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どこよりも早い2022年卒「有名企業に強い大学ランキング」 有名77大学・人気284社就職実績

「サンデー毎日9月4日号」表紙
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 コロナ禍も今春卒の実就職率は堅調

 狭き門の有名企業に、多くの学生が就職する大学がある。中には卒業生の2人に1人という大学もある。有名企業に強い大学は一般的な大学とどこが違うのか。難関大生の就職先のトレンドの変化と併せて、検証してみた。

 日本経済に閉塞(へいそく)感が漂う中でも、若年労働人口の減少から人手不足の企業が多く、大学生の就職状況は悪くない。2022年卒の大学生の平均実就職率は、コロナ禍にあっても前年を0・7ポイント上回る86・1%。23年卒の内定状況も堅調に推移している。

 それでも、目指す先が有名企業というなら話は別。学生の多くが就職する大学は限られている。リクルートワークス研究所によると、22年卒の大学生に対する全体の求人倍率1・5倍に対し、従業員5000人以上の大企業は0・41倍。この狭き門に多くの卒業生が就職する大学をまとめたのが、「有名企業に強い大学ランキング」だ。 ランキングを見る前に、就活成功の前提となる、企業はどのような学生を求めているのかについて、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏に聞いてみた。

「高度経済成長の時代は答えが分かりやすく、要望されたことを高いレベルでこなせる学生が求められました。現在の就活では、何が課題になっているのかを見つけ出し、チャレンジして正解を作り出すための主体性や対人対応力、コミュニケーション能力が重視されています」

 企業が求めるこうしたハードルをクリアして、多くの学生が有名企業に就職している大学はどこなのだろうか。

 「有名企業に強い」首位は2年連続で一橋大

 ランキングトップは、2年連続で1位の一橋大。有名企業に限定した実就職率は50・8%で、卒業生の2人に1人が有名企業に就職している。就職先は、卒業生である三木谷浩史氏が創業した楽天グループが最多で30人。以下、PwCコンサルティングとみずほFG▽三菱UFJ銀行(各15人)▽野村証券(13人)などだ。

 2位は東京工業大。就職者が多い企業は製造業が中心で、ソニーグループ(46人)▽日立製作所(34人)▽パナソニック(26人)▽野村総合研究所(22人)▽日産自動車(20人)――となっている。同大は2年連続でランキング2位をキープしているが、実就職率は前年から12・2ポイント下がっており、3位の豊田工業大が1・4ポイント差まで迫っている。

 豊田工業大は、トヨタ自動車が社会貢献事業の一環として設立した大学。就職先はイビデン(6人)▽トヨタ自動車(5人)▽アイシン、デンソー(各3人)――。トヨタ自動車設立の大学ながら、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、日産自動車、ヤマハ発動機(各1人)にも就職している。

 4位の慶應義塾大は、約8000人と多くの卒業生がありながら、39・3%と4割近い実就職率。慶應義塾大を上回る卒業生が約1万2000人の早稲田大は、31・5%で12位となっている。慶應義塾大以下は、東京理科大▽九州工業大▽電気通信大▽名古屋工業大▽大阪大▽国際教養大――の順で、難関大が並ぶ。このように、難関大の学生が有名企業に強い理由について、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所所長の平野恵子氏はこう語る。

「変化の激しい時代に仕事経験のない学生をポテンシャル採用する際、集中力をもって新しいことを効率的に学ぶ習慣が身についている学生の評価は高い。新たな情報を得るとき、手際よくインストールできる素養をもった学生は、相対的に難関大に多いということでしょう」

 難関大突破に向けた厳しい受験勉強から続いている、学びが習慣化している学生の人数が、有名企業の就職者数とリンクしているということだ。

 その難関大の就職先に変化が見られる。以前はメガバンクなど、大量採用していた大手金融業が各大学の就職者数上位にくることが多かった。近年は、メガバンクの採用減などにより、外資系コンサルティングファームの就職者が増えているのだ。この背景について、前出の平野氏が説明する。

「デジタルテクノロジーを活用して、より良い働き方を目指す。また、効率よいビジネス展開をするためにコンサルティングファームを利用する企業が増えています。こうしたニーズに応えるため、採用の受け皿を大きくしていることからコンサルティングファームの人気が上がり、採用も増えているのです」

 外資系コンサルの中で、規模が大きなアクセンチュアの就職者数を見ると、東大は53人で同大から最多の就職先となっている。京大は26人で同大で3番目に多い企業。私立大では、慶應義塾大が同大最多の88人、早稲田大もNTTデータとならんで最多タイの87人が就職。立教大も最多の22人だ。就職アナリストは言う。

「就職先を選ぶ条件として、自らが成長できることを大事にする難関大生が多く、コンサルをステップに次のキャリアを考える傾向が強い。給与が高水準なことも魅力なのでしょう」

 大学が問われるのは「文系」への就職支援

 他のコンサル系の就職者が多い大学を見ると、デロイト トーマツ コンサルティングは慶應義塾大(25人)▽東大、早稲田大(各11人)▽東京工業大(7人)――。PwCコンサルティングが慶應義塾大(83人)▽早稲田大(59人)▽東大(21人)▽東京工業大(19人)――。いずれの企業の採用者も難関大で占められている。

 情報化社会への社会構造の変化にともない、IT関連企業も増えている。各大学の就職者数が多い企業に注目すると、上智大は1位が楽天グループ(41人)で2位が日本IBM(26人)の順。明治大は1位がドコモグループ(42人)、2位が楽天グループ(35人)。法政大は1位がドコモグループ(34人)、2位が楽天グループとNEC(各24人)、などとなっている。

 IT関連企業に限らず、デジタル技術はあらゆる企業で求められる。さらに、大企業を中心に新たな資質が求められていると話すのは、前出の栗田氏だ。

「企業の規模や業界、業種を問わず、日本の成長戦略の柱であり、企業にとっては新しい時代に適応して発展していくために不可欠な、DX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)人材が求められています。こうした人材は、特に大企業で争奪になっているほどです」

 日本が世界から大きく遅れているとされているAI(人工知能)、ITなどのデジタル技術に高いレベルで対応できる優秀な学生は、DX人材として通常の就活ルートとは関係なく優先的に採用されるという。また、50年までにカーボンニュートラルの目標を掲げる日本において、それを実現するためのGX人材が求められ、企業もそうした人材に注目している。

 理系学生の活躍の場が広がりそうな流れだが、もともと理系学生は有名企業に強い。ランキング中11大学が理工系大学であり、理系学部の定員が多い国立総合大学も、大阪大や名古屋大(11位)、京大(13位)など、8大学が入っている。

 IT技術に精通している人材を不要とする企業はない。さらにDX、GX人材が求められる中、理系的な思考力をもった学生はどの企業も欲しい人材。今後これらの大学は、さらに就職力が高まるのだろうか。

 AIに代表されるIT化により事務職が減少する一方、そのIT、AI技術を担う理系人材がより求められている。こうした傾向はより強まると見られ、今後、特に有名企業への就職においては、文系学生に対する大学の就職支援力が問われることになりそうだ。

 8月23日発売の「サンデー毎日9月4日号」には「2022年卒 有名企業に強い大学ランキング」「2022年卒 有名77大学 人気284社就職実績」の表も掲載しています。

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