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「日本の格下げ」を避けるための緊縮財政政策が逆に「格下げリスク」を高めている理由=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家)
日本のソブリン格付け見通し、財政悪化で「安定的」に下方修正
2001年1月6日に施行された財務省設置法により、財務省は財政の健全化を目標とする事になりました。それまでの大蔵省ではその様な目標はありませんでした。
つまり、財務省設置法第3条にある「健全な財政の確保」という文言により、日本の財政政策は緊縮財政に走らざるを得ないのです。
かれこれ20年以上に及ぶ緊縮財政政策の賜物としてデフレギャップが生まれました。デフレギャップは需要が右肩下がりで減少してしまう現象を誘導してしまうのです。そして需要が更に減少すれば更に供給過多になりデフレギャップが拡大するという負のスパイラルに陥ります。
残念ながら、この傾向は財務省の緊縮財政政策を財政拡大政策に転じなければ変えることは出来ません。
それが何を意味しているかと申し上げますと、緊縮財政政策が続く限り今後もデフレギャップは拡大し、税収が減るため、財政赤字は解消されず、結果的に日本国の格下げリスクを高めてしまうということなのです。
格付け機関は日本の累積財政赤字を問題視し今後の格下げを示唆しています。しかし、それは主流派経済学理論に基づいた判断です。本来ある国家が通貨主権を持っている限り、自国通貨建ての負債がどれほどあっても財政破綻は起こらないという現実を日本国が過去20年間で実証してました。国家財政赤字がGDP対比200%以上という水準が10年以上続いても日本は財政破綻しなかったのですから。しかも日本の対外純資産額は364兆5000億円以上あり、世界一の純債権国なのです。
とは言え、格下げ機関は財政赤字が膨らみ過ぎると財政破綻すると信じていますので、恐らく、このまま財務省主導の緊縮財政政策を止める政治家が出現しなければ、日本国の格下げは将来余儀なくされると認識した方が良いかも知れません。
立沢賢一(たつざわ・けんいち)
元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。
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