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全国著名進学校「難関・有名大『現役』進学実績」学校選びは進学者数を重視

東京大
東京大

 中高選択の重要項目である進学実績。志望する大学への進学者が多いほど、将来の夢をかなえやすい学校といえる。では、主要大学への進学者が多い学校はどこなのか。国公立大現役進学率が高い学校とあわせて確認していこう。<サンデー毎日7月21-28日合併号(7月9日発売)より>

◇現役進学率を伸ばす学校は

 大学進学を見据えた学校選びの際、大事なのは合格者数より進学者数。特に私立大は、同一大学で複数の学部・学科や入試方式の併願が可能なので、1人の受験生が多くの合格を得ることが可能だ。そのため、1人の受験生が複数合格することで、合格者数と進学者数が乖離(かいり)するケースがある。

 また、より志望度の高い大学が進学先に選ばれることで、合格者数と進学者数のランキングが一致しないこともある。早稲田大の現役合格者は多い順に、聖光学院161人、渋谷教育学園幕張156人、日比谷と開成が各155人、市川140人。対して現役進学者は、開智52人、横浜翠嵐49人、東葛飾45人、市川44人、渋谷教育学園幕張と山手学院が各40人と一致しないのだ(以下、各校の公表数で、いずれも付属校などを除く判明分)。慶應義塾大も現役合格者上位が聖光学院137人、浅野126人、頌栄女子学院124人、開成122人、日比谷121人なのに対し、現役進学者は頌栄女子学院45人、渋谷教育学園幕張と攻玉社が各39人、湘南37人、浅野36人。予備校関係者は言う。

「私立大最難関の早慶でも、東大や一橋大に受かれば入学しないので、難関国立大の合格者が多い学校の早慶の進学者は少なくなる。進学者が多いのは、早慶が第1志望の生徒が多く、そのまま進学する学校でしょう」

 西の最難関私立大の同志社大でも同様の傾向がみられる。「近畿」で現役合格者が多いのは大手前173人、奈良171人、須磨学園153人、嵯峨野140人、西宮・市立135人。対して現役進学者は大手前36人、清教学園30人、西宮・市立29人、寝屋川と須磨学園が各27人。京大や大阪大、神戸大など難関国立大の進学者が多い奈良や嵯峨野は、同志社大の進学者数上位ではなく、須磨学園も合格者に対して進学者は多くない。

 国公立大の場合は合格者と進学者はほぼ同数だが、完全に一致するわけではなく、東大や京大も例外ではない。東大の2024年度入試(24年4月入学)の一般選抜合格者は2993人だが、入学者は2981人で12人の辞退者がいた。科類別では、文Ⅰが2人、文Ⅱと文Ⅲが各1人、理Ⅰが3人、理Ⅱが5人。これまでも、理科類は医学部志望の合格者が慶應義塾大の医学部などに抜けるケースがみられた。しかし、文科類の辞退者はそれほど多くなく、この5年間で最多となった。京大の一般選抜は合格者2701人中、進学者は2696人で辞退者は東大より少ない7人(追加合格2人)となっている。

◇難関国立大でトップ 聖光学院躍進の理由

 こうした点を踏まえると、正確な進学力をみるには、現役進学実績に注目すべきことが分かる。東日本の現役進学率ランキングからみていこう。「難関10国立大」の1位は聖光学院。現役進学者106人中、86人が東大だ。同校は、19年度に47・2%と、今年度を上回る進学率を記録したが、当時の東大の進学者は77人で、東京工業大と一橋大が進学率を押し上げていた。今年度は東大の進学者が増え、より進学校としてのステージが上がった。1位が指定席だった筑波大付駒場は前年度を7・1㌽下回る45・4%で2位。東大志向が強い同校にあって、現役進学者が73人から69人に減少した影響だ。両校の順位逆転の要因について、安田教育研究所代表の安田理さんに聞いた。

「面倒見がよく受験勉強が学校完結型の聖光学院に対し、生徒任せの筑波大付駒場という、両校の差が進学率逆転の一因になったかもしれません」

 上位2校が私立と国立の中高一貫校なのに対し、3位と4位は3年制公立校の札幌北と札幌南。両校ともに、難関10国立大の中では入りやすい北海道大の進学者が多いが、札幌北は東京工業大と一橋大以外、札幌南は難関10国立大全てに現役進学者がいる、全国の難関大を視野に入れた学校だ。

