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電炉再編に一歩 業界10位・北越メタルの役員陣を7位・トピー工業が掌握

 取締役の選任を巡って委任状争奪戦に発展していた新潟県が地盤の電炉、北越メタルの株主総会が6月21日に長岡市で開かれた。約35%を保有する筆頭株主のトピー工業が提案した3人を取締役に選任する株主提案が可決され、会社側による現在の取締役5人の再任を求める議案は、トピー工業出身の棚橋章社長と伊藤忠商事出身の小倉克彦社外取締役を除く3人が否決される結果となった(表)。

 電炉は鉄スクラップを原料に電気炉で製鉄する技術。高炉に比べ二酸化炭素の排出量が少ない脱炭素技術として注目されているが、国内には32社が乱立している。トピー工業は電炉7位、北越メタルは同10位で、トピー工業は日本製鉄が約20%を出資する持ち分法適用会社だ。日鉄は国内電炉大手10社のうち3社を持ち分法か子会社に収め、系列化を進めている。

 一方の北越メタルには伊藤忠グループの伊藤忠メタルズと伊藤忠丸紅鉄鋼が合計13.3%を出資しているが、両社とも今回の状争奪戦についてはコメントしなかった。

完全子会社化は否定

 トピー工業の株主提案に対し、北越側は総会前から「具体的な事業戦略の提案がない」「当社の独立社外取締役を排除し、自社の利益を不当に優先させようとしている」と批判してきた。

 これに対し総会終了後の午後3時にトピー工業は書面で「選任された取締役を通じ北越メタルとの協力体制の構築を図り、技術力・現場力を向上させて企業価値を向上する」と発表。さらに「北越メタルの事業に精通した同社従業員出身の取締役を経営幹部に選任する」といった方針も明らかにした。

 今回の総会では、米議決権行使助言会社ISSが、会社(北越メタル)提案に賛成しトピー工業案への反対を推奨していた。だが、トピー工業の提案可決の報を受けて、個人投資家などが意見を表明するヤフーのオンライン上の株価の「掲示板」には「トピー工業は正々堂々と北越メタル株を買い増して、子会社化すればよい」「子会社化され規模が大きくなれば、トピーも北越メタルも強くなる。電炉業界で大手の傘下に入れば経営安定につながる。今後の国内の鉄鋼需要を見通せば、今が双方にとって良いタイミング」といった声が上がった。

 こうした声に対し、トピー工業は取材に対し、「両社で協力関係を生かしながら北越メタルが経営の独立性を維持しつつ事業活動を行うことが企業価値向上に資する。現時点で子会社化は考えていない」と答えた。

(金山隆一・編集部)

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