新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 “黒船”EVバス来襲!

中国BYD製EVバス 乗車ルポ(埼玉県久喜市) 静かで滑らかな乗り心地 フル充電で1日走行可能=永井隆

車いす用のスロープはステップに内蔵されている(BYDのEVバス「J6」) 撮影=佐々木龍
車いす用のスロープはステップに内蔵されている(BYDのEVバス「J6」) 撮影=佐々木龍

 スーッと、滑るように走り出し、滑らかに加速していく。エンジン音はなく、代わりにモーターが回転する小さな音。「静か」というのが乗車して最初に抱いた印象だ。発進、加速と減速、左折と右折、停留所での停車を繰り返すが、振動や揺れが小さいのも特徴だろう。埼玉県久喜市が導入した中国BYD製のEVコミュニティーバス「J6」(定員31人)に乗ってみた印象だ。

乗車しやすい低床

 2月10日に運行が始まり、筆者らが乗り込んだのは晴天に恵まれた4月15日の昼前。2路線を乗車したが、車通りの多い駅前商店街、狭い道路の住宅街、気持ちいいくらいに緑が広がる田園地帯と、時にはスイスイと風を切り、ある時にはゆっくり騒音を立てずに、EVバスは走り抜けていった。

 ボディーサイズは全国のどこにでもあるコミュニティーバスと同じ規格。重量物である電池は車体後部と前方のルーフに分散して搭載されている。低床なので高齢者や足に障害を持つ人でも乗車しやすく、車椅子のためのスロープもすぐに出せるユニバーサルデザインだ。乗客の反応は「静かで揺れないので、乗り心地がいい」(60代女性)などと好評だ。

 市から委託を受けてバスを走らせている協同バス(埼玉県行田市)の運転手は「運転の違和感はほとんどない」。電池容量は105キロワット時で、3時間のフル充電で300キロ走行できる。1日の営業走行は約200キロ。車両価格は1950万円で、国土交通省から車両に650万円、充電設備設置工事に300万円、充電設備本体に60万円の補助金を受けた。

 久喜市交通企画課の赤根稚実係長は、「環境に優しい先端のEVバスを、多くの市民に利用してもらえれば」と話す。

(永井隆・ジャーナリスト)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

11月26日号

データセンター、半導体、脱炭素 電力インフラ大投資18 ルポ “データセンター銀座”千葉・印西 「発熱し続ける巨大な箱」林立■中西拓司21 インタビュー 江崎浩 東京大学大学院情報理工学系研究科教授、日本データセンター協会副理事長 データセンターの電源確保「北海道、九州への分散のため地産地消の再エネ [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事