2022年大学入試:今からでも出願できる256私立大 重要度増す私立大後期入試〈サンデー毎日〉
共通テスト平均点ダウンで志願者増か
大学入学共通テストの大幅な平均点ダウンの影響により、国公立大志望者からの出願が増え、2022年度の私立大の一般選抜(22年4月入学)は難化する可能性がある。今春は私立大の後期入試の重要度が増しそうだ。
私立大の一般選抜の志願者は、2年連続で減少してきた。特に14%と史上最大の減少幅となった21年度入試は、志願者が増えた大学を探すのが難しい状況だった。
22年度入試は、共通テストの難化の影響で、国公立大志望者が私立大への出願数を増やすと見られ、志願者の減少に歯止めがかかる可能性が高い。一般選抜の倍率が上がる大学が多くなると、思うように合格大学を確保できない受験生が増え、2月の後半から3月にかけて行われる、私立大の後期入試の重要度が増しそうだ。
一般的に後期は定員が少なく、厳しい入試になりがちだ。しかし、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は、近年傾向が変わってきていると話す。
「コロナの不安感から、年内の総合型選抜や学校推薦型選抜へのシフトが進み、入試が早期化しています。そのため近年は3月まで頑張る受験生が減り、私立大の後期入試の倍率が下がっています。最後まで諦めなければ、逆転のチャンスは残っています」
「今からでも出願できる256私立大」には、2月15日以降に出願可能な主な大学を掲載した。表には、人文科学や社会科学、理工などのオーソドックスな系統から、医(医学科)や芸術、スポーツまで、ほぼ全ての学部系統が網羅されている。
表にある最難関クラスの大学は立命館大などだが、それに続くクラスでは、日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)や産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)が全大学受験可能。さらに、東北学院大や愛知大、愛知学院大、追手門学院大、桃山学院大、広島修道大、九州産業大、立命館アジア太平洋大など、全国の主要大学が受験できる。
人気が高い工科系大学では千葉工業大や工学院大、東京電機大、神奈川工科大、大阪工業大などだ。女子大では大妻女子大や共立女子大、昭和女子大、清泉女子大、フェリス女学院大、椙山女学園大、京都女子大、同志社女子大、神戸女学院大などがある。駿台の石原氏は、女子大に注目して、次のように話す。
「女子大は社会の評価が高い大学でも入りやすくなっています。後期の出願大学として女子受験生におすすめします」
大半の受験生に再チャレンジの機会が残されている中、前期の結果を踏まえて、後期はどのように出願すればいいのか。駿台の石原氏は、過度に守りに入る必要はないと言う。
「コロナ禍で移動を避ける傾向が強まり、地方の受験生を中心に、首都圏や近畿圏の私立大に合格しても、国公立大に合格すれば入学手続きをしないケースが多い。結果的に私立大の倍率が下がるので、前期で不合格となった大学への再チャレンジでも、合格のチャンスは大きくなっています」
もちろん、浪人を避けたいと考えるなら、前期より難易度が低い大学を押さえた上で、再度本命にチャレンジしたい。
後期は入試科目が少なく、出願しやすい大学が多いため、苦手科目を避けて受験することも可能だ。2科目受験が可能な大学には、東北学院大や昭和女子大、東海大、関東学院大、岐阜聖徳学園大、愛知学院大、京都産業大、京都橘大、龍谷大、摂南大、阪南大、神戸学院大、広島工業大、広島修道大、福岡大、立命館アジア太平洋大などがある。
多くの大学が設ける受験料の「割引制度」
1科目受験が可能な大学もあり、関西外国語大の後期日程は、英語1科目で合否を判定。追手門学院大の最終日程は英語を読解し、日本語で論述する英語・国語総合力テストを実施する。大妻女子大や甲南大、流通科学大なども学部(学科)により1科目で受験が可能だ。出願しやすいからこそのデメリットもある。
予備校関係者は言う。
「3科目なら多少のケアレスミスはトータルで挽回可能だが、少数科目入試では命取りになる。得意科目を生かしたいのは分かりますが、思わぬ落とし穴があることを忘れないでください」
前期で数多くの大学を受験していれば、後期は受験費用も気になる。そこで注目したいのは、受験料を割り引く大学。例えば、立正大は一度の出願で3学科(コース)を併願でき、1学科目が3万5000円で2学科目が1万円、3学科目は無料となる。聖学院大は入試方式を問わず2回目以降の検定料が1万円割引になる。受験料の併願割引制度は、亜細亜大や専修大、大正大、日本大、武蔵野大、京都産業大、京都橘大、大阪電気通信大、摂南大、神戸女学院大、武庫川女子大、広島工業大など数多くの大学が導入している。
ここまで独自入試で後期を実施する大学を見てきたが、共通テストを受けていれば、難関大の受験が可能だ。早慶上智は実施していないが、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)では、明治大と中央大。関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)では関西大、関西学院大、立命館大が共通テスト方式を実施している。 後期の共通テスト方式は、国公立大志望者の獲得を目指し、多くの科目を課すケースが多い。そのため難関ではあるが、倍率は低くなりがちで、22年度はさらに下がる可能性が高い。
「共通テストの平均点が下がった今春の国公立大入試は、志願者が減少し、倍率が下がる可能性が高い。国公立大に受かれば、私立大の共通テスト方式に合格しても入学手続きを取らない受験生も多いので、難関私立大の倍率は下がると見ています」(予備校関係者) 難関大の共通テスト方式はボーダーラインが高く、前出の大学では、早慶や同志社大などの最難関大を第1志望にできる高い学力が必要だが、目標点をクリアしていれば、合否が読みやすい入試でもある。共通テストの平均点が下がった分、ボーダーラインも下がっているので、冷静に合格の可能性を探りたい。
合格大学がない、もしくは、あっても第1志望ではない受験生にとって、まだ逆転の道が残っている。「今からでも出願できる256私立大」を見て、受験プランを再構築してほしい。