米国株のバブル崩壊は近い……あおりを受ければこの秋にも日経平均は1万9000円台へと大幅下落の可能性も
安倍晋三首相の後任が菅義偉官房長官であれば、路線継続で目先の波乱要因にはならない。一方で市場から一定の評価を受けていた長期安定政権が終わることで中期的には影響が出てくる。首相が短期で交代した時代に逆戻りすれば、「日本の政権は不安定」という外国人投資家の低評価が復活する懸念がある。特に中長期で運用する年金資金などの海外機関投資家は、日本株に対して一歩引かざるを得ず、米国株などに比べ相対的に安くなる可能性が高い。
日本株は「景気敏感株」の比率が高い。コロナや米中対立で、企業の足元の景況感は良くない。日本の株式市場への業績懸念が払拭(ふっしょく)できないところに、長期安定政権が失われたというネガティブ要因が加わると、日本株に対する外国人投資家の見方が一段と慎重になるだろう。日経平均株価の高値は9月ごろの2万3500円程度が上限とみている。
一方、下値は米国株次第だ。米国株のバブル的な上昇基調が続く間は、日経平均は2万1000円で下げ止まるとみるが、米株市場ではテスラなど一部の銘柄に個人投資家など短期志向の資金が集中しており、最終局面の様相を呈している。バブルが長続きする可能性は低く、変調を来せば日経平均は10月にも1万9000円台までの下落は十分にある。さらに、バブルが崩壊すれば、日本企業の業績水準を考えると、年末に向けて1万6000円台までの急落も考えられる。
(菊池真、ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役)
(本誌初出 マーケット展望 日本株 米株上昇は「最終局面」 1万6000円台で越年も=菊池真 20200915)