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国際・政治 危ない中国

香港 反体制派を相次ぎ摘発 政府への抗議デモ沈静化=香港ポスト編集部

平穏な状況に戻りつつある香港(2020年12月)(Bloomberg)
平穏な状況に戻りつつある香港(2020年12月)(Bloomberg)

 香港では2020年6月末、逃亡犯条例の改正反対デモによる暴動を受けて「中華人民共和国香港特別行政区維護国家安全法(香港国家安全維持法)」が施行され、暴動は徐々に沈静化した。日本で報じられることは少ないが、暴動による治安の悪化を懸念していた香港市民は多い。デモが香港市民の多数の支持を得られていないのは、こうした現実の反映でもある。

 親政府派政党の「民主建港協進連盟(民建連)」が20年末に発表した社会の治安状況に対する世論調査(11月27日〜12月8日、電話による無作為抽出方式で1045人が回答)の結果によると、回答者の64%は「公共の場で個人の意見を表明すると暴力を受けることが心配」と答えた。また、71%は「国安法の施行後、暴力事件は減少し社会は秩序を回復した」と答えている。

 香港警察によると、19年6月〜20年11月に逃亡犯条例の改正反対デモに関連した逮捕者は1万171人、うち23%に当たる2389人が起訴された。起訴内容の上位三つは暴動(695人)、違法集結(414人)、器物損壊(356人)。すでに司法手続きが完了したのは826人で、うち82%に当たる679人は法的責任を負うことになる。

 中国の中央政府は、デモを鎮圧するだけでなく、経済振興にも力を注ぐ。中国の習近平国家主席は20年10月、深圳経済特区成立40周年記念式典での重要講話で、「1国2制度の基本方針を貫徹し、中国本土と香港・マカオの融合を促進しなければならない」と述べるなど、7回にわたり香港に言及。香港(港)・マカオ(澳)・広東省(粤)を「粤港澳大湾区」として発展させるため、域内の鉄道建設加速などを掲げた。

「1国2制度」維持の警告

 中国は外国勢力に追い込まれる形で国家安全維持法を制定し、「1国2制度を1国1制度に変えた」と批判されているが、実は国家安全維持法の内容は香港基本法23条に含まれているものに過ぎず、1国2制度に何ら変化は起きていない。1国2制度は香港返還から「50年不変」とされたが、期限である47年が到来すればどうなるのだろうか。16年ごろから排他主義や独立志向が台頭したことを受け、現地で議論が沸騰していた。

 中国政府の出先機関「中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)」法律部の王振民部長は17年に開催されたフォーラムで「国家は香港を本土化しようと計画したことはなく2制度の発展を望んでいる」と強調。「香港が本土と全く同じになったら香港は価値を失う」として、市場経済の管理規則、腐敗取り締まりなどの面で香港の経験が必要と説明した。

 香港基本法委員会委員を務める北京大学法学院の饒戈平教授も、鄧小平氏の言葉を引用して「1国2制度が良好に実現すれば、50年と言わず50年後以降も変わらない。変わる理由はない」と述べた。一方、この時すでに「国家の主権・安全または香港自体の安定を脅かす事件が発生し、特区政府に処理する能力がない場合は、中央の干渉ひいては対香港政策の調整もあり得る」と警告していたが、その警告がまさに現実化している。

(香港ポスト編集部)

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