教養・歴史アートな時間

クラシック 第88回日本音楽コンクール予選=梅津時比古

    前回の最終予選の模様(宮森庸輔撮影)
    前回の最終予選の模様(宮森庸輔撮影)

    若き才能の開花に出会える場

    課題曲をはじめ参加規程を発表

    「日本音楽コンクール」の本選に関してはこのコーナーでも紹介したことがあるが、実はコンクールで最も興味深いのは予選である。

     予選は朝から晩まで行われ、聴くのも大変と思われがちだが、出演者それぞれに個性があるので、決して飽きることはない。会場への出入りは演奏の区切り区切りで可能なので、自分の都合の良い時間に聴きに行くことができる。

     ピアノ部門を例にとると、この部門の特徴として全員が会場にある同じ楽器を弾くことになるが、それにもかかわらず一人一人の音が異なることに、改めて驚く。また、同じ曲を演奏しているのに、こうも表現が違うのかという点も、認識を新たにすると思う。それはどのコンサートでも実感することだが、コンクールでは違う奏者が次々に弾くので、こうした点が実に分かりやすい。

     コンクールの予選ではよく「朝1番目や昼休憩の直後の演奏は通りにくい」、あるいは「最後のほうの演奏は審査に通りやすい」など、いろいろなことが言われる。これも、一般的に言われていることに関して、会場に実際に足を運ぶことで、自分の耳で確かめることができるだろう。そして一番の醍醐(だいご)味(み)は、聴く人自身の音楽の好みに合う奏者を見いだした時にある。その機会を広げるのは、最も多くの参加者を聴ける第1予選である。「この奏者の音楽が良い」と思ったら、その人を応援して各予選を聴いていくと、まるで自分のことのように、演奏にハラハラドキドキするはずだ。その分、贔屓(ひいき)の奏者が審査に通った時の喜びが倍加する。

     長い夏休みは学生の特権だと思われている方が多いだろう。しかし、少なくともクラシック音楽を学ぶ日本のトップクラスの学生にとっては、夏の終わりから始まるクラシック界最高峰の「日本音楽コンクール」を目指すためには、課題曲が発表された、この5月から夏にかけて、演奏に磨きをかけておかなければ、入選はおぼつかない。

     必死に練習してきた若い音楽的才能が一挙に開花する可能性を見守りたい。予選にこそコンクールを聴く楽しみはある。

     今のうちから、コンクールの予選の日程を予定に入れておいてほしい。日本音楽コンクールの第1予選は部門ごとに以下の通りになる。

    ▽バイオリン=8月25~27日▽ピアノ=9月1~5日▽声楽(オペラ・アリア)=9月12、13日▽オーボエ=9月14、15日▽フルート=9月20~22日。

     コンクールの詳細は、ホームページを参照してほしい。URLは、http://oncon.mainichi-classic.jp/

    (梅津時比古・毎日新聞学芸部特別編集委員)

    会期 8月25日(日)~9月26日(木)

       上記はバイオリン第1予選からフルート第3予選までの期間。

       作曲譜面第1審査・第2審査本選は非公開

    会場 トッパンホール(東京都文京区水道1-3-3)

    問い合わせ 日本音楽コンクール事務局

    TEL 03-3212-0187

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