大学や、難化しそうな大学がいくつかある。だからといって、安易に目標を下げてしまうのは考えものだ。少子化が進み受験人口が縮小する中で、難関大は人気を保つ一方、中堅以下の大学では年内入試へのシフトが進み、一般選抜で定員割れを起こすケースが増えている。大学の二極化が進む中、前出の城田さんはこう言う。

「25年度入試では、安全志向に陥り志望校を下げる受験生が増える可能性があります。その中で周りに流されず、最後まで目標を貫いた受験生にとってはチャンスの年となりそうです」

 新課程初年度で変更点の多い25年度入試。戸惑っている受験生も多いだろう。ただ、受験生のやるべきことはいつの時代も変わらず、必要な対策をしっかりと行うことだ。次ページからは「全国297私立大入試スケジュール」を掲載している。受験校の入試日を確認しながら、入試本番に向けて基礎学力を養ってほしい。

(大学通信・雫純平)

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