テクノロジースマホ・5Gの新王者

結局4Gと何が違うの?これだけは知っておきたい「5G基本中の基本」

    「5G」に対応したソフトバンクのスマートフォン=東京都内で3月、加藤明子撮影
    「5G」に対応したソフトバンクのスマートフォン=東京都内で3月、加藤明子撮影

    Q1 そもそも5Gって?

    A 日本語では「第5世代移動通信規格」などと訳される。

    現行の4Gに比べて「超高速化」「超多数同時接続」「超低遅延」の3点を実現するために仕様が決められている。

    「3GPP」と呼ばれる国際的な標準規格策定団体によって規格が決められた。

    国内で使っているスマートフォンが海外でそのまま使えるのは、国際的に定められた規格によって通信網と通信端末の相互接続が可能だからだ。

    Q2 4Gと何が違うの?

    A 数値面での違いを表すと表のようになる。

    5Gを高速道路に例えると、片側2車線よりも5車線のほうが走行可能な車の数はずっと多くなるし、自動車の数が同じなら車線数が多いほうがより速く走行できる。

    4Gと5Gとの違いは高速・大容量を実現するための「太いインフラ」だと理解すればよい。

    4Gに比べて、データを伝送する際の遅延が大幅に低減できるようになると、「3D」による立体的な映像が臨場感を伴って送受信できるようになるのもメリットだ。

    「空間伝送」を擬似的に実現する技術だといえる。

    Q3 5Gはどう使う?

    A 現状では三つの利用事例が想定されている。

    (1)超大容量モバイルブロードバンド(E─MBB)、

    (2)大規模な機械同士のコミュニケーション(M─MTC)、

    (3)超高信頼性、超低遅延通信(UR─LLC)

    ──だ。

    E─MBBは一度に大観衆がモバイルでのブロードバンドを利用すること。

    スタジアムでのスポーツ観戦で複数の角度からの映像を同時にスマホに映し出すサービスや、クラウドを利用したオンラインゲームの利用が始まっている。

    M─MTCは都市のさまざまな活動をITで効率化する「スマートシティー」、自動化された工場「スマートファクトリー」などで、超多数の端末を広範囲に接続することだ。

    5Gでは、4Gに比べてネットワークを構成する基地局を高密度に設置する必要がある一方で、消費電力は低いという特徴を生かして、センサー網の構築が有望視されている。

    このセンサー網はスマートシティーやスマートファクトリーに必要不可欠だ。

    UR─LLCは製造現場、遠隔医療、輸送機器といった、超低遅延、高信頼性が求められる場面での通信技術。

    5Gでは、従来に比べてほとんど体感できないレベルに遅延を低減するので、製造や医療の現場で遠隔地においてもリアルタイムの情報共有ができるようになる。

    遠隔地から作業や手術などの指示を行うことは、すでに多くの実験が行われている。

    また、ドローンによる無人配送、ロボタクシーのような無人運転車にも必要な技術となる。

    現状では、5Gの利活用は初期段階にあり、E─MBBが利用の中心になっているが、5Gは中長期的には機械同士の通信や、自動運転などの用途が見込まれている(図1)。

    これまでのスマホから一歩踏み込んだ通信インフラとしての役割を想定していた点も再認識しておきたい。

    Q4 使う周波数は?

    A 4Gと5Gとでは使用される周波数帯が異なる。

    5GではSub6(サブシックス)とミリ波と呼ばれる周波数帯だ。

    4Gは3・6ギガヘルツ未満の周波数帯だった。

    Sub6は3・6〜6ギガヘルツ未満の帯域、ミリ波は28〜300ギガヘルツを利用する。

    Sub6のメリットは、4Gの周波数帯に近いことから、既存技術の転用ができる。

    また、電波を利用できる環境の整備がしやすい、ミリ波に比べて電波が広域まで届き、障害物の影響を受けにくい、普及が進んだ4G基地局と比較的近い技術のため設備コストがミリ波に比べて低価格で済むといったところだ。

    デメリットとしては、一度に伝送できるデータ容量はミリ波に比べて少なく、速度や同時接続においてミリ波に劣るため、4Gとの差別化が難しくなる。

    ミリ波のメリットは、周波数帯が高いほど伝送する道幅が広くなるため、一度に大容量のデータがやりとりできるようになることから、超高速通信、超低遅延、多数同時接続に強い。

    一方、ミリ波は4Gの周波数帯やSub6に比べて周波数が高いため、同じ出力では電波の届く範囲が狭い、遮蔽(しゃへい)物の影響を受けやすいといったデメリットがある。

    Q5 4G設備も使う?

    A その通り。

    DSS(動的周波数共有)と呼ばれる技術を用いて、基地局をソフトウエアで制御することで、4G基地局からの電波に5Gの無線信号を混ぜることができるようになる。

    導入されている4G基地局のうち、ソフトウエアをDSS対応にアップデートすることが可能なものは転用することができる。

    ソフトバンクなど一部のキャリアが採用に前向きだ。

    Q6 固定回線も代替?

    A FWA(固定無線接続)という技術が5Gの普及で有望視されている。

    FWA自体は従来からあったが、4Gでは固定ブロードバンド網が価格や品質面で優位とされ、光ファイバーや銅線ケーブル工事が困難な地域などでの利用にとどまってきた。

    5Gでは、FWAの伝送速度が上がるため、競争力のある価格やサービスが提供される可能性が高まり、普及への期待が高まっている。

    Q7 海外の普及状況は?

    A Оmdiaでは、20年6月時点で37カ国、78の通信事業者による5Gのサービス提供を確認している。

    世界の5G契約数は、19年は1557万件とわずかな規模だったが、20年には2億件を超え、22年には10億件を超える予測をしている。

    地域別契約数(図2)ではアジア太平洋地域のシェアが圧倒的に高い。

    契約数、設備投資ともに中国の規模が目立つ一方、米国のキャリアも積極的な設備投資を行っている。

    (大庭光恵・0mdiaシニアコンサルタント)

    (本誌初出 賢い5Gユーザーの基礎知識 Q&A 20201201)

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