中国の闇 山東省ルポ 周囲は荒れ地の高速鉄道駅 無人マンションも不動産バブル=高口康太
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8月某日、激しい暑さが残る中国東部、山東省の徳州東駅に私は降り立った。徳州市は日本ではあまりなじみのない地名だろう。河北省に隣接する山東省の北端だ。北京・上海高速鉄道、石家庄・済南高速鉄道が交わる鉄道の要衝である。
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車両から降り、目の前に広がる光景に驚いた。地方都市にもかかわらず、5本ものホームが並ぶ巨大な駅が待ち構えていたのだ。日本の新幹線の主要駅よりもはるかに大きい。米国が20世紀の100年間に消費したコンクリート量を中国はわずか3年間で消費したというが、無名の地方都市にこれほどの巨大建造物があることで改めて納得させられた。
駅を出ると、新たな驚きが待っていた。近代的な駅の周りには何もなかったのだ。荒れ地や草地が広がるばかりで、客待ちのタクシーすらいない。無許可で送迎する「白タク」営業をしているとみられるオート三輪が、土ぼこりにまみれて止まっているだけだ。タクシーがなくとも中国には配車アプリがあると余裕綽綽(しゃくしゃく)でスマートフォンを取り出したが、アプリを起動すると「サービスを提供していない地域です」との表示が…
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週刊エコノミスト
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