歴史書の棚 憲法制定や外交を分析、国家の自立を問う=井上寿一
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細谷雄一『戦後史の解放2 自主独立とは何か 前編・後編』(新潮選書、各1300円)は、日本の国際政治学における現実主義学派のフロントランナーが、戦後日本の歴史像に光を当てた試みである。
敗戦から日本国憲法制定までの時期を扱う前編のハイライトシーンは、憲法第9条の形成過程だろう。憲法第9条の戦争放棄条項の発案者は誰か。本書の解釈は奇をてらったものではない。既存の研究に依拠しながら、あらためて提案者は幣原喜重郎だったと指摘する。
「戦争放棄の理念を憲法に含めることは、天皇制を維持するためのやむを得ぬ苦肉の策であったのだ」
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週刊エコノミスト
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