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2022年大学入試:河合塾、駿台、東進、ベネッセ 難関大学科別最終難易度・私立大編 弱まる「安全」と「地元」志向〈サンデー毎日〉

    「サンデー毎日1月16日号」表紙
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     難関大中心に志願者回復へ 

     過去最大の志願者減となった2021年度(21年4月入学)の私立大の一般選抜。一転、22年度入試は難関大を中心に志願者が戻ってきそうだ。具体的にどのような状況が見込まれるのか。最新模試の動向から探ってみた。

     21年度の私立大の一般選抜は、志願者が前年比14%減で、志願者が増えた大学を探すのが難しい状況だった。しかし、22年度は志願者が戻ってくる可能性がある。21年11月に実施の「駿台・ベネッセ共通テスト模試」では、前年の志望者を100とした時の私立大全体の志望者指数は118と増えている。中でも、難関大の志望者増が顕著だ。東進ハイスクール広報部長の市村秀二氏は言う。

    「コロナ禍が落ち着いていることや、ワクチンの2回接種が進んだ安心感から、安全志向や地元志向が緩和傾向にあります。そのため、チャレンジングな受験生が増えているのだと思います」

    「難関私立大の志望動向」を、私立大全体の指数118を基準に見てみると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は全て増加。関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は、関西学院大が増えて他の3大学は前年並みとなっている。難関大人気が戻る中、河合塾教育情報部長の亀井俊輔氏は中央大に注目する。

    「中央大の人気は高く、国際経営を除く全学部で志望者が増えています。23年度の法学部の都心移転や、国家試験に強いイメージが受験生を引き付けるのでしょう」

     最難関私立大の志望動向に注目すると、東京理科大が増え、早稲田大は前年並み。慶應義塾大と上智大は前年を下回るなど、MARCHのような勢いはない。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。

    「早慶など最難関大のハードルは高いので、現実的な志望をしているのでしょう。上智大は、コロナで国を越えた移動が停滞する中、グローバルなイメージがマイナス要因と考えられます」

     もっとも、難関大を現実的に考える受験生は減っていないので、志望者が増えなくても、入試のハードルは下がらない。例えば、大学入学共通テストと大学独自試験を組み合わせる国立型の方式を導入し、21年度に志願者が大きく減った早稲田大・政治経済は、全体の志望者は増えていないが、高成績層に限定すると増えているので、入試レベルは上がりそうだ。

     難関大に続くレベルの日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)や、産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)クラスも志願者増が見込まれている。

     22年度の私立大入試では、学部志望動向にも変化が見られる。ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の谷本祐一郎氏は、こう話す。

    「コロナ禍が現時点では落ち着いていることもあり、文系学部の志望者が増えています。理系学部の人気が高く、文系学部の人気が低い『理高文低』の傾向が緩和されました。人文、法、経済・経営・商、社会で志望者が増えています。語学は相変わらず少ないですが、国際関係は志望者が戻ってきました」

     理高文低の傾向が緩和されても、景気の先行きが不透明な中、就職に強い理系学部の人気は根強い。これまで人気が下がっていた農・水産系の志望者が反動で増となる一方、理と工も前年の志望者を上回っている。

     理と工の志望者増の背景には、人材養成が急務と言われる情報系の人気が相変わらず高いこともある。ベネッセの谷本氏は言う。

    「文系・理系を問わず情報系は倍率が上がりそうです。特に、青山学院大・社会情報や東洋大・総合情報、関西大・総合情報などの志望者が多い。22年度に新設される近畿大・情報も多くの志望者が集まっています」

     コロナで人気高まる共通テスト利用方式

     医療系では、看護系の人気が下がった影響で保健衛生が志望者減。医学科は前年並みで、志望者が増えているのは、歯と薬。特に薬の人気が高いが、どの大学も志望者が増えているわけではないようだ。駿台の石原氏は言う。

    「薬学部の中でも研究者養成を主とする創薬系の人気が高い。卒業後の進路に対する不安感から、難易度が高い大学の薬学部志望者が増えています」

     入試方式別の志望状況を見ると、一般方式と共通テスト利用方式では、後者の志望者が増えている。コロナに感染しても自宅にいながら合否判定が受けられること、さらに、初回の共通テストの平均点が高かったことも志望者増の背景にある。しかし、河合塾の亀井氏は、こう注意を促す。

    「コロナ禍のセーフティーネットとして共通テスト利用方式をうまく活用すべきですが、一方で志望度の高い大学は一般方式での受験も検討してください。近年増加が目立つ追加合格も、一般方式のみに限定している大学があります。バランスよく出願しておくことが大切です」

     同じ大学の一般方式と共通テスト利用方式の難易度を比較すると、一般的に後者の方が難しいことを意識して出願するのがよさそうだ。さらに、志望者増の一要因である平均点にも注意が必要だ。

    「初回の共通テストの平均点が高かった反動で、22年度の共通テストは、英国数といった主要教科を中心に問題の傾向が変わり、難化すると見られます。どんな問題が出題されても、驚かずに対応する必要があります」(駿台の石原氏)

     ところで、倍率が上がる難関大が増えることが予想される22年度入試に対して、受験生はどのような心構えで臨めばいいのか。東進の市村氏に聞いてみた。

    「共通テスト志願者の既卒生の減少率から、22年度の私立大入試の浪人生は3~4%減ると見ています。浪人生が減っている現状を冷静にとらえ、見かけの倍率に惑わされないことが重要です」

     志願者が大幅減となった21年度がベースなので、志願者が増えても大半の大学は19年度の水準には戻らないと見られている。倍率を気にする前に、まずは「難関私立大 学科別最終難易度」を参考に自分のポジションを確認したい。

     1月4日発売の「サンデー毎日1月16日号」には、「河合塾、駿台、東進、ベネッセ 難関私立大学科別最終難易度」を掲載しています。

     他にも「2022年『大展望』 寺島実郎の眼力『日本埋没 脱却元年』」「第6波への備えは十分か! コロナ『死者数格差』を問う」「専門・業界誌編集長12人が先読み 医療・外食・健康・コンビニ・住宅…『2022年はこれがくる!』」などの記事を掲載しています。

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