 ランキング全体をみると、栄光学園が1・9㌽アップで前年の8位から6位に順位を上げており、浅野も4・0㌽アップで12位から8位と、聖光学院を含め神奈川の学校の進学率が上がっている。前出の安田さんは言う。

「多様な私立進学校がある東京に比べて神奈川はトップ進学校が少ないので、この3校に優秀な生徒が集中するのでしょう」

◇共テ対策強化が奏功 国公立大に強い学校

 進学率でランキングすると、小規模校もクローズアップされる。象徴的なのは9位の北嶺だ。医学部志向が強い同校は、札幌医科大9人や旭川医科大3人などを加えた「全国 国公立大」ランキングでも進学率61・5%で22位となっている。

 東日本の「全国 国公立大」ランキングの1位は東京芸大付音楽。ある意味東大より難関といわれる東京芸術大に、ほぼ全ての卒業生が進学している。

 2位の盛岡第三は、岩手大の進学者が同大最多の63人のほか、弘前大13人、東北大10人など、東北地方の国立大全てに現役進学者がいる。3位以下は札幌北、秋田、横手など、北海道と東北の学校が数多くランクインしていることが特徴だ。予備校関係者は言う。

「地域のトップ校に次ぐ学校が多いことが特徴。トップ校は難関国立大を目指す生徒が多い分、現役進学率が上がりにくいのです。ランキング上位の学校は、地元国公立大志向が強い地域で、しっかりと進学実績を上げています。表に首都圏の学校がないのは、私立大が充実している影響でしょう」

 次に西日本の進学率ランキングをみていこう。難関10国立大の進学率30%以上、つまり卒業生の3人に1人が進学している学校は、東日本の7校の倍の14校に上る。

「難関10国立大の中で、神戸大は比較的入りやすく規模も大きいため、進学率を押し上げる一因になっています」(安田さん)

 ランキングの1位は灘。難関10国立大を含む全ての国公立大進学者129人中、東大(71人)と京大(38人)が84%を占めている。

 2位の北野は灘と13・4㌽の差があるが、7年連続で合格者数ランキングトップを続ける京大の現役進学者は灘を上回る59人。東大は前年を4人上回る11人が進学している。前年度比で3・9㌽アップし4位から順位を上げた。

 3位に東大寺学園、4位には甲陽学院と、近畿の伝統ある中高一貫校が順当に名を連ね、5位には09年の開校と比較的歴史が浅い神戸大付中教がランクイン。卒業生が105人と少なく現役進学者も38人だが、内訳は大阪大14人、神戸大10人、京大5人、東大2人などで、6年一貫教育の成果を出している。

 難関10国立大のうち3大学が集中する近畿と、近畿と距離が近い北陸・東海以外でランクインしているのが17位の修猷館。公立校ながら東大や京大などの難関大を目指す英数クラスと医学部進学希望者対象の医進クラスを2年次から設置していることもあり、地元の九州大が中心ながら、京大13人、東大9人、大阪大7人など、難関10国立大全てに進学者がいる。

 西日本の「全国 国公立大」ランキングは、北海道や東北の学校が大半を占める東日本とは対照的に、広範囲の学校がランクインしている。東日本より進学率が高い学校が多く、70%を超える学校は東日本の2校に対して6校。各地域のトップ校に次ぐ学校が数多くランクインしているのは、東日本と同様だ。

「東日本も含め地方の国公立大は大学入学共通テストの比重が大きいことから、その対策に力を入れ、結果を出している2番手校が多い。西日本には、難易度の幅がある国公立大が多く、その中から共通テストの点数なりに選べることも進学率に影響している」(同)

 1位の松山南は地元の愛媛大の現役進学者が同大最多の124人で、愛媛のトップ校の松山東の62人の2倍の進学者数となっているほか、徳島大など四国の大学や瀬戸内海を挟んだ岡山大や広島大などへの進学者もあり、卒業生340人中、259人が国公立大に現役進学している。

 2位以下に甲南、広島中教、松山北、砺波と続くランキングの中で注目されるのは、6位の加古川東。私立大が発達している近畿圏にあって、15位の姫路東とともに、高い国公立大現役進学率となっている。

 教育環境や校風などとともに、現役進学率は学校選びの重要な要素。目指す大学に多くの生徒が現役進学している学校はどこなのか、しっかりと調べておきたい。

<サンデー毎日7月21-28日合併号(7月9日発売)の特集「難関・有名大『現役』進学実績」では、国公立大と主要私立大の現役進学者数を一覧表で掲載している>

サンデー毎日7月21-28日合併号
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