《夏レジャー》ヤマハ発動機 臼井本部長「マリン事業は過去最高益を達成」
Interview 臼井博文・ヤマハ発動機マリン事業本部長
ヤマハ発動機の臼井博文氏にマリン事業の現状と、今後の戦略について聞いた。
(聞き手・春日井章司)
今後は「つながる・自動運転・共有化・電動化」に注力
マリン事業は当社の2021年総売上高の22%、営業利益の42%を占める主力部門の一つだ。
事業の中心となるのは船外機のエンジンとプロペラなどの周辺機器の製造・販売。20年は世界的なコロナ禍の影響で売上高・営業利益ともに減少したが、21年は売上高で3911億円、営業利益で768億円と過去最高益を達成した。
10年以降、欧米などでプレジャーボート(海上レジャー向けの船)、中でも150馬力クラスの大型船外機(エンジンユニット)の需要が伸びている。
エンジンユニットには、床下に設置する船内機と、船の後端に付ける船外機、ハイブリッドの船内外機の3種類があり、大型船は船内機か船内外機を搭載しているものが普通だった。しかし、技術の進化によって船外機の高馬力化・軽量化が進んだおかげで、船外機を搭載する大型船が増えている。これが需要を押し上げた要因だ。
レンタルボートの「シースタイル」も好調に推移している。会員数も年々増加しており、2021年時点で2万9000人を超え、前年比では1割以上の伸びを示している。船舶免許を取得する人も最近は増えており、シースタイルがその一助になっているかもしれない。
世界的な供給不足
一方、世界的にエンジンやボートはあれば売れるという状況で、供給が追いついていない。昨年は各地の販売店でショールームに飾るボートすら消えてしまった。
現在はやや改善されたものの、それでも予約から購入までは、数年待つ必要がある。潜在需要が高いだけに、我々だけでなく競合各社も非常に苦労している点だろう。
今後の事業戦略としては、マリン版の「CASE(つながる、自動運転、共有化、電動化)」戦略に注力していく。電動船外機などの次世代操船システム、ビッグデータを導入して快適なマリンライフを実現するという試みだ。すでに次世代操船システムは、北海道の小樽運河クルーズで実証運航を行っていて、成果を上げている。
ゆくゆくは、つながる・自動運転・電動化を一つのシステムにまとめ、共有化、つまりシースタイルなどのサービスに組み込むことで、さらにマリンレジャーの需要を引き上げていきたい。