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小嶌不二夫 ピリカ社長 ごみ問題をテクノロジーで解決する

小嶌不二夫 ピリカ社長(撮影=武市公孝)
小嶌不二夫 ピリカ社長(撮影=武市公孝)

 SNSや人工知能など技術を駆使してごみ問題の解決策を探る。活動を陸から海へと広げ、汚染源を特定する調査も始めた。

(聞き手=藤枝克治・本誌編集長/構成=花谷美枝・編集部)

 科学技術の力で環境問題を克服したい。そんな思いでピリカを設立しました。

 現在、取り組む問題の一つがプラスチックごみの海洋流出です。マイクロプラスチックという5ミリ以下のプラごみの破片が海に流出し、生態系を破壊したり自然環境を汚染したりするとして世界的に問題になっていますが、流出経路やその内容など正確なことはあまりわかっていません。

 実態解明のプロジェクト「アルバトロス」を立ち上げ、2018年5月から9月にかけて関東、関西、米ニューヨークなど計38カ所でマイクロプラスチックの浮遊状況を調べました。河川の水面付近のごみをスクリューによって網に流し込む手作りの装置(写真)でキャッチし、陸上に引き揚げた後、ピンセットでプラスチック片を選り分け、解析しました。

 採取した1070個の固形物を分析した結果、その23%が人工芝の破片でした。ポリエチレンまたはポリプロピレンの緑色の物質です。河川敷や港湾の近くにある人工芝が川に流れ込んだと考えられ、マイクロプラスチックの流出は、インフラの問題でもある可能性があることがわかりました。

 調査では川の上流でもマイクロプラスチックが発見されました。海外から流れ着くごみだけでなく、国内からも流出しているということです。このように流出経路を絞ることができれば、コストを抑えた解決策を提案できます。企業も高い関心を持つ分野なので、共同研究などにつなげていきたいです。

 会社設立に当たり、海外を回り、世界のごみ問題をこの目で見てきました。共通していたのは、ごみにはメジャーリーグとマイナーリーグがあるということ。メジャーはごみ箱から回収・焼却する分野で、企業や自治体が事業を担っています。一方、そこからポロッと落ちたマイナー分野のごみ回収は清掃業が一部請け負うくらいで、どこの国でも手付かずです。この分野で起業してみようと友人とピリカを立ち上げました。

河川のプラごみを採取する手作りの装置。写真は最新のアルバトロス5号機
河川のプラごみを採取する手作りの装置。写真は最新のアルバトロス5号機

アプリでごみ拾いを可視化

 最初に始めたのは、ごみ拾いのSNS(交流サイト)アプリ「ピリカ」。ユーザーがごみ拾いを報告するアプリで、これまでに推計で50万人以上がアプリを通じて清掃活動に参加しました。ごみを拾った本人が活動を見える化することで、ごみ拾いが広がることを期待しています。CSR活動などでごみ拾いをする企業もユーザーで、約400社がアプリを使用しています。自治体の利用も増えています。この「ピリカ」の広告収入が現在の当社の主たる収入源です。

 ごみの分布を可視化するサービス「タカノメ」の利用も広がっています。スタッフが町の画像をスマホで撮影してごみの分布を地図に落とし込み、人工知能を使って状況を解析するシステムです。コンピューターにタバコの吸い殻や空き缶などの画像を覚えこませて、撮影した画像からごみを自動で検知します。喫煙所の設置場所を検討したり、イベントでの清掃員の配置を考えるデータなどに活用されています。自治体から調査を受託することもあり、この事業も収益化が始まっています。ごみは万国共通の課題。日本で解決策を提示できれば、海外展開も見えてくるはずです。


企業概要

事業内容:ごみ拾いSNSの開発・運営、ごみ問題の調査・研究など

所在地:東京都渋谷区

設立:2011年11月

資本金:2009万9800円(2018年9月30日現在)

従業員数:29人


 ■人物略歴

こじま・ふじお

 1987年富山県生まれ。兵庫県立神戸高校卒業、大阪府立大学卒業。京都大学大学院エネルギー科学研究科中退。2011年11月ピリカ設立。31歳

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