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法務・税務 固定資産税に気をつけろ!

コロナで税額据え置きに 知識を蓄えて自己防衛を=桐山友一/種市房子

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 <固定資産税に気を付けろ>

3年に1度の評価替え 課税ミスをチェック

今年はいつにもましてチェック
今年はいつにもましてチェック

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 今年も、土地や家屋などに課される固定資産税の納税通知書が届く季節になった。各市町村(東京23区は東京都)は4~6月に、今年度分の納税通知書と課税明細書を順次発送する。今年度は新型コロナウイルス対策として、税額が前年度を超えないような措置が講じられている。さらに、今年は3年に1度、固定資産税評価額が見直される「評価替え」の年でもある。課税に誤りがないか、いつも以上にチェックが必要だ。(固定資産税)

 千葉県内のある市で分譲マンションに住む50代男性の元にも今年4月、市役所から固定資産税・都市計画税の納税通知書と課税明細書が届いた。固定資産の内訳ごとに税額計算の基礎となる課税標準額などが記載されている課税明細書を、今年は目を皿のようにして眺めてみた。土地、家屋のいずれも今年度の課税標準額は前年度の課税標準額を上回っておらず、税額も前年度より減っている。

現況と異なる課税

持ち家や投資物件を持つ人には納税義務
持ち家や投資物件を持つ人には納税義務

 政府は今年度の税制改正で、新型コロナ対策の一環として、仮に地価が上昇していたとしても、宅地や農地の固定資産税額が前年度を超えないような措置を盛り込んだ。宅地には商業地や住宅用地が含まれ、適用対象は幅広い。一方、地価下落によって税額が減少する土地は、そのまま減少した税額を課す。もし、課税標準額や税額が前年度を上回っていれば、課税ミスの可能性が高いので要注意だ。なお、家屋の税額はもともと制度上、前年度より上昇した場合は据え置くことになっている。

 さらに、コロナによって経営が悪化した中小企業には、機械や設備など「償却資産」への固定資産税を減免するが、こちらも今年度限りの措置。納税者の収入減少やコロナ感染で納税が難しい場合は、最大12カ月の支払い猶予も受けられるため、市町村に相談してみたい。

 だが、新型コロナ対策がしっかりと反映されているからといって、安心するのは禁物だ。固定資産税では土地や家屋の「時価」を示す評価額そのものが誤っていることも珍しくない。しかし、評価額そのものに疑問があっても、不服を申し立てられるのは3年に1度の評価替えの年のみ。そして、今年度はその評価替えの年に当たっている。この機を逃せば、次は3年後になってしまう。

 トランス税理士法人(東京都渋谷区)には数年前、都内の納税者から土地の固定資産税評価額について相談が寄せられた。問題となったのは、都内でありながら、渓谷地にある住宅。立地の地形図を見ると、敷地に崖や川がある。崖地があれば「利用価値が低下する」として評価額を一定程度、減額する補正をする必要があるし、川にはそもそも固定資産税がかからないはずだ。

 しかし、この土地の課税明細書を見ると、明らかに崖地の分は減額補正されず、川の面積も除外されていなかった。税理士法人の助言を受けて、納税者が都税事務所へ修正の要求をしに行ったところ、すぐに誤りを認めたうえで評価額や税額も下げられたという。逆に言えば、納税者が誤りを指摘しない限り、課税の誤りは何年も続くことになってしまう。

 市町村は、家屋の新築や増改築などの現況確認のため、実地調査をする。地方税法は毎年1回の実地調査を求めてはいる。ただ、この住民は、代々にわたって同じ土地に家屋を建て替えながら住んでいた。このため、都が土地の実地調査を何十年もしていなかった。代表税理士の中山慎吾氏は「地方税法の規定を、自治体は単なる“訓示”としてしか見ていないのではないか」と話す。

自治体側の“言い値”

 固定資産税は市町村税の中心的な税目で、総務省がまとめた2019年度の全国の地方自治体の決算によると、市町村税収22兆8678億円のうち、固定資産税は9兆1988億円と40・2%を占めている。柱となる税目にもかかわらず、今もなお各地の市町村で課税のミスが絶えない。しかも、課税のミスが長期間にわたることも珍しくない。その背景には、固定資産税の持つ特殊性がある。

 固定資産税は市町村が評価額や課税標準、税額を決める「賦課課税」方式の税だ。住民税(市町村税、都道府県税)や、所得税、相続税(いずれも国税)のように、納税者側が税額を算定して申告する「申告課税」と異なり、いわば市町村側の“言い値”で納めなければならない。つまり、納税者側が課税が正しく行われているかをチェックしなければならないが、課税の誤りに気付かない限りはそのままなのだ。

 しかし、固定資産税制に潜む根本的な問題は、評価や税額計算の仕組みが複雑すぎるため、納税者側の理解がとても及ばない点にある。特に複雑なのが家屋の評価方法で、固定資産税では資材や設備の量、質などに応じて評価する「再建築価格方式」を用いている。しかし、税理士でも固定資産税を熟知している人はごく少数で、納税者が頼るべき専門家を見つけるのが難しいという税でもある。

 納税者自身が知識を蓄えて自己防衛しない限り、課税の誤りはこれからも続く。ミスを見つけるとすれば今しかない。

(桐山友一・編集部)

(種市房子・編集部)

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