経済・企業特集

中国の闇 疑問10 高まる北京の支配力 「台湾」経済は大丈夫? むしり取られる技術者=井上雄介

支持率が低下している蔡英文総統(左)統一地方選の現職候補と共に支持を訴える(9月1日)
支持率が低下している蔡英文総統(左)統一地方選の現職候補と共に支持を訴える(9月1日)

 独立志向の強い民進党の蔡英文(さいえいぶん)政権が2016年に誕生した後、中国による台湾への締め付けは厳しさを増すばかりだ。中国と台湾が一つの領土であるとする「一つの中国」の順守を中台が口頭で定めたとされる1992年の「92コンセンサス」を、蔡総統が否定しているためだ。

 中国の「攻め方」は執拗(しつよう)だ。16年5月の蔡政権誕生後、中米エルサルバドルやドミニカ共和国など台湾が外交関係を結んでいた5カ国に断交させ、新たに国交を樹立した。最近では、タイなど東南アジアにいる華僑に対し、10月10日に台北で行われる中華民国の建国記念日の祝賀式典に参加すれば、今後、中国本土のビザ(査証)を発行しないと通知したとされる。

 台湾の民間シンクタンクが今年7月に行った世論調査によると、中国との急激な関係悪化が影響し、支持率は与党・民進党が32・1%まで低下。一方、野党・国民党が27・8%で接近しつつあり、今年11月の統一地方選で善戦する可能性もある。

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