2022年大学入試:入試速報第7弾 大学合格者高校別ランキング 国公立大総集編 東大・京大・名大、阪大…〈サンデー毎日〉
共通テスト平均点ダウンも3年ぶりの志願増
大学入学共通テストの平均点が大きく下がっても、2022年度(22年4月入学)の国公立大一般選抜の志願者は増加した。大学の難易度別の志願者数を検証すると、難関大と準難関大で対照的な出願状況が見られる。
22年度の国公立大一般選抜の志願者数は42万8657人(国際教養大など独自日程の大学を除く)。共通テストの平均点が下がると、国公立大の志願者は減少する傾向にある。しかし、22年度は平均点が大幅に21年度を下回ったにもかかわらず、同年度より3242人上回った。近年、国公立大の志願者は減少が続いており、増加に転じたのは19年度以来だ。
志願者が増えた背景には、共通テストが難化しても難関国立大志望者が、出願を諦めなかったことにある。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。
「難関国立大の人気は高く、全体として志願者が増えています。共通テストが難化しても志願者が増えたのは、難関大を目指す生徒が多い学校では共通テストの平均点ダウンを冷静に分析し、2次試験勝負ということを生徒にしっかり伝えていたからでしょう」
旧七帝大に東京工業大、一橋大、神戸大を加えた難関国立10大学のうち、志願者が前年を下回ったのは東北大、名古屋大、神戸大の3大学のみ。コロナ禍で移動を嫌う受験生心理もあり、21年度は東大、京大、北海道大といった全国区の大学の志願者が減少した。これらの大学の22年度の志願者数を「国公立大志願者数ランキング」で見ると、東大(5位)が418人増え、京大(7位)も146人増で志願者が9年ぶりに増加した。21年度は前年から1131人の大幅減だった北海道大(4位)は、その反動もあって22年度は895人の大幅増となっている。
難関大と対照的に準難関大は軒並み志願減
共通テストの平均点ダウンの影響を色濃く受けたのは、筑波大や千葉大、横浜国立大、新潟大、金沢大、岡山大、広島大、熊本大、東京都立大、大阪公立大などの準難関大志望者だ。
「準難関大は難関大ほど2次試験のウエートが高くないため、共通テストの平均点ダウンの影響を引きずり、志望を下げた受験生が多かったと見ています。都市部では、私立大に志望変更した受験生もいたでしょう」(駿台の石原氏)
駿台教育研究所の集計では、準難関大のボリュームゾーンである共通テストの得点率75~80%の大学の志願者は10%減。一方、得点率が70~75%の大学は8%増えている。安全志向から志望を下げた受験生が多かったことが分かる。
ランキング中の大学では、千葉大(2位)や東京都立大(11位)の志願者が減少。ランキング外では筑波大が前年より164人少ない5545人、横浜市立大が203人少ない2081人など、志願者が減少する大学が目立つ。
横浜国立大(9位)は3111人と大幅に志願者が増えている。これはコロナ禍を受けて21年度入試で、大半の学部の2次試験を取りやめたことにより、3392人減少した反動が大きく、志願者数は20年度程度に戻った形だ。
ランキングで注目されるのは、国公立大志願者数ランキングでトップを続けてきた千葉大を抜いて1位になった大阪公立大だ。大阪市立大と大阪府立大の合併により22年度に誕生する大学だ。募集定員が2848人と千葉大より500人以上多いのがトップ交代の一因だ。ただ、首位に立ったとはいえ、大阪市立大と大阪府立大を合わせた21年度の1万3789人には及ばず、他の準難関大と同様に志願者は減少している。
一方、準難関大でも新潟大(15位)は766人増、ランキング外の金沢大は94人増の3823人となるなど、志願者が増えている大学もある。石原氏は言う。
「コロナ禍で制限されていた移動距離が、『地域・地方内ならいいだろう』と受験生の意識が変わったのでしょう。そのため地域の拠点大には、21年度より広域から受験生が集まったようです」
準難関大以外の地方拠点大の志願者数は、弘前大が1509人増えて4119人。同じく福井大が647人増で3396人、徳島大が1159人増で5591人、長崎大が155人増で4445人などとなっている。
一般的な国公立大は、全体として志願者が減少していない。22年度の国公立大の志願状況を見渡すと、準難関大の志願者が減った分を、他の難易度帯の大学が取り込み、志願増となる二極化の構図が見えてくる。
石原氏は23年度も国公立大の志願者は増えると見ている。
「ウクライナ危機で経済の悪化が見込まれる中、23年度も学費の安い国公立大志願者が増えそうです。コロナ禍の影響が弱まれば、さらに人気が高まるでしょう」
学校現場で共通テスト対策が進み、平均点アップが見込まれるという増加要因もある。平均点が上がれば、準難関大の志願者も減らないだろう。23年度の国公立大入試は二極化が解消され、難易度帯に関わらず倍率が上がりそうだ。