2022年大学入試:入試速報第8弾 過去10年で伸びた高校は?東西ベスト20 大宮開成、朋優学院、広尾学園、西宮・市立、西宮東、宝塚北…〈サンデー毎日〉
コース新設や共学化が奏功
2022年度入試(22年4月入学)が終わり、各校の難関大合格状況が見えてきた。その実績を10年前と比較すると、数百人単位で増えている学校がある。そうした学校にはどのような特徴があるのか検証してみた。
東大合格者ランキングの上位を独占するような超トップ校を除くと、難関大の合格者数が年ごとに大きく増減する学校は少なくない。伝統校の復権や新興校の台頭などにより、進学校の勢力地図は書き換えられている。
ここでは、難関大の合格者が増えている学校について、「この10年で伸びた学校」で見ていこう。東日本の学校で最も合格者が増えたのは大宮開成。旧帝大の合格者が2人から19人。早慶が30人から119人など、難関大合格者が10年で643人増えた。その背景について、進路指導部長教諭は、こう話す。
「東大コースなど特別編成のクラスは作らず、普段の授業を大切にして難関大合格に向けた学力を育んでいます。複雑化する入試方式を担任が勉強し、生徒に適した方式を提案するなど、生徒に寄り添った指導が難関大合格者が増えている要因だと思います」
大宮開成を含め、表の私立校の大半が中高一貫の中、2番目に増えた朋優学院は、3年制の学校ながら難関大合格者が47人から654人に増えている。安田教育研究所代表の安田理氏は言う。
「女子校の中延学園から共学化した学校です。国公立コースを作るなど、進学校化に大きく舵(かじ)を切ったことが成功しています。大学合格実績が伸び、都立の進学指導重点校との併願が増えることで、合格実績がさらに伸びそうです」
続く広尾学園も07年に順心女子から共学化した学校で、難関大や医学部入試に向けた「医進・サイエンスコース」などを設置し合格実績が伸びている。東京都市大等々力も女子校の東横学園から09年に共学化した学校で、難関大合格者が3人から467人に大幅増。私立の一貫校では、洗足学園や東京都市大付も東大や早慶の合格者を大きく増やしている。
公立校も一貫校が伸びており、浦和・市立と稲毛が該当する。
「両校ともに高校単独の時代は目立つ進学校ではありませんでしたが、一貫校化して合格実績が伸びています」(安田氏)
3年制の公立校では、柏陽、厚木、川和が神奈川県教委から学力向上進学重点校に指定され合格者が増えている。都立校では三田が進学指導推進校、青山は進学指導重点校に指定されている。
西日本の上位は兵庫の公立校が並ぶ。受験生の意向に関わらず、均等に学区内の学校に生徒を割り振る総合選抜の解消と、15年に通学区が16から5学区に拡大された影響が大きい。安田氏は言う。
「総合選抜が10年までに解消され、受験生は行きたい学校を選べるようになりました。ランキングの上位には、阪神間にある交通の利便性が高い学区の進学校が名を連ねていることが特徴と言えます」
ランキングトップの、西宮・市立の関係者もこう話す。
「総合選抜が解消し、文武両道の校風に期待する優秀な生徒が集まるようになりました。クラブや生徒会活動を頑張った生徒は、集中力があり最後まで粘り強く勉強をして、難関大入試で結果を出しています。将来を見据えて、東大や早慶など、首都圏の最難関大を目指す生徒も増えています」
同校には、学区のない理数教育に特化したグローバル・サイエンス科を設置している強みもある。
合格者が増えている公立校には、進学に力を入れる学科やコースを設置している学校が多く、2番目に難関大合格者が増えている西宮東は、現役で国公立大文系学部の進学を目指す人文・社会科学コースを設置している。宝塚北にはグローバルサイエンス科があり、兵庫は創造科学科、加古川東は理数科をそれぞれ設置している。大阪府立の四條畷と大手前は、府教委から難関大進学に力を入れる、グローバルリーダーズハイスクールに指定されている。
私立校では、西大和学園の最難関大の伸びが大きく、国立では東大と京大の合計数が82人から119人に増え、東大と京大の合格者数が逆転。私立大では早慶が52人から109人に増えている。
東西の伸びた学校の一覧には、10年前に既に合格実績が高かった学校や、反対に減少傾向の学校は出てこない。「全国主要2409高校 有名108大学合格者数」は単年の結果ではあるが、まずは志望校の現状の合格実績を確認してほしい。