【週刊エコノミスト創刊100年キャンペーン実施中】いまなら週刊エコノミストオンラインをお申し込みから3カ月間無料でお読みいただけます!

教養・歴史アートな時間

売れ筋も宣伝もない、だからこそ信頼できるランチタイムコンサート=梅津時比古

ヴァイオリニストの小川恭子 ©Shigeo Imura
ヴァイオリニストの小川恭子 ©Shigeo Imura

クラシック 小川恭子(ヴァイオリン) ウィーンに眠る2人の天才~モーツァルトへの畏敬を込めて=梅津時比古

質実に芸術極める若手を起用 信頼のランチタイムコンサート

 各ホールやサロンにランチタイムコンサートがある。お昼の1時間ほど、リーズナブルなチケット代で楽しめる。聴衆はもちろん遠くから来る人もあるが、都心であれば、近くのオフィスから昼休みに来る人々もいる。

 ランチタイムコンサートは何でもないように見えて、実は音楽的な本質を捉えた企画が多い。

 まず、売れ筋のアーティストを鳴り物入りで紹介するわけではない。派手な宣伝をすることもない。どこのランチタイムコンサートも、たいていは若手の奏者を登用して、自由にプログラムを立ててもらう。それを多くのファンが聴いて皆で応援するというコンセプトのところが主流である。

 ここには、ヨーロッパで古くから日常化していた、演奏家の世に認められるシステムが自然に出現している。聴衆の皆がそれぞれに自分の感性に合う、好きな演奏家を見つけて、それを応援する。その数が増えて、誰もが知る演奏家となっていくのである。

 各ホールの企画に特徴があるが、長く続いているものでは東京のトッパンホールのランチタイムコンサートが一頭地を抜いているだろう。売れることを目標にしているような若手ではなく、自身に即して精一杯、自分の芸術を追求している若手を探して、出演をお願いしていることがよく分かる。

 しかも、主催側の意識に、上からの意識で若手を育成するとか、審査して出演を決める、というようなおこがましい要素は見られず、彼らに寄り添って、何よりも彼らが気持ちよく演奏する場を作ることを心がけているのである。

 12月25日に行われる第113回は、ヴァイオリンの小川恭子とピアノの原嶋唯が出演する。この2人も自己顕示とはほど遠い。小川は日本音楽コンクール1位、原嶋は同3位のキャリアがあるが、それを決して売り物にしない。何よりも質実に芸術を追求している。これ見よがしな派手なところは全くないが、実に品性の高い自然な音楽性の中に、深いものを秘めている。古典的であるとともに、限りなくロマン的でもある。

 今回、予定されているモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K454と、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100はまさに彼らの特質を体現できるプログラムだろう。ブラームスの3曲のソナタの中で、ヴァイオリンとピアノのアンサンブルが密で歌に満ちて、美しい第2番を選んだところがいかにも彼ららしい。

(梅津時比古・毎日新聞学芸部特別編集委員)

日時 12月25日(土)12:15開演(11:45開場)

会場 トッパンホール(東京都文京区水道1−3−3)

問い合わせ トッパンホールチケットセンター 03−5840−2222(10:00〜18:00)

※事前予約制(好評につき予定数終了)

※当日券については、チケットセンターにお問い合わせください


 新型コロナウイルスの影響で、映画や舞台の延期、中止が相次いでいます。本欄はいずれも事前情報に基づくもので、本誌発売時に変更になっている可能性があることをご了承ください。

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月13日号

論争で学ぶ 景気・物価・ドル円14 バブルは別の顔でやって来る ■熊野 英生17 鳴らないアラート 「経済の体温計」を壊した罪と罰 ■中空 麻奈18 対論1 米国経済 景気後退入りの可能性高い ■宮嶋 貴之19  景気後退入りの可能性は低い ■高橋 尚太郎20 対論2 日銀 23年後半から24年前半 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事