菅首相と「犬猿の仲」のはずが……小池都知事はなぜ急に政権批判をやめたのか
東京都の小池百合子知事=写真左=が3月に発した「ロックダウン(都市封鎖)」という言葉が再び注目されている。
10月8日に公表された「新型コロナ対応・民間臨時調査会」の報告書で、西村康稔・経済再生相が「(ロックダウン発言によって)緊急事態宣言が遅れた部分があった」と証言したためだ。
小池知事は「(発言によって)意識を高められた」と反論し、不快感をあらわにした。
小池知事といえば、9月に就任したばかりの菅義偉首相との「犬猿の仲」が知られる。
菅首相は官房長官時代の7月、東京の感染再拡大について「圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と発言し、都を暗に批判。
観光支援策「Go Toトラベル」からも東京を除外(10月1日に解除)し、小池知事もこれに応酬してきた。
菅氏の首相就任後、両者の対立は目立たなくなった。
9月23日には首相官邸で対談し、「グータッチ」で和解を演出した。
両者には、来夏の東京五輪の開催という共通目標もある。特に小池知事は同時期に都議選も控え、自身が立ち上げた都民ファーストの会が大敗すれば議会運営がままならなくなるだけに、都庁幹部は「自民党都連とも関係修復に動く必要があり、官邸は敵に回せない」と話す。
とはいえ小池氏は官邸との対立構造によって存在感を高めてきただけに、「イライラしている日が多い」(都庁幹部)との声も。
「コロナの再拡大が懸念される冬場に向けて、(報告書が)新たな火種にならなければいいが」と戦々恐々だ。
(本誌初出 菅首相vs小池知事 休戦でもくすぶる火種 20201027)