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2022年入試:首都圏・関西圏主要266校私立中最新偏差値 コロナ対応の面倒見が評価「受験生増」で人気の学校は〈サンデー毎日〉

「サンデー毎日10月17日号」表紙
「サンデー毎日10月17日号」表紙

 コロナ禍の終わりが見えない中、今年も中学入試の志望校を決める時期だ。思うように情報が集まらないと、悩む保護者も多い。そんな時に参考にしたいのが専門家の意見だ。中学受験のエキスパート12人に、注目校を聞いた。

 首都圏中学入試は、2021年入試で受験生数が増加し、受験率がアップした。コロナ禍ではあったが、私立校の面倒見の良い教育が保護者に高く評価された結果だった。22年入試でもこの勢いは継続している。中学受験情報誌『進学レーダー』の井上修編集長が次のように話す。

「夏の中学受験模試では、新型コロナウイルスの感染者が増加したので受験者数は昨年とほぼ同じで横ばいでしたが、秋は増加しています。この勢いから、22年入試でも受験生数が増加し、厳しい入試が継続すると思います」

 志望校に合格するために、どうやって学校を選んでいけばいいのか。本誌と大学通信では、首都圏と関西圏の有力塾など、中学入試のエキスパートにアンケートを実施し、22年入試の注目校を挙げてもらった。安田教育研究所の安田理代表がこう解説する。

「これまで続いていた大学付属校人気が落ち着き、進学校が多くなっているのが特徴です。21年は難関大付属校の志願者が減ったので、その影響が表れています。6年後の進路の選択肢を増やし、子どもに合った教育の学校を選ぶ傾向に保護者が変わり、その視点で選ばれているようです」

 最初に人気がアップしそうな学校を見てみよう。エキスパートは共学化や新校舎建設、入試変更など改革実施校に注目している。

 星美学園は女子校から共学校に移行し、サレジアン国際学園に校名変更する。本科クラスとインターナショナルクラスを設置。探究型の授業で思考力・判断力を伸ばし、コミュニケーション力を身につけ、21世紀に世界で活躍できる人材育成を目指す。さらに、英語の授業は本科が週8時間、インターナショナルが週10時間あり、インターナショナルのアドバンスドグループでは英・数・理・社の授業は英語で実施される。姉妹校の目黒星美学園は1年遅れて、23年に共学化され、サレジアン国際学園世田谷に名称変更予定だ。

 千代田女学園は18年から募集を停止していたが、22年に共学化し、千代田国際に校名変更して募集を再開する。

 21年は、聖徳大付女子が共学化し光英ヴェリタスに校名変更したが、志願者が前年比3倍以上の約1000人に増加した。村田女子を前身として開校した広尾学園小石川も共学校になり、3000人を超える志願者が集まった。新しい教育内容が広く浸透したことで、人気アップにつながるケースが目立つ。

 また、施設面での充実化も行われている。海城は新理科館が竣工(しゅんこう)した。物理・化学・生物・地学それぞれの専用実験室のほか共同実験室や講義室、階段教室などを新設した。屋上は緑化され、温室も設置。環境に配慮した手法などを導入し、その内容や仕組み、効果が実体験を通じて理解できる環境教育教材になる校舎を目指した。開成でも高校新校舎が完成し、新校舎での授業が始まっている。

 湘南白百合学園は、20年に2月1日午後の算数1教科入試を新設して人気を集めた。22年は算数だけでなく、国語1教科でも受験できるように変更された。募集人員は計20人だが、国語を得意とする受験生が多く狙いそうだ。

 入試の変更は少なく施設拡充などに注力

 日本大藤沢は2日に午後入試を新設する。21年は、獨協や神奈川大付などで新たに午後入試が新設されて人気だった。若干名の募集だが、併願校として選択する受験生が増えそうだ。

 井上さんが次のように話す。

「22年入試は大きなインパクトがある入試変更は少なくなっています。学校は教育プログラムの見直しや施設の拡充などに力を入れているようです。コロナ禍でその重要性を再認識したからでしょう」

 また、中学入試の志望校選びでは、直近の大学合格実績が重視されることが多い。そのため、21年度大学合格実績が伸びた学校は、22年入試で人気がアップすることが多い。エキスパートも合格実績の伸長には注目する。

 麻布、聖光学院、早稲田、武蔵、豊島岡女子学園、渋谷教育学園幕張などのトップ上位校は、安定した実績が評価されている。それに続く芝、城北、巣鴨、本郷、吉祥女子、頌栄女子学院、洗足学園、市川、栄東、大宮開成なども実績を伸ばしている。

