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新生ソニーグループが「物言う株主にNO」をつきつけたワケ【サンデー毎日】

家電IT見本市CESの開幕前イベントで、電気自動車のコンセプトモデル「VISION―S」を披露するソニーの吉田憲一郎最高経営責任者(CEO)=米西部ラスベガスで2020年1月6日、中井正裕撮影
家電IT見本市CESの開幕前イベントで、電気自動車のコンセプトモデル「VISION―S」を披露するソニーの吉田憲一郎最高経営責任者(CEO)=米西部ラスベガスで2020年1月6日、中井正裕撮影

ソニーは5月19日、2021年4月に社名を「ソニーグループ」に変更することを発表した。

同時にソニーフィナンシャルホールディングスを完全子会社化し、グループの中核事業と位置付けることも発表。

同社は金融事業のソニー生命保険、ソニー損害保険、ソニー銀行などを傘下に置く。

新生ソニーグループは持ち株会社となる。

吉田憲一郎社長兼最高経営責任者は「グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能を有している現在のソニーの機能を分離・再定義し、グループ本社機能に特化した会社とする」と説明した。

ソニーはエレクトロニクス事業と金融事業のほかにゲーム、映画、音楽などのエンターテインメント事業を営む。

ソニーと取引するメガバンクの幹部は今回の動きをこう評する。

「財務畑の長い吉田氏らしい手堅く、戦略性に富んだ決断だと思います。IT(情報技術)と金融を融合したフィンテック分野など、金融を核に他事業とシナジー(相乗効果)が期待できます。ソニーはこれまで、アクティビスト(物言う株主)から『半導体部門をスピンオフ(事業の分離・独立)し、エンターテインメント事業に集中すべきだ』と要求を受けてきましたが、それに明確にNOを突き付けたと言えます」

アクティビストとは米ヘッジファンド「サード・ポイント」のこと。

市場関係者が同社の狙いを説明する。「ソニーは多様な事業を抱えるため、企業全体の資本効率が落ちる。その結果、株価の評価が割り引かれている。サード・ポイントはそう見ています」

半導体事業は市況の動向に大きく左右され、業績の浮き沈みが激しい。切り離せば、事業の集中度が高まって株価も上昇するというわけだ。

同社は13 年、ソニー株を取得し、エンターテインメント事業のスピンオフを要求した。当時、要求に屈せず復活を主導したのが平井一夫前社長と吉田氏。

今回の発表に株価は5%高で応えた。市場は吉田路線を支持しているようだ。

(森岡英樹)

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