《夏レジャー》密にならない水上スポーツ 免許不要艇サービスも=春日井章司
マリンレジャー レンタルボートが絶好調 湖で免許がいらない船も=春日井章司
ウィズコロナの現在、密にならないレジャーとしてレンタルボートの利用者が増えている。(夏レジャー 特集はこちら)
「海のレジャー」に新たな変化が起きている。コロナ禍による自粛ムードが広がり、スキューバダイビング、サーフィン、海水浴などのマリンレジャー全般の参加人口が減少しているなか、海上でクルージングや釣り、スポーツを楽しめるレジャーボートの利用者が急増しているという。
大きな要因は、密になりづらいマリンレジャーを楽しもうという人が増えていること、そして大きなコストをかけずとも手軽に楽しめるレンタルサービスが整ってきたことだろう。
レンタルサービスは、日本中の多くのマリーナで利用できる。代表的なのはヤマハ発動機が運営する「シースタイル」だ。
シースタイルでは、入会費(入会金2万2000円、月会費3300円)とその都度のレンタル料だけで全国約140カ所のマリーナでレジャーボートをレンタルできる。ボートの種類もクルージング、フィッシング、トーイング(水上スキー)、水上バイクなど多彩だ。料金は地域やシーズンで異なるが、5~6人乗りのフィッシング用ボートなら平日3時間の場合、約5000円から借りられる。高額なボートの維持費や係留費が必要ないという手軽さから会員数を伸ばし続け、昨年の利用回数は4万回を超えたという。
船舶免許取得者は3割増
レンタルサービスの利用に必要な「船舶免許」の取得者も増えている。日本海洋レジャー安全・振興協会の調査によれば、2021年度の船舶免許試験合格者数は7万4575人となり、新型コロナウイルスの影響があまり出ていなかった2019年度と比較すると、3割増。大きな伸びを見せていることからも、レジャーボートの注目度がうかがえる。
シースタイルを例にすると、ボートなら「1級・2級小型」、水上バイクなら「特殊小型」の免許が必要となる。免許と聞くと、取得するまで時間も費用も必要になるイメージが強いが、そんなことはない。教習所に参加して学科講習・実技講習を受け国家試験を受験するのが一般的で、学科と実技を含めて2〜4日受講し、あとは国家試験を1日受けるだけだ。
受講料は免許の種類によって異なり、「1級小型」が約12万円、「2級小型」が約10万円、「特殊小型」が約6万円。教習所によっては国家試験が免除され、すぐに修了審査を受けることもできる。車と比べれば大分割安だろう。
免許を取得する費用も時間もないという人には、「免許不要艇」を勧めたい。
免許不要艇は波のない湖などで借りることができる。多くは1~2人乗りのフィッシング向けのボートで、費用は1日で1万~1万5000円程度だ。関東エリアではバス釣りが盛んな相模湖や河口湖、京阪神では琵琶湖などの一部マリーナで利用できる。また、数は少ないが相模湾などで海釣り向けの免許不要艇を貸し出しているマリンショップもあるようだ。
ヤマハ発動機も免許不要で楽しめる「シースタイル・ライト」を提供している。これは操舵(そうだ)士が同乗するタイプのサービスで、全国約20カ所のマリーナで利用できる。費用は入会金5500円と都度のレンタル料(平日の場合、3時間で9200円~)のみで月会費はかからない。
車中泊との組み合わせ
レンタルボートの人気が高まる半面、首都圏、大都市圏に近いマリーナでは予約が取りづらくなっているのも確かだ。それを回避する現実的な解決案が、隣県などの地方マリーナの活用と近年人気の車中泊の組み合わせである。
地方マリーナは予約が取りやすく、レンタル料金も大都市圏に比べて割安に設定されている。ここに車中泊を組み合わせると、高速道路を利用して目的地近くのサービスエリアで仮眠休憩し、翌朝からマリーナでレンタルボートが楽しめるというわけだ。これなら宿泊代をボートのレンタル料にまわせるので費用の節約にもなる。たとえば、首都圏からなら三浦半島、沼津、足を延ばして浜名湖あたりまでのマリーナの利用なら、十分に現実的だろう。
また、マリーナの近くには「海の駅」というマリンレジャー施設がある場合も多い。海の駅や道の駅といった施設を休憩場所として利用するのも手だ。ただし、これらの施設は長時間の利用に許可がいるところも多いので注意してほしい。
(春日井章司・ジャーナリスト)