 浅野は21年春は東大に48人が合格した。前年は39人だったので9人増。栄光学園の47人合格を上回り話題になった。他にも、京大に7人、東工大に21人、一橋大に13人などが合格。東工大と一橋大は前年より減少したが、東大と京大は増加し、より難関大にシフトしている。私立大では慶應義塾大に174人、早稲田大に140人、明治大に113人、東京理科大に95人などが合格し、いずれも前年より大きく増加した。

 攻玉社は東大に前年比6人増の17人が合格し、うち15人が現役生だ。慶應義塾大119人、早稲田大115人、東京理科大に90人が合格している。井上さんが話す。

「攻玉社は、以前は厳しい学校というイメージが強かったのですが、男子校人気の高まりで学校が見直され、6年間を伸び伸びと過ごしながら学力や人間力が身につけられる学校として人気がアップしています」

 横浜雙葉は東大に10人が合格。堅実な進学指導が実を結んだ結果とみられている。近年は難度が少し下がっているので入りやすく感じられ、志望者が増えそうだ。

 開智日本橋学園と三田国際学園は、15年に女子校から共学校に移行後、初の6カ年一貫生が今年卒業した。開智日本橋学園は東大・東工大・お茶の水女子大各1人、慶應義塾大7人、早稲田大15人、東京理科大13人、明治大11人、立教大9人などの実績。三田国際学園は上智大・明治大・立教大が各8人、青山学院大7人、中央大22人などの実績だった。いずれも初年度から結果を出しており、今後も実績の伸長が期待される。

 受験生や保護者に勧めたい学校を見ると、伝統校や上位校の評価が高い。麻布、栄光学園、開成、桐朋、立教新座、桜蔭、鷗友学園女子、学習院女子、淑徳与野、豊島岡女子学園、日本女子大付、フェリス女学院、立教女学院、栄東、東邦大付東邦など。

 さらに中堅校からも多く選ばれている。佼成学園、藤嶺学園藤沢、日本大豊山、昭和女子大付昭和、女子聖学院、女子美術大付、玉川聖学院、桜美林、駒込、獨協埼玉、文化学園大杉並、横浜創英など。特に共学校では難度にかかわらず、幅広く選ばれているようだ。今後、大きく変革する社会で活躍できる力を育ててくれる学校を保護者は求めているからだ。

 安田さんが一例を紹介する。

「洗足学園では、人工知能(AI)を用いたコンピテンシー(行動特性)の測定・評価を行っています。将来社会で活躍するために必要な力を見つけ、伸ばすためです。私学では新しい取り組みをいち早く取り入れています」 一方、関西圏はどうだろうか。首都圏と同様に入試改革や学校改革にエキスパートは注目する。

 日能研関西・進学情報室の森永直樹室長が話す。

「滝川は医進グローバル、医進、特進の3コースを、22年から医進選抜、サイエンスグローバル一貫、ミライ探究一貫コースに変更します。方向性をはっきり確立させ、それぞれの希望進路に応じた学力をしっかり養います。特に医進選抜は、医学部志望の学力上位生の併願校として選ばれています」

 21年に英数Sコースを新設した四天王寺は、さらに人気がアップしそうだ。どのコースに進学しても、面倒見の良い教育が受けられる。2年へ進級する時に転コースも可能だ。

 京都学園は、京都先端科学大と法人合併し、京都先端科学大付に校名を変更。大学付属校としての特色が強化された。独自の探究型学習「地球学」が好評で、グローバル教育にも力を入れている。

 夙川は19年に法人合併した須磨学園の教育を取り入れたカリキュラムへの期待が高く、志望者が増加している。そのため難化が進み厳しい入試になりそうだ。

 大学合格実績が好調な学校も多い。西大和学園は21年春に東大に76人、京大に63人が合格し、実績を伸ばした。甲陽学院はもともと京大の合格者が多かったが、近年は東大や国立大医学部の合格者が増えている。須磨学園でも難関国公立大や医学部の合格者が増加している。金蘭千里では、自主的に学びが進められるように、学校だけでなく家でもオンラインで学べるAI教材が導入されている。国公立大合格者が増加傾向だ。

 受験生と保護者に勧めたい学校について森永さんがこう話す。

「いずれも軸がぶれずにしっかりした教育を行いながら、時代に合わせた変化にも柔軟に対応できる学校ばかりです」

 エキスパートが挙げる学校は、いずれも良質な教育内容の学校ばかり。受験校選びの参考にしてほしい。

 10月5日発売の「サンデー毎日10月17日号」は、「2022年 中学入試の注目校」「首都圏・関西圏主要266校『私立中学』最新偏差値」の表も掲載しています。

 また、他に「安倍・菅政治を超えて 寺島実郎が問う 岸田首相は『安倍の操り人形』ではないことを証明せよ」「『眞子さま結婚騒動』揺らぐ皇室像の共有」「国民健康保険料が高すぎる!」などの記事も掲載しています。

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