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2022年大学入試:入試速報第6弾 東大・京大 合格者高校別ランキング前期詳報 増加数トップは東大が開成、京大が清風南海〈サンデー毎日〉

「サンデー毎日4月3日増大号」表紙
「サンデー毎日4月3日増大号」表紙

 東大の「前年比増」の上位は筑波大付、聖光学院、栄光学園…

 2022年度(22年4月入学)の東大と法後期を除く京大の合格者数が増えた学校に注目すると、一貫校が増えて関東ローカル化が進む東大に対し、近畿の学校が減り全国区になる京大、という図式が見えてきた。

 東大と京大の法後期を除く一般選抜の合格者数が確定した。3月16日夕現在で、東大の22年度の合格校を見ると1位・開成、2位・灘、3位・聖光学院、4位・西大和学園、5位・桜蔭――と、ベスト20(22校)のうち17校を中高一貫校が占めた。一貫校が強いのは例年の傾向だが、22年度は合格者が増える学校が多くなっている。本誌3月27日号の「超速報 東大・京大 合格者ランキング」の通り、22年度の東大の高校別合格状況は、公立校が躍進した21年度とは対照的に、首都圏を中心とした中高一貫校が巻き返す形となった。

 「東大合格者が増えた学校」に注目すると、最も増えたのは、41年連続で合格者数ランキングトップの開成で47人増。以下は筑波大付が13人増、聖光学院が12人増、栄光学園が11人増、海城と洗足学園が10人増など、首都圏の一貫校が合格者数を伸ばしていることが分かる。

 東大の発表によると、22年度の一般選抜で合格者に占める関東(1都6県)の学校の割合は60・3%(1807人)で、前年より3・1ポイント(96人)増えた。関東の合格者が増えているのは、首都圏の一貫校の合格者が増えている影響が大きい。

 合格者が増えた一因は、2次試験で数学が難化したことにより、数学が得意な男子生徒が多い一貫校に追い風が吹いたこと。さらに、学校の課外活動が通常に戻りつつあることを挙げるのは、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏だ。

「21年度の公立校、特に地方の学校が躍進した背景には、文武両道の学校が多い公立進学校の課外活動がコロナ禍でできなくなり、勉強だけに打ち込まざるを得ない環境になったことがあります。優秀な生徒が勉強だけに集中すれば、公立校も現役で多くの生徒が合格できるということを証明しました。22年度は課外活動が再開し、勉強に割く時間が元に戻ったことから減少したのでしょう」

 さらに、21年度に現役で多くの生徒が合格したため、浪人生が残っていなかったことも、公立校の合格者が伸びない要因になっているようだ。

 学校個別にはどのような要因があったのだろうか。この10年で2番目に多い、57人が合格した海城の学習指導部長に聞いてみた。

「今年は例年より医学部を目指す生徒が少なく、東大志望者が多くなりました。高3に上がるときにも東大志望を変える生徒が少なく、大幅に難化した大学入学共通テストの結果が良かったこともあり、東大にチャレンジする生徒が増えたことが合格者増の要因だと分析しています」

 女子は合格者減少も洗足学園は過去最多

 22年度の東大の2次試験は、数学が難化したことから、一般的に数学を苦手とする受験生が多い女子が不利だったと言われた。実際、第1段階選抜をクリアした女子は前年より172人増えて1930人になる一方、合格者は5人減の593人。女子受験生にとって厳しい結果となっている。

 そうした状況にもかかわらず、女子校ながら合格者が前年の2倍となり、同校史上最多の20人が合格したのは洗足学園。中学時代から数学に強い生徒が多かったことに加え、海城と同様にチャレンジ精神が旺盛なことが合格者増につながったようだ。同校の教頭教諭は言う。

「頑張れば東大に合格できること、最難関大に挑戦する意義を説明することなどにより、中学時代から東大受験のモチベーションが醸成しました。高校3年間のスケジュールを示し、先を見ながら学習を進めることで東大合格の学力が身に付いたことから、チャレンジする生徒が多かったことが合格者増につながりました」

 公立校では岡山のトップ校である岡山朝日の合格者の伸びが大きく9人増となった。駿台の石原氏は、地理的な要因を指摘する。

「もともと中国地方は、山陽新幹線で東は京都や東京、西は九州とつながっている交通の利便性と、前期で落ちても後期で岡山大と広島大という受け皿があるので、東大や京大などの難関大を受けやすい環境にある。21年度は初めてのコロナ禍の入試で状況が読めなかったため中国地方からの東大志願者が減少しましたが、22年度は増加。この点と岡山朝日の合格者増はリンクしていると思います」

 東大の発表によると、中国地方からの志願者は342人で、前年から17・9%、52人増えており、20年度の水準に戻っている。中国地方の学校では広島学院が9人増で19人、広島大付福山が6人増で10人となっている。

 京大の「増」上位は灘、四日市、浦和・県立、久留米大付設…

 京大の合格者数ランキングのベスト3は1位・北野、2位・東大寺学園、3位・洛南で、順位は異なるが、顔ぶれは21年度と同じ。4位以下は天王寺、清風南海、甲陽学院、灘が続いた。合格者が増えた学校を右の「京大合格者が増えた学校」で見ると、最も増えたのは前年を31人上回って53人となった清風南海。進路指導部教諭が合格者増の要因を次のように説明する。

「学年の担当教諭が大変熱心なため、生徒も学校を信頼していました。学校のカリキュラムについてきてくれる生徒も多く、補習授業の参加率も高かった。学年を挙げて中学の頃からの弱点であった英語を補強し、高校に入ってから英語が劇的に伸びたことが合格者増の要因です」

 弱点となっている教科を6年かけて伸ばすことができるカリキュラムの余裕が、合格者増の一因となっているようだ。

 次に増えた灘は、東大は5人減ったが京大は15人増。東大と京大の合計は140人で10人増となった。合格者が増えた上位2校以外では、合格者が減少する近畿(2府4県)の学校が少なくない。合格者数ランキングの上位では、北野が5人減、甲陽学院が3人減、膳所が6人減、西大和学園が23人減、洛星が7人減などだった。

 前出の2校以外は近畿以外の学校が多く、四日市が12人増、浦和・県立と久留米大付設が11人増、浜松北が10人増、東海と広島大付が8人増――などだ。こうした影響もあり、京大の全合格者に対する近畿の学校の割合は、東大とは対照的に、21年の50・5%から47・9%に下がっている。

 駿台の石原氏は言う。

「京大は広報に力を入れ、近畿以外で大学説明会や学校訪問を積極的に行っています。さらに、入学後、前期課程における成績が学部(学科)選びを左右する東大に対し、京大は学部(学科)を決めて入学できるので、のびのび勉強できることが全国から志願者が集まる要因になっています」

 東大、京大ともに、日本全国から多様な学生を集めたい考えは同じ。だが、22年度の一般選抜の結果を見ると、東大は全体として関東ローカル化が進み、京大はより全国から学生が集まるという、対照的な結果となった。東大・京大を含む難関国公立・私立大の高校別合格者の詳細は、「全国有力1047高校 難関44大学合格者数」を見てほしい。

 3月22日発売の「サンデー毎日4月3日増大号」は、「東大合格者が増えた学校」「京大合格者が増えた学校」「全国有力1047高校 難関44大学合格者数」などのデータを掲載しています。

 ほかにも「超詳報! 合格者高校別ランキング 早稲田・慶應 学部別一覧表も」「第2弾 アイドルが語る『僕が学び続ける理由』 川島如恵留、那須雄登」「激闘120分インタビュー 橋下徹にすべて訊く」などの記事も掲載しています。

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