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『週刊現代』の責任を問う 危うい「代理人」兼業 緊急連載・社会学的眞子さまウォッチング!/6=成城大教授・森暢平〈サンデー毎日〉

    武蔵野陵を参拝される秋篠宮家の長女眞子さま=東京都八王子市で2021年10月12日(代表撮影)
    武蔵野陵を参拝される秋篠宮家の長女眞子さま=東京都八王子市で2021年10月12日(代表撮影)

     小室圭さん(30)の母親の金銭トラブルについて、母親の元婚約者Aさんにも非があるとの論調が増えてきた。きっかけは、Aさんの取材を独占してきた『週刊現代』が、10月16日号で、皇室ジャーナリスト・山下晋司氏の取材に応じさせたことにある。Aさんの代理人を務める記者のいる同誌は、本当にAさんのためを思って、この取材をセットしたのだろうか。

    『週刊現代』は、同誌以外の「直接取材に一切応じてこなかった」Aさんについて、山下氏がインタビューする機会を設け(10月3日)、内容を記事化した。記事のなかで山下氏は、金銭トラブルに関し「Aさんにも責任の一端がある」と問い掛けた。

     山下氏は10月8・11日、読売テレビの「情報ライブ ミヤネ屋」に出演し、取材後の感想や見解を明らかにした。山下氏は、Aさんが母親と話がしたいと直接交渉にこだわるが、これまで自分の主張は週刊誌を通じて間接的に小室家に伝えており、矛盾がある点を指摘した。山下氏は、Aさんの話は、全体の整合性が取れていないと批判的だ。

     一民間人であるAさんをここで非難したくないが、山下氏の見方には一理ある。

     Aさんは「ただ一言でいいので『ありがとう』と直接言ってほしい」と主張する。一方で「一度限りで話し合いが終了するとは考えてはいない」とも述べている。感情の問題を含む男女のトラブルは、何をもって解決とするのかは難しい。会いたいという要望に母親が簡単に応じられない理由のひとつは、そこにある。

     元婚約者の「交渉拒否」

    『週刊現代』の記者が、弁護士資格がないにもかかわらず、Aさんの代理人を務めたことに問題はないのだろうか。

     4月に公表された「小室文書」は、2019年7月に小室母子の代理人・上芝直史弁護士が、Aさんと話し合った際のやりとりについて記す。〈弁護士ではない週刊誌の記者が法律問題の代理人になることは弁護士法に違反する懸念がありましたから、(略)元婚約者の方に指摘しましたが、弁護士を代理人に選任する考えはないという回答でした〉

    〈やむなく、話し合いを進めることを優先するために記者がこの件に関わることへ特段異論を唱えないことにして、記者は代理人ではなくあくまで元婚約者の方と連絡を取るため、話し合いを進めるための窓口であると考え、その範囲でのみ記者とやり取りをすることにしました〉

    「代理人」とのやりとりに対する小室さん側の困惑が読み取れる。

    『週刊現代』記者の対応が公平さを欠くと感じる場面がある。たとえば、『週刊朝日』(9月17日号)の取材に次のように答えたことだ。

    「元婚約者(Aさん)は、当初から母親(本文は実名)の口からきちんとした説明を聞きたいと話しています。(略)しかし、小室さんサイドの弁護士は、『伝えておきます』と言うだけで、こちらに何の連絡もありません。われわれは、待つしかない立場です」

     交渉がこじれているのは、何も対応しない小室家側の不誠実な態度にあるという印象を受ける。週刊誌やワイドショーはこれまで『週刊現代』記者の言葉をそのまま報じ、小室さんと母親への批判を展開してきた。

     上芝弁護士は、小室母子の代理人である。ところが、Aさん側は「母親に実際に会わないと、彼女の本当の気持ちが分からない」と直接交渉にこだわる。代理人交渉を認めていない。

     離婚交渉などで、離縁を求められた男性が、妻との直接交渉を彼女の代理人に求めても通常は通らない。代理人交渉を認めないことは、すなわち実質的な交渉拒否である。

     上芝弁護士は、メディアに対し、そう主張したいだろう。だが守秘義務がある。一方『週刊現代』記者は、責任が小室母子にあるとの印象を広めた。

    『週刊現代』(4月24日号)によると、2019年2月から、Aさんの依頼で「本誌記者は契約書を交わし、代理人を務めることになった。もちろん、A氏からの報酬などは記者個人としても編集部としても一切受け取っていない。(略)交渉の過程で知り得た事実を、この記者が本誌の記事に反映させたこともない」という。

    『週刊現代』(9月25日号)は、上芝弁護士から「(母親と)会って何を話すつもりなのか」など「警戒心に満ちた」メールが送られたと交渉の内容を記す。Aさんが取材に応じたスタイルの記事だ。だが、代理人である記者の「知り得た事実」がこの記事に反映されていないという同誌の主張を、読者はどこまで信じるだろう。

     週刊誌のいいカモ

     もっとも、記者が取材の過程で情報源と親しくなり、その境遇に同情して、その人のための記事を書くことはあり得る。パブリック・ジャーナリズムの理論によれば、中立・客観だけが記者倫理ではない。取材源に寄り添い、そのために闘うこともジャーナリズムのあり方ではある。

     しかし、『週刊現代』は、本来、守るべき取材対象に、山下氏というジャーナリストを取材させた。その山下氏はその後のテレビ出演で、Aさんの問題点を指摘するようになった。結果的に、山下氏の取材以降、各メディアは堰(せき)を切ったようにAさん批判を始めたのである。

     Aさんについて山下氏は「週刊誌のいいカモになった」「小室家を批判するために利用された」と評した。マスメディアはAさんのことを真剣に考えて、記事化したのではないとの指摘で、もっともだと思う。

     この指摘は『週刊現代』にも当てはまる。母親との間に「肉体関係もありませんでした」(2020年12月5日号)と読者が喜びそうな情報を、Aさんに語らせている。

     Aさんは10月10日、コメントを発表し、「私に取材をされた記者の方々の誰もが一方的に話を聞くばかりで時には苦痛になることもありました。信頼できる方が誰もいない状態だった」と吐露した。

     そのなかで最も信を置くのが『週刊現代』記者だったのだろう。しかし、同誌も結局、Aさんをいいように利用した、と私は思う。

    もり・ようへい

     成城大文芸学部教授。1964年、埼玉県生まれ。博士(文学)。毎日新聞で皇室や警視庁担当、CNN日本語サイト編集長、琉球新報ワシントン駐在を経て、2017年から現職。著書に『天皇家の財布』(新潮社)、『近代皇室の社会史』(吉川弘文館)など

    「サンデー毎日10月31日号」表紙
    「サンデー毎日10月31日号」表紙

     10月19日発売の「サンデー毎日10月31日号」は他にも、「10・31総選挙 問われる『宰相』 ブレまくる岸田首相に喝!」「胸の痛み、脇腹痛、血尿…サインを見逃すな! 『逆引き』病気解説」などの記事も掲載しています。

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