不動産CFの注意点 事業者の信用力や目利き力を要確認=成本治男
不動産CFによって、小口からの不動産投資が可能となり、個人では投資対象となり得なかった大型・高額物件への投資機会が得られるようになった。また、現物の不動産投資と違って、不動産特定共同事業法に基づく不動産CFは、事業者が劣後出資するケースもある。例えば、事業者が1割分を出資していれば、不動産価格が1割下がったとしても個人投資家は元本毀損(きそん)のリスクは抑えられる。3割の劣後出資があれば、かなり安心感があるだろう。ただ、元本が保証されているわけではない。(狙える不動産)
不特法に基づき、成立前書面(重要事項説明)に不動産に関する情報開示をしなければならない。これによって「不動産が架空のものだった」「不動産以外に投資資金が流用された」という不正は抑制されている。さらに事業者は、不動産の取得価格の妥当性や将来の売却価格の想定など取引事例を含めて情報開示するのが望ましい。不動産鑑定評価があれば、より客観性は高まる。だが、現実的にそうした点を積極的に開示する事業者はまだ少ない。
投資を検討する際には、その事業者に信用力や不動産の目利き力があるかどうかを知ることだ。これまでの実績や株式上場会社かどうかも確かめたい。(談)
(成本治男・TMI総合法律事務所弁護